読書
前回ブログを書いてから10日経った。これだけ間があくのはたぶん数年ぶり。体調不良だったわけでも書くことがなかったわけでもなく、持てる時間のほぼすべてを最優先で読書に費やしていたのが理由である。 というのも、ハリー・ポッターに絶賛ハマり中だから…
なんといっても文章がうますぎる~!あふれるような流れるような怒涛のうねり、スピード感、リズムが本当に気持ちいい。言葉選びのセンスが良すぎてニヤニヤがとまらない。
またいいものを読んだ。乗代雄介にはずれなし。 高校生の、修学旅行のある1日の冒険物語。その日を思い出して主人公本人が記録を書き残しているという体裁。自分が見たものや感じたことを、非常に意識的に自覚的に文章にしているという立場がはっきりとした…
タイトルがいい。怒ってる怒ってる。内容も文章も、世間にはびこる偏見とか面倒な奴らへの怒りと毒に満ちていておもしろく読んだ。
トゲだらけで地獄のような恋愛ばかりをつづった短編集。ふわふわ甘くてキュンとするような恋バナは出てこない。 「好き」の気持ちがあまりにも強くてまっすぐだと、こんなにも歪んで痛々しくさえ見えるのね…。どの物語も壮絶だし病みがち。なのに読み口や読…
スティーブン・キング『ビリー・サマーズ』を読んだ。引退を決めた敏腕スナイパーの殺し屋ビリーが、最後の仕事を依頼され決行の日を待つ。正体を隠すため作家になりすますうち、本当に小説を書き始めてしまい…。
去年の夏に激烈にはまっていたミステリー小説 『自由研究には向かない殺人』 。最終作の結末は経験したことがないほど衝撃的で、こんな選択があっていいの?と震えたものである。その三部作の前日譚にあたる新作が出ていたので読んだ。 主人公ピップと友人た…
沖縄旅行から帰ってきた友人Nがおみやげをくれた。旅行前、金沢の【貴船】ですばらしい割烹を堪能した直後、一緒にミスドを買い食いしたN。 おみやげは、ちんすこうでも紅芋タルトでもなく。那覇でふらっと入った本屋で見つけて、これは…!と思ったとのこと…
芥川賞候補ということで、松永K三蔵『バリ山行』を読む。タイトルは「ばりさんこう」。おもしろかったー! 六甲山で、道なき道を切り拓いてすすむバリエーションルート登山(=バリ)にのめり込んでる妻鹿(めが)さんの狂気ぶりが際立ってる。読みながら、…
夜のサ-カス 作者:エリン モーゲンスターン 早川書房 Amazon 『夜のサーカス』エリン・モーゲンスターン 世界各地で神出鬼没に出現し、夜にだけ開くサーカス。表紙イラストのとおり、黒と白のみで構成された世界観が美しくて魅惑的。ひしめくテント、白い炎…
先日読んだ村雲菜月さんの『コレクターズ・ハイ』がよかったので、同じ作者の『もぬけの考察』を読んだ。これまた、キモおもしろホラーな読後感だった。 冒頭の一文でまず明かされる主人公の趣味がヤバすぎて震える。うわっ変な人が出てきたぞと思いながら読…
「推し」に人生を捧げること。なにゅなにゅオタクの私、クレーンゲームオタクの森本さん、髪オタク美容師の品田。その愛は一方通行だったはずなのに、気がつけば歪んだトライアングルから抜け出せなくなっていて……。 これと決めた対象にのめり込んでしまうオ…
トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモローガブリエル・ゼヴィン (著), 池田 真紀子 (翻訳) セイディはMITの学生。ある冬、彼女は幼い頃一緒にマリオで遊んだ仲のサムに再会する。二人はゲームを共同開発し、成功を収め一躍ゲーム界の寵児となる。…
『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』 ファン・ボルム (著)、 牧野 美加 (翻訳) 会社を辞めたヨンジュは、ソウル市内の住宅街に『ヒュナム洞書店』をオープンする。書店にやってくるのは、就活に失敗したアルバイトのバリスタ・ミンジュン、夫の愚痴をこぼすコー…
2024年本屋大賞の結果が発表された。期待どおりに成瀬が大賞、しかも圧倒的。うれしい〜。個人的に一番推していたのが『成瀬は天下を取りにいく』。今期は文句なしにこれだよね、成瀬が取らずに一体どの作品が取るんだよというくらいなので、全国書店員…
