金沢市寺町にある小さな店「坂の上ベーカリー」。前に一度行って、店のたたずまいも店主の人柄もパンもいっぺんに好きになった。今日やっと再訪、実に11ヶ月ぶり。
棚のレトロ具合がかわいい。
「パンが少なくてすみません、スタッフが育って優秀になってきたので最近になって開店時刻を早くしたら、早いうちからお客さんが大勢いらして、残りが少なくなってしまいました…」と店主。前にも感じたことだけど、店主は本当にお話好きで、気さくすぎるくらい気さく。パンが大好きで、パンについて語ることが大好きで、お客さんにパンのおいしさ楽しさを伝えたいという気持ちが表情からも(そして主に口からも)あふれてる。こちらが聞く前から、並んでいたパン5種類と焼き菓子2種類について、味や食べ方、歴史やうんちくを教えてくれた。パン屋でチンギス・ハーンの名を聞くことになるとは想像もしなかった(笑)。
初めて知った、ファーブルトンというフランスの伝統焼き菓子。説明が魅力的だったので迷わず買った。「まるごと1個プルーンが入ってます。中はカヌレのようなプリンのような、でもカヌレより柔らかい生地でもちもちしてます」
左がファーブルトン。プリンがしぼんだような、いびつなUFOのような形。全体的に柔らかくもっちり、カスタードクリームみたいな味。これはおいしい! プルーンの甘酸っぱさが合う。こんなお菓子があることを今までまったく知らなかった。パン屋さんを通じて世界の未知なるおいしいものに出会える楽しさよ。1個150円。
右は苺とチョコのカンパーニュ。いちごがごろごろ入ってる。教えてもらったとおり200℃のトースターで2分ほど焼いてから食べた。表面はほんのりカリッと、生地はむちむちと歯ごたえがあって、噛みしめるたびにチョコの甘さとビターさ、いちごの甘酸っぱさが広がる。これまたおいしすぎた。
店を出るとき「いってらっしゃい」と声をかけてくれて、前もそうだったな、これがなにげに嬉しいんだよねと気持ちがほわほわ。そして行くたびに新しいおいしさが見つかりそうな大きな期待感がある。また次、時間をあけずに行ってみよう。