2023年3月の読書記録。いま7月だけどな。毎月書こうと思ってたのに、ほったらかしのまま4ヶ月が経過していた。わーお。数字は今年の読了冊数。
『嘘と正典』小川哲(16)
『地図と拳』『ゲームの王国』『ユートロニカのこちら側』をたてつづけに読み、小川哲さんに超ハマる。『嘘と正典』は短編集で、おもに時間をテーマにしたまったく味わいの違うSFが6編おさめられている。作品の雰囲気とか舞台とか、同じ人が書いたとは思えないような多彩さ。なんといっても表題作のおもしろさが突き抜けてる。歴史改変ものの醍醐味が詰まってて超わくわくどきどきした。こことこれがつながって、こうなって…。くぅ~~~!!!うあぁぁあ!!と膝を打ちまくったね。
『ユートピア』湊かなえ(17)
足の不自由な小学生・久美香の存在をきっかけに、母親たちがボランティア基金「クララの翼」を設立。しかし些細な価値観のズレから連帯が軋みはじめ、やがて不穏な事件が姿を表わす――。心理サスペンスの決定版。
内容を思い出せなくて、Amazonのあらすじ紹介を見て「あ~、そうだった」って。先が気になって読んでたんだけど、オチがいまひとつ「あれっ」って感じだったような。ここまで長々と読んできて、それ??っていう。
『ドミノin上海』恩田陸(18)
イグアナが料理されれば盗賊団が上海に押し寄せ、そこに無双の甘党が上陸。風水師が二色に塗り分けられ、ホラー映画の巨匠がむせび泣くと秘宝『蝙蝠』の争奪戦が始まった! 革ジャンの美青年がカプチーノをオーダー、一瞬で10万ドルが吹き飛んだら、上海猛牛号で渋滞をすりぬけ、まぁとにかく寿司喰寧。歯が命のイケメン警察署長が独走し、青年が霊感に覚醒したとき、パンダが街を蹂躙する!
上記のあらすじどおりのドタバタ劇。登場人物が数えきれないほど多くてあっちこっちでからみあってるのに、読者を混乱させずに場面を展開させていく筆力がすごい。日本が舞台の前作『ドミノ』を十数年前に読んでおもしろかった記憶があって、これはその第二弾。ハチャメチャぶりがさらに加速していて、これぞ極彩色の魔都・上海!って感じがした。徹底的なエンタメ小説としては楽しいけど、具材も多けりゃ味付けも濃くて私にはかなり胃もたれ気味。イグアナに霊が乗り移るとか、その霊が見える人間がいるとか、人格をもったパンダが暗躍するとか、もはやなんでもありの世界。ノンストップでドタバタし続けて、読み終わったときどっと疲れてしまった…。年なのか?
『好きになってしまいました』三浦しをん(19)
三浦しをんのエッセイは、たぶん全部読んでると思う。エッセイを読んでると三浦しをんの人となりとか考えてることがダダ漏れで、なんかもうよく知ってる友人くらいの親近感。旅についての文章がとくに好きだった。
『さんかく』千早茜(20)
出てくる食べものがまあとにかくおいしそう。その感想がほとんど。出てくる男女三人の関係性については、お互いに都合のいい面しか見ないふりをしてうわっつらで過ごしてる感じがいやだなー、もっというと気持ち悪いしあほくさ!と思ったり。それにしても食べものがおいしそう!(2回め) あとやっぱり、食に関して好みやタイミングが合う相手というのはすばらしいよね。