旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。



冬の読書記録。『風が強く吹いている』『大奥』『少女には向かない職業』

今年に入って読んだ本にはハズレがない。

『風が強く吹いている』 三浦しをん

箱根駅伝出場をめぐる弱小陸上部の物語。選手それぞれの鬱屈や課題に対して、「走る」ことで道を拓こうとする姿勢がまっすぐで不器用で、とても清々しかった。運動をまったくしない(なかでも長距離走は苦痛でしかない)私でも、主人公の「ただ走らずにはいられない」というありようを自然なものとして理解できて、そのあたりの筆致はさすが三浦しをん、って感じだ。これを読んで箱根駅伝の知識が少し備わったため、正月のテレビ観戦にも熱が入ったよ。走ることでしかたどりつけない美しいところ。それを体感できる選ばれた人たちが、ちょっと羨ましい。

風が強く吹いている (新潮文庫)

風が強く吹いている (新潮文庫)

 

『大奥』 よしながふみ

将軍は女、後宮には美男三千人という驚愕の漫画。新刊(第三巻)が出ていたので読む。うおおあああ、愛憎うずまく素敵な展開になってきた! 家光(女)とその恋人(男)の、今この時しかない、っていう関係性にくぎづけ。歴史に振り回される異端の恋に、純愛を見てしまったような気がする。少女将軍たる家光の聡明さもかっこいい。江戸時代の史実を不自然でなく取り入れて成立させてるところが凄い。それから、登場人物すべての心の震えがビシビシ伝わってきて、「みんな生きてる」って感じられるところが凄い。うまいなあ。次巻も目が離せませんぞー。

大奥 1 (ジェッツコミックス)

大奥 1 (ジェッツコミックス)

 

『少女には向かない職業』 桜庭一樹

また私の好きな「少女っぽさ」が満載でツボ。凶暴さとか、無関心さとか、愛されたがりとか。それでいて結末の救われないこと。なにせ中学生にして二人を殺してしまったからな。秘密を共有している少女たちの無謀さが、哀しくていとおしい。世界を変えるには、彼女たちは余りにも非力なのだけれども。作者の書く少女はとても好みなので、引き続きいろいろ読んでみる。ところで、「少女が好みです」なんて言ってる私(女性。それなりに妙齢)は、アブナイんだろうか。心配。

少女には向かない職業 (創元推理文庫)

少女には向かない職業 (創元推理文庫)