過去のブログ記事が炎上中のラーメン評論家、夢を語るだけで行動には移せないフリーター、もどり悪阻とコロナ禍で孤独に苦しむ妊婦、番組の降板がささやかれている落ち目の元アイドル……いまは手詰まりに思えても、自分を取り戻した先につながる道はきっとある。この世を生き抜く勇気がむくむくと湧いてくる、全6篇。
タイトルがいい。怒ってる怒ってる。内容も文章も、世間にはびこる偏見とか面倒な奴らへの怒りと毒に満ちていておもしろく読んだ。
コロナ、SNS、ユーチューバー、ジェンダー、働き方などなど、いま現代のこの世界のリアリティにあふれてる。ラーメン評論家がやり込められる話(めんや 評論家おことわり)が痛快だった。誰もが好き勝手なことを発信して、他人の人生を破滅させてしまえる時代ならではの復讐劇。客観的にみて、なんて恐ろしい時代に生きてるんだろうとこわくなってしまった。
読みながら、「焼菓子店をひらきたーい」という夢をふわふわと語るばかりの若者にイラッとし、独居老人迷惑系ユーチューバーにイラッとする。こういう人いるよね~と膝を打ちたくなる造形の人物があれこれ登場して、自分のなかのいろんな感情を刺激された。
あと、商店街によくある、まったく売上がなさそうなのにつぶれない、何十年も時が止まってるような「マダムショップ」を題材にした短編が、その目の付けどころがステキすぎて、うまい!わかる!あるある!と思ったよ。