旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


隠れ家のようなカフェ「UTENA(ウテナ)」をすごく好きになりそう

野々市にある【UTENA CAFE BAR + STAY.】というカフェ。SNSで見かけてクラシカルで非日常的なたたずまいに惹かれ、いつか行きたいと思いを募らせていた。そのことを友人に話したらぜひ行ってみたいというので、タイミングをあわせて(満を持して有給までとって!)初訪問。憧れを裏切らない、とても素敵な空間だった。

ひっそりした住宅街に建つ一軒家。鳥かごの看板、紺色の壁、石造りの玄関、古めかしい扉……。物語に登場しそうな雰囲気にときめく。

靴を脱いでスリッパに履き替え、フローリングの室内へ。使い込まれた木肌のテーブルと椅子、グレーの壁、クリーム色のカーテン、レンガやタイルの装飾、ドライフラワー。世界観が徹底的に作り込まれていて、静けさと可愛らしさと大人っぽさが調和するような場所だった。例えて言うなら、しなやかな革の手帳をひらいたり、羽根ペンにインクを浸してお手紙をしたためたくなるような。

抹茶テリーヌとベリーソーダ。抹茶テリーヌの濃厚さとなめらかさにうっとり。軽すぎず重すぎずの絶妙な口当たり。ソーダはベリーの甘酸っぱさに加えてハーブがほんのり効いていて、独特の清涼感があった。後ろは友人のカラメルプリンとウインナーコーヒー。見るからに焦がし色のはっきりしたカラメルソースといい、パフェかと見紛うようなたっぷりのホイップクリームといい、おいしそうな要素しか見当たらない。

この日は雲ひとつない快晴で窓際には光が差し込んでいた。それもいいけど、この店の雰囲気には曇り空や小雨がけむる天気が似合うように思う。真夏よりも秋や冬。ぴかぴかな明るさより、ほの暗くて静謐でしっとりした空気。大人数より、ひとりかふたり。

帰宅して、我が家の現実とのあまりのギャップに呆然。床には朝子どもがばらまいていった漢字かるたが散らばり、あちらこちらにレゴブロック、積み木、線路、アイロンビーズが点在。「足の踏み場がない」を地で行く様相に笑いが出てくる。ウテナのような素敵アンティーク空間に憧れるけれども、我が家をそのように仕立てることは到底無理。その意味でも、日常から離れた癒やしの場所としてウテナが必要だ。また近いうちに行こう。読みかけの本をもって、数時間のひそやかな逃避。

UTENA CAFE BAR + STAY.

石川県野々市市本町1丁目35−19