読書
大慌てで9月の読書の振り返り。この月は10冊読んだ。なんといっても『卒業生には向かない真実』がすごかったーーー!!! あと川上未映子のエッセイ集もよかった。 ホリー・ジャクソン『優等生は探偵には向かない』(60) 永井紗耶子『女人入眼』(61) 穂…
ゲームセンターで働く長井朝陽の日常は、「早見有日」のペンネームで書いた小説が文学賞を受賞し出版されてから軋みはじめる。兼業作家であることが職場にバレて周囲の朝陽への接し方が微妙に変化し、それとともに執筆中の小説と現実の境界があいまいになっ…
8月の読書記録をやっと書く。(あと20日もすれば師走だというのに!) 西加奈子『くもをさがす』(51) 鈴木忠平『アンビシャス 北海道にボールパークを創った男たち』(52) 恒川光太郎『真夜中のたずねびと』(53) エドワード・ドルニック著『ヒエログリ…
青山七恵さんの小説、『前の家族』を読んだ。 37歳、独身、小説家・猪瀬藍は、中古マンションの購入を決意。夫婦と娘2人の4人家族が暮らす物件を内見し、理想的なマンションに出会えたと契約を結ぶ。しかし、マンション購入はその物件だけではなく周りの環境…
それぞれの立場でままならない世界を生きる女性たちの8つの短編集。どれも小説のようなエッセイのような味わい。綿矢作品は、視点の特異さやそれを文章にするときのうまさ、ユーモアやコメディタッチの加減が好きなんだけど、その意味でこの作品集も最高だ…
読書の振り返りをまとめるのがまた出遅れて、今さら7月の読書記録。引き続き3か月遅れ。7月は、北海道旅行に行ったりコロナで寝込んだりであまり読書がはかどらなかった。タイトルを見てもなんかあまり印象に残ってない。すでに記憶が遠い…。カッコ内は今…
SF短編集。どの作品も、やさしさや静けさの余韻があたたかく残るものだった。 表題作の、もの悲しく美しい映像が浮かぶような舞台が好き。宇宙の片隅で見捨てられたステーション、4人掛けのベンチが並ぶ誰も来ない待合室、大きなガラス張りの窓の外は星空。…
永井紗耶子さんの『大奥づとめ』を読んだ。 上様の寵愛こそすべて、とは考えなかった女性たちがいた。御手つきとは違い、昼間の仕事に励んだ「お清」の女中たち。努力と才覚で働く彼女たちにも、人知れず悩みはあって……。里に帰れぬ事情がある文書係の女、お…
最近読んだ、春日武彦&穂村弘の対談集がおもしろかった。あらゆる本を読みまくっている精神科医と歌人が死をテーマに語りつくす。このふたりの組み合わせにはいつだって知的好奇心を刺激される。 ネコは言っている、ここで死ぬ定めではないと 作者:春日 武…
9月になった。稲刈りのあとの草の匂いや、夜の虫の声。季節は移ろうが私の読書記録は3か月遅れのまま。6月は9冊読んだ。カッコ内は今年の読了数。 齊藤彩『母という呪縛 娘という牢獄』(36) 平野啓一郎『空白を満たしなさい』(37) 宮島未奈『成瀬は天下…
現在の我が家の本棚。夫婦で読みたい本とタイミングが重なるとこんなことになる…! 「木挽町のあだ討ち」がすばらしくおもしろかった。構成がうますぎる。これは一切の前情報を入れずに読むべき。なんとも粋で痛快で、登場人物みんなの生き方が愛おしくなっ…
幕末から維新、明治と激動の時代の外交を料理で支えた男がいた。長崎生まれの料理人・草野丈吉で、店の名は「自由亭」。貧しい農家に生まれた丈吉は、18歳で出島の仲買人に雇われ、ボーイ、洗濯係、コック見習いになる。21歳でオランダ総領事の専属料理人に…
エドワード・ドルニック著『ヒエログリフを解け ロゼッタストーンに挑んだ英仏ふたりの天才と究極の解読レース』を読んだ。 千年以上、誰も読むことができなかった古代エジプトの謎の文字"ヒエログリフ"。解読のきっかけは、ナポレオンのエジプト遠征でヒエ…
東京で働いていた32歳の都は、親の看病のために実家に戻り、近所のモールで働き始めるが…。恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなの無理! 山本文緒『自転しながら公転する』読了。続きが気になって一気読み。 30代妙齢女性である主人公・…
村上春樹『街とその不確かな壁』 その街に行かなくてはならない。なにがあろうと――〈古い夢〉が奥まった書庫でひもとかれ、呼び覚まされるように、封印された“物語”が深く静かに動きだす。 村上春樹6年ぶりの長編小説。なんだかんだで新作が出るたびに気に…
