旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


カニ解禁。1週間でカニ3回。

今年、ここ石川県のカニ漁解禁は11月6日であった。我が家では毎年「もうそんな時期か、まあ一度は食べときたいね」というゆるいテンションで、シーズン終了前にあわてて食べる傾向がある。おいしいのはわかってるけど、絶対に食べなければというものでもない。

ところがどっこい、今年は解禁から10日間のうちにすでに3回もカニを食べた。わお。およそ一年ぶりのカニはおいしかった。やはり特別感あるな。1回目は解禁後の日曜日、夫がスーパーで買ってきた石川県産ズワイガニ。半額になっていたのを見つけたとのこと。でかした! 1杯を大人二人でむしゃむしゃと食らう。子どもはまったくカニを好まず、ひとくち食べる?と聞いても「いらない」とにべもない。

2回目、3回目は香箱ガニ(=ズワイガニのメス)。金曜日に仕事が終わって帰ろうとしたら、休みのはずの先輩が突然現れて呼び止められ、「カニ持ってって。いつもお世話になってるからプレゼント」とビニール袋に無造作に入ったのを手渡された。カニシーズンの石川県において、ちょっとした気持ちを伝えるのにカニを渡すというのは非常にポピュラーな習慣なので驚くことではない。なんてことはまったくない。

f:id:lovestamp:20251114201534j:image

私は私で急いでいたので、「えっ? カニ? あ、ありがとうございます、おつかれさまっす!」とよく見ずに退勤。バスに乗ってから袋をのぞいたら5杯が窮屈そうに折り重なっていた。ボイルなのか生なのかどっちなんだろう…と思ったけど、脚がかちゃかちゃ動いてる。生だった。ていうかまだ生きてた!

その日のうちに全部ゆでた。夕食に私と夫と1杯ずつ食べ、残る3杯は翌日に。

f:id:lovestamp:20251115233127j:image

その翌日というのが3回目の今日。身の下に隠れて見えてないけど、内子と呼ばれるねっとりした卵のかたまりがとんでもなく旨い。それとカニミソを一緒に口に入れた瞬間は陶酔の境地。このおいしさを理解し、実際に味わう機会を持てる人生でよかった…!と震えてしまう。

カニミソは子どもが好む味ではないよな、私も小さい頃は絶対無理だったよと思いつつ、毎回子どもに「食べてみるかい?」と聞いている。子は「いらないってば。カニカマなら好きだけど」と答える。カニカマ>カニ。なにかが決定的に逆転している。ふと、むかし習った「悪貨が良貨を駆逐する」という言葉がよぎったが、たぶん意味は違う。