地元を走るIRいしかわ鉄道に、大人と子どもが一緒に乗車すると料金が超お得になる企画きっぷ「子育て応援スマイルきっぷ」があることを知り、子どもと一緒に乗ってきた。「おかあさんと朝から電車に乗りまくって、駅スタンプをたくさん押さない?」と誘ったら「もちろん行く行く!!!!」と即答。全人口のうち、乗り鉄かつスタンプ収集好きという条件を満たす人が何%いるのか知らないけど、少なくとも我が家は3名中3名がそうである。子に関しては、この親にしてこの子ありの見本のようだなという感じ。
出かけるのは私と子どもの二人なんだけど、タイムスケジュールは夫(とChatGPT)が作ってくれた。電車の本数が少ない(1時間に2本とか)なので、単純に一方通行で下車と乗車を繰り返すのでは待ち時間が多すぎて効率が非常に悪い。ので、改札を出てスタンプを押す時間を確保すること、待ち時間が長すぎないこと、できるだけ多くの駅で下車すること、ただし同じ駅に二度は降りないこと、大きめの駅で昼食時間をはさむこと、といった条件を埋めていく。こういう難しいお題ほど燃えてしまうところが鉄道好きの性分。夫の熟考のすえ、西に東に折り返すこと9回の乗車&下車で区間内の駅スタンプをすべて押せるという鉄壁の運行表が完成した。スマホで電子フリーきっぷを購入し、最寄り駅からいざスタート。
電車に乗っているあいだ、子どもは主に車窓の景色を見ている。踏切や信号や鉄橋が登場するたびに観察。駅の停車時には車内アナウンスおよびドアの開閉音を耳コピで反復。自分が下車すると、乗ってきた車両がホームから去るのを見届け(かならず車掌に手を降って愛想を振りまく)、ホーム上のアナウンスを真似する。改札を出てスタンプを見つけると、持参したスタンプ用スケッチブックを広げて神妙に押印。そのあとは待合室や駅内エレベーターをチェックしたりとなんやかんや忙しい(笑) 待ち時間15分くらいだとあっという間。今日はジグザグの折り返しルートなので、「この駅さっきも通過したな」「さっきとは違う向きだな…」などとブツブツ言いながら、飽きることなく電車移動を楽しんでいた。なんていうかすごいな、電車が好きなんだなー! 人のこと言えないけど。
今日の区間の中では最大規模である小松駅で1時間ちょっとの昼休憩。前から行ってみたかった、駅直結のBikkeというパン屋さんへ。ベーグルにスコーンにサンドイッチにタルティーヌ、おいしそうなのがいっぱい。200円前後のものが多くてこのご時世にしては低めのありがたい価格。5個買って1000円ちょっとだった。隣のイートスペースで食べる。

電車1本でまっすぐ来れば30分程度のところに、進んだり戻ったり2時間かけて到着したというこの状況がおもしろい。メロンパンやくるみのスコーンを食べながら、「明峰駅があまりにも小さくてビビった」「スタンプの置き場所がわかりにくかったけど見つかってよかった」「おかあさん押すのうまいね」「まあ何度もやってるから」なんて話しながら、もはや子どものレベルに合わせて会話をしているとかではなく、普通に同じ趣味を持つ仲間としゃべってるみたいだなと気づいてなんか笑えてきたわ。
当初の予定だとまだスタンプを集めるつもりだったのだけど、食欲とともにスタンプ意欲も満たされたのか、ふたりとも「もうこのまま帰ってもいいかも…」のモードに。途中下車はせず、家の方向にまっすぐ戻ったのだった。結果的に乗り換えは5回、集めたスタンプは6個。400円という破格のフリーきっぷで正規料金2000円分くらいを乗車したし、5時間ほど遊べたのでものすごくコスパがいい。遠くに行くわけでもないのに電車に乗りまくり、何に使うわけでもないスタンプを集めるという行為が楽しいかどうかは人それぞれだけど、我々にとってはどうにもこうにも楽しいこと。次はまた別区間でチャレンジしたい気持ちになっている。