8月になったところで、今さらながら5月の読書の振り返り。前月分をすぐに振り返るというまっとうなスケジュールに、果たして年内のうちに戻せるのかどうか…。5月は7冊読んだ。かっこ内の数字は今年の読了冊数。 『ケチる貴方』石田夏穂(29) 身体性をテ…
3ヶ月前の記憶をさかのぼり、なんとかリアルタイムに追いつこうと焦りながら記す。4月は8冊読んだ。中山七里にハマってたなー。この期間でいちばんおもしろかったのは、小川哲『君のクイズ』。2023年になってから小川哲を推しまくりである。数字は今年の…
2023年3月の読書記録。いま7月だけどな。毎月書こうと思ってたのに、ほったらかしのまま4ヶ月が経過していた。わーお。数字は今年の読了冊数。 『嘘と正典』小川哲(16) 『地図と拳』『ゲームの王国』『ユートロニカのこちら側』をたてつづけに読み、小川哲…
時は文政5(1822)年。本屋の“私”は月に1回、城下の店から在へ行商に出て、20余りの村の寺や手習所、名主の家を回る。 江戸期のあらゆる変化は村に根ざしており、変化の担い手は名主を筆頭とした在の人びとである、と考える著者。その変化の担い手たちの生活、…
ガウディの遺言 作者:下村 敦史 PHP研究所 Amazon 『ガウディの遺言』下村敦史 1991年、バルセロナ。現地で暮らす佐々木志穂は、夜中に出掛けたきり帰ってこない聖堂石工の父を捜索している最中に、父の友人であるアンヘルの遺体がサグラダ・ファミリアの尖…
「家出ようと思うんだけど、一緒に来る?」身勝手な親から逃れ、姉妹で生きることに決めた理佐と律。ネネのいる水車小屋で番人として働き始める青年・聡。水車小屋に現れた中学生・研司...人々が織りなす希望と再生の物語。 水車小屋のネネ 作者:津村 記久子 …
弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から「ある男」についての奇妙な相談を受ける。里枝には、2歳の次男を脳腫瘍で失って夫と別れた過去があった。長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚し新しく生まれた女の子と4人で幸せな家…
『成瀬は天下を取りにいく』。ネットや書評の話題作を読んだ。青春少女滋賀小説といえばいいのかな。もう、ただただ最高。成瀬あかり最高。読んで元気出た。
どれも発想が特異で奇想、でもいつかどこかの時代と世界にはありえそうだと思わせる世界観が絶妙。どれも粒ぞろいで楽しめた。おもしろかったー!
家の本棚があふれてきたので手放せるものを選別。夫の領域には触れられないので自分の所蔵本を見直す。 二人あわせて1,000冊はありそうだがもう何年も開いていない雑誌や小説がほとんどで、どう考えてもこの先一生見ない本のほうが多いと思う。いずれ子ども…
君のクイズ 作者:小川 哲 朝日新聞出版 Amazon 『Q-1グランプリ』決勝戦。クイズプレーヤー三島玲央は、対戦相手・本庄の不可解な正答をいぶかしむ。彼はなぜ正答できたのか? 真相解明のため彼について調べ決勝を1問ずつ振り返る三島は──。一気読み必至!…
2023年2月の読書記録。数字は今年の読了冊数。先月につづき小川哲推し。 『ゲームの王国』小川哲(11) www.tabitoko.com 『星を掬う』町田そのこ(12) 読んだのは1か月前ですでに内容うろ覚え、あまり印象に残ってない…。読んだ直後に書いたメモには…
ゲームの王国 上 (ハヤカワ文庫JA) 作者:小川 哲 早川書房 Amazon サロト・サル――後にポル・ポトと呼ばれたクメール・ルージュ首魁の隠し子とされるソリヤ。貧村ロベーブレソンに生を享けた、天賦の智性を持つ神童のムイタック。皮肉な運命と偶然に導かれた…
昨年夏にオープンした石川県立図書館へ行く。3回目か、4回目くらい。いつ見ても、空間の広がりとか本棚が層になってる感じとか絵になる。素敵。 本の海に浮かぶような通路と、そこに置かれた椅子。何時間でも読書に没頭できそう。 さて、我々親子が石川県…
しろがねの葉 作者:千早茜 新潮社 Amazon 戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と未知の鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。しかし徳川の支配強化により喜兵衛は生気を失い、ウメは…