旅と日常のあいだ

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2023年2月の読書記録。ゲームの王国、光のとこにいてね、嘘の木など。

2023年2月の読書記録。数字は今年の読了冊数。先月につづき小川哲推し。

『ゲームの王国』小川哲(11)

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『星を掬う』町田そのこ(12)

読んだのは1か月前ですでに内容うろ覚え、あまり印象に残ってない…。読んだ直後に書いたメモには「でてくる男どもがクズばっかり。追いつめられて閉じこもらざるを得ない環境がしんどい」とある。そういえばクズばっかり出てきたし、あと全体的に不幸の量が多すぎると感じたことを思い出した。(このあと同じ作者の『宙ごはん』も手に取ったのだけど、あるキャラの身勝手さとそれに振り回されて生じる不幸に嫌気がさして序盤で読むのを中断。町田作品の、不幸の分量に対する救いのバランスが私には合わないのかも?)

『しろがねの葉』千早茜(13)

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『光のとこにいてね』一穂ミチ(14)

序盤の少女時代のエピソードが最強。せまかった自分の世界が、異なる生活環境にある同世代女子と出会うことでお互いに開かれて一気に鮮やかになるきらめき。その特別さやまぶしさに胸がきゅっとなる。会話に出てくる「光のとこにいてね」の使われ方がすごくいい。光の明るさとともに、そこに内包されてる陰の部分を予感させてなんとも切ない。ところが中盤~終盤、少女たちが大人になるにつれて、展開がご都合主義というか、ふたりのキャラがこんなにも似すぎてるのはどうなの?とか、そもそもお互いになんでこんなに固執してるんだっけ?とか、どうにものめり込めなくなっちゃった。おもしろく読んだけど、失速しながらなんとかゴールしたみたいな感じ。ラストにはびっくりした!

『嘘の木』フランシス・ハーディング(15)

めずらしくイギリスの児童文学など。舞台は19世紀イギリス、女性が自分の好きなように生きることなど求められていないヴィクトリア時代の、科学大好き少女の冒険譚。海風が吹きすさぶ荒涼とした島やそこに建つ屋敷という英国ダークな世界観にわくわくした。ファンタジーかつミステリーにして、性差や生き方の選択や母娘関係など重めテーマがてんこ盛り。盛りすぎなくらい。女が科学者を目指すなんてとんでもない!という時代があったんだよな、それもそう遠くない昔に。出てくる女性キャラが、それぞれの方法で世間や男社会に対峙するしたたかさやしなやかさがおもしろかったな。