トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー
ガブリエル・ゼヴィン (著), 池田 真紀子 (翻訳)
セイディはMITの学生。ある冬、彼女は幼い頃一緒にマリオで遊んだ仲のサムに再会する。二人はゲームを共同開発し、成功を収め一躍ゲーム界の寵児となる。だが行き違いでゲーム制作でも友情でも次第に溝が深まっていき――。
30年間という長い歳月をとおしての、出会いと喪失、再生の物語。わたしの好きなテーマ。
セイディとサムにはゲームという共通の趣味があり、やがて趣味を超えて仕事となる。それにはよい面もそうでない面もあるし、お互いへの期待や感情や思惑は一致するばかりではない(当然だよな)。でもゲームが、ふたりが絶対的に素になって近い距離で関わりあえる最強のツールであることは間違いない。ゲームがふたりを出会わせて、傷つけて、またつながりを深めさせる。人生はままならないけれど、子どものころに共有したわくわくする気持ちや信頼が、未来の自分を豊かにしたり救ってくれたりするということに、なにかとてつもない希望を感じた。
自分一人ではなく誰かと一緒にものを作ることって、その体験でしか得られない楽しさや喜びがあるよな。高めあって、もっともっと進んでいくための力がどんどん湧いてくる高揚感。この相手、この仲間だから生まれる刺激とか時間がものすごく尊いし愛おしい、そんな気持ちでいっぱいになった。セイディとサムの関係性の深さは、友情、親愛、戦友、どの言葉でも足りない。
映画化されたら絶対に見たいなあ。マリオもドンキーコングも出てくるんだから。