十数年ぶりに読んだ垣根涼介作品。歴史ものを読むのはたぶん初。どこかのブログで紹介されていたのが良い印象だったので手に取ったのだけど、正直な感想としては、とにかく長くて疲れた…。
誰もが知る歴史のかげに、決して表には出てこない異能の道士たちが関わっていたという設定は面白くてスリリング。将軍家のいざこざとか本能寺の変とか、歴史上の結末はわかってるんだけど、そこに至るまでに実は人知を超えた能力を持つ者たちのこんな思惑や暗躍があったんだと想像するとわくわくする。戦闘における、水や炎や風がうずまく描写のリアリティもすごい。同時に、戦闘の(というか主に信長の)しつこさ残虐さ無惨さも、戦場で血や肉が焦げる臭いがしてくるくらいに描写されていてつらくなった。
つらかったといえば、なにしろ幼少時の修業の厳しさがあまりにも凄絶。また言うけどひたすら長いし。痛くて果てしなくて、読むのがまじでしんどかった。
メインキャラは3人なんだけど、そのうちのひとり(里芋顔の平助)が恋心をこじらせて勝手な思い込みをしてるくだりはギャグっぽくて笑ってしまった。全体的に重くてシリアスな世界観なのにここだけ笑わせてくるってどういうこと?と思ったけど、徐々に戦況や立場が厳しくなってくる展開において、この笑いが読者にとって救いになってたかもなと、あとから思う。
3人が最終的に手を取り合い、心身がぼろぼろになってもお互いを信じながら戦うところに王道の少年漫画っぽさを感じた。そういう意味でも、味付けとしてのギャグは必要要素なのかも?
垣根作品は、初期の『ワイルド・ソウル』がひっくり返りそうなほど面白くて興奮した記憶。あんな感じのをまた読みたい。