昨年秋からハマっている池井戸潤。下町ロケットと半沢直樹のシリーズ全作を読み終えて、最近読んだのが『ノーサイド・ゲーム』と『陸王』。どっちもおもしろかったー。 ノーサイド・ゲーム (講談社文庫) 作者:池井戸 潤 講談社 Amazon 大手自動車メーカーの…
スピード感ありリアリティありで、あまりのおもしろさに一気読み。 メインキャラは韓国の大手製菓会社に勤める女性3人。20代後半・一人暮らし・経済的に余裕なし・会社での評価はまあまあ・未来への希望が見えづらい、という共通点を持っている。このうちの…
宮島未奈さんの『成瀬は信じた道をいく』を読んだ。あまりにもおもしろくて一気に魅了された前作『成瀬は天下を取りにいく』の続編。シリーズもので最大限に期待がふくらむなか、こんなにも裏切らない、むしろ上をいく作品が現れるとは。 www.tabitoko.com …
やることなすことツキに見放されている殺し屋・七尾。通称「天道虫」と呼ばれる彼が請け負ったのは、超高級ホテルの一室にプレゼントを届けるという「簡単かつ安全な仕事」のはずだった。時を同じくして、そのホテルには驚異的な記憶力を備えた女性・紙野結…
3月1日に早稲田大学大隈記念講堂で開催された「春のみみずく朗読会」に行ってきた。村上春樹さんと川上未映子さんの朗読を主軸に、友情出演ということで村治佳織さん、小澤征悦さんも登場。これまでに味わったことのない種類の、なんとも贅沢で得難い時間…
朝井まかて『ボタニカ』を読んだ。 日本植物学の父と称される牧野富太郎の生涯を書いた小説。ひたすら植物を愛し、その採集と研究、分類にのめりこみ、莫大な借金を抱え、学会や権威との軋轢を繰り返しながらも、まあなんとかなるだろうの精神を貫く富太郎。…
早稲田大学大隈記念講堂で開かれる「春のみみずく朗読会」が一週間後に迫ってきた。村上さんと川上さんが登壇し、書き下ろし作品の朗読やトークをするもの。楽しみでたまらん。 そういうイベントがあるらしいと知ったのが昨年末。村上春樹好きの友人Sちゃん…
図書館でなんとなく手にとって借りて、とてもおもしろく読んだ。著者は1986年生まれ、韓国の気鋭の作家。この本は表題作を含む8編の短編集で、2020年韓国の「書店員が選ぶ今年の本」で小説部門を受賞している。 なかでも好きだったのが「助けの手」。世代や…
2024年本屋大賞ノミネート作品が発表されている。全10作。毎年この時期に、「本好きがおすすめする読むべきリスト」として活用している。 本屋大賞の初期の頃は、まだ知られてないおもしろ本を発掘して「こんなのがあったのか!」とうなる要素が多かった気が…
綿矢りさの最新作は、コロナ禍まっただなかの北京が舞台。 コロナ禍の北京で単身赴任中の夫から、一緒に暮らそうと乞われた菖蒲(アヤメ)。過酷な隔離期間も難なくクリアし、現地の高級料理から超絶ローカルフードまで食べまくり、極寒のなか新春お祭り騒ぎ…
直木賞が発表されましたね、今回はダブル受賞で河崎秋子さん『ともぐい』と万城目学さん『八月の御所グラウンド』。『ともぐい』の受賞は絶対あると思ってた。先日の感想ブログで、これが受賞すると思うと予想してたのが当たった。だってものすごいもの、書…
明治後期の北海道の山で、猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物と対峙する男、熊爪。図らずも我が領分を侵した穴持たずの熊、蠱惑的な盲目の少女、ロシアとの戦争に向かってきな臭さを漂わせる時代の変化……すべてが運命を狂わせてゆく。 河﨑秋子さんの『と…
読書記録を1ヶ月毎にまとめる試み、2023年分を完走。2023年は93冊読んだ。年間ベストはそのうち記事を書くとして(たぶん)、12月分の振り返り。 森バジル『ノウ・イット・オール』(84) ソン・ウォンピョン『アーモンド』(85) 池井戸潤『ロスジェネの逆…
12月31日、大晦日。多くのブログで「2023年に読んだ本」とか「2023年におもしろかったベスト10冊」とかの振り返り記事がアップされてるのを眺めつつ、一歩遅れて「11月に読んだ本」を大急ぎで書いている。紅白が始まるまであと1時間ちょっと。目の前に2024年…
さあ年末が迫ってきたぞ、たまっていた振り返りを進めるぞ、の一念。必死。といっても10月に読んだ本は少なくて5冊だけ。仕事がたてこんで本を読む時間がとれなくて、だからこそ読書を渇望している時期だった。書名のあとの数字は今年の読了冊数。 キム・チ…