三浦しをんさんの『政と源』を読んだ。国政と源二郎、それぞれ70歳を過ぎた幼馴染ふたりの、友情と人情味あふれる日常の物語。全体的にドタバタしてコミカルな印象で、ものすごーく軽く、さらっと読み終わった。
このところ読んでいた小説は、どちらかというと問題提起多め、じっくり考えたくなること多め、余韻強めなものが続いていたので(『ザリガニの鳴くところ』『82年生まれ、キム・ジヨン』『ぼくのメジャースプーン』など)、自分の中では、なんというか小休止的なタイミングだった。さらりと読んで素直に楽しんで、そうだよ読書って娯楽なのだった、楽しくて愉快なのが何よりだった!と思い出した感じ。
それにしても三浦しをんの作風とか引き出しって広いなあ。『ののはな通信』とか『風が強く吹いている』と同じ作者な気がしない。そしてこれまた思い出したのが、三浦しをんといえばBL寄りな風味が持ち味(?)だということ。政と源にはその香りがそこはかとなく漂っていて、「しをん姉さん……!」ってなりました。
三浦しをんの小説は作品によって私の中の当たりはずれが大きくて(たぶん単なる好みの問題)最近あまり読んでなかったけど、もともと、エッセイの視点や文体や趣味嗜好が非常に好きなのだった。というわけで、読み逃しているエッセイを何冊か図書館で予約済み。今は『のっけから失礼します』というエッセイを読んでいるのだけど、おもしろくて職場の昼休みに「ンフッ!」って強めの息を吐いて笑ってしまったよ。危険。