旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


夏の四国旅(1)神戸でステーキ、漢字ドリルの夜、ハーブスとリカちゃんは遠かった。

夏休みの家族旅行で四国に行ってきた。主な目的は、鳴門でうず潮を見ること、高松でうどんを食べること。8年前に夫とうどん店巡りをしたことがあって、またぜひ行きたいな、子どもがある程度大きくなってからだなと思いを温めていたのがついに実現した。子どもは図鑑で知ったうず潮に興味津々で、「早く行きたい、うず潮が楽しみすぎてワクワクがとまらない~」と数日前から待ちきれぬ様子。うず潮の発生タイミングや大きさは潮の満ち引きと関連しているのでうまく見えそうな日をねらってスケジュールを組み、3泊4日の旅がいざスタート。

石川から四国は遠い。まず神戸まで鉄道で行ってからレンタカーで四国入りすることにした。一気に向かうのではなく、1日目は三宮のホテルに泊まる。金沢から北陸新幹線で敦賀へ、サンダーバードに乗り換えて大阪へ。新快速で三宮へ。

三宮駅周辺は絶賛大規模工事中。

着いたのが夕方だったので早々に夕食。ホテルからほど近い【ロイン三宮】というレストランに向かう。駅のすぐ向こう側に見える山の斜面に KOBE の文字がライトアップされていたり、広めの歩道広場にゆったりしたベンチがおかれていたり、建物や街路の灯りになんとなく異国情緒を感じたりして「ああ、神戸に来たんだなあ」と思う。

ロイン三宮は、通りから細い階段を下りた地下にある、レトロテイストな内装の店だった。お客さんがちらほらと入れ替わってほどよいにぎわい。

しっかりと肉々しいものを食べたくて、ハラミステーキとチキンソテーのセットを注文。夫はハラミステーキと帆立ソテー、子どもはオムライス。ステーキもチキンもソースもおいしかった。量もちょうどよくて、たっぷりの満足感がありつつ苦しさはなく。といっても、子どものオムライスも1/3くらい食べたのでもう余力は残っておらず。

なんのための余力かというと、ハーブスのケーキである。私の愛してやまない、間違いなく人生で最も多く行っているケーキ店、ハーブス。全国でも限られた場所にしかない店舗のひとつがほんの目と鼻の先にあって、この近距離にいるのに寄らない選択肢はあり得ない!と思ってたんだけど、実際もうお腹いっぱいだし閉店時刻にもギリ間に合わず。ああ、近くて遠きはハーブスよ。うまくいけば四国からの帰りに寄れるかもという淡い期待を残し、レストランをあとにした。

ホテルに戻ったのは20:30くらい。子どもはすぐさま机に向かい、持参した漢字ドリルを解きまくっていた。旅行先でも自主勉強とは感心な。子はこのところ漢字ドリルにどハマりしていて、自宅でも四六時中ドリルを開いている。何がほしいかと聞けば「ドリル」と即答だし、小学校一年生にして読み書きスキルはすでに四年生並み。漢字を覚えたい意欲と吸収力がものすごい。そんなわけで、神戸の夜は漢字ドリルとともに更けていくのであった。ポートタワーに行くとか夜景を見るとかの神戸らしい観光コンテンツを完全に忘れてたことに気づいたのはあとから。

寝る直前、何気なくGoogle Mapを開いたら信じられないものを見つけて息をのんだ。ホテルの向かい側に「リカちゃんキャッスルのちいさなクローゼット」とあって、思わずカーテンを引いて窓の外を見た(暗くて見えなかった)。リカちゃんキャッスルのちいさなクローゼットとは、その名のとおりリカちゃん人形とドレスの専門店。リカちゃんの聖地である「リカちゃんキャッスル」(福島県)から派生した店で、ずっと前に日本橋店に行ったことがある。神戸にも店があるとは知らなかった。存在すら知らなかったのに気づいたら目の前にあるなんて、運命に引き寄せられたとしか思えない。行きたい行きたい行きたい…! しかし翌日の営業は正午から。ダメだ、その頃には車で徳島を走ってる。うず潮ファーストのスケジュールゆえ、出発を遅らせるわけにはいかないのだった。仕方ない、これも帰りに時間があったら寄るってことで、今夜はおやすみなさい。

2日目に続く。

▼2017年に行ったうどん店めぐりの思い出。