白山市鶴来の山あい、比咩(ひめ)神社から車で5分の場所にある、食べどころ民家 はせがわへ行った。築百年近い古民家を改装した一軒家の和食処。
まわりは山を田んぼとカエルの鳴き声に囲まれて、いい具合にひなびたロケーション。
料理はコースのみ、昼は2500円と3500円、夜は4000円。子連れオーケーかどうかわからず電話でたずねたところ、とても丁寧かつ親身に回答してくれてそのまま予約。行く前からあたたかな気分になった。子ども歓迎、専用イスはないがクッションで高さ調節可。子ども用メニューあり。ただし今回は注文せず大人の分から取り分けることに。
着いてみたら、外観も玄関もそんまんま「誰か知り合いのおうち」的な雰囲気。玄関で靴を脱いで上がり、廊下を進んで居間的な部屋へ。どっしりした大きなテーブルに椅子が5脚、ここが我々の席だった。なんというか、じつに家っぽい。見える範囲にほかに2部屋あって、それぞれテーブルがひとつずつ。
大人4人で昼の3500円コースを注文。品数もボリュームも多くて、調理のバリエーションが多彩。盛り付けが華やかで、一皿ごとに「おお~」「うわ~」と声が出た。
一皿め、野菜寿司の盛り合わせ。一口サイズのシャリが隠れてます。味や食感、素材の組み合わせにひと工夫もふた工夫もありどれも違ったおいしさ。
吸いものが出たあと、地魚と野菜の天ぷら。時節柄、山菜だった。春の香り。
小海老と春菊のグラタン。ほろ苦さとクリームソースが合う。自分じゃ思いつかない組み合わせ。
選べるメインは、能登豚肩ロースの生姜焼きとサラダの盛り合わせ。そしてごはんとお味噌汁。他の選択肢はロースとんかつ、野菜ハンバーグ、イワナの塩焼き、ブリカマ焼きなど。サラダがカラフルで、これだけで野菜が十何種類はのってる。生のものだけじゃなく、揚げたり煮含めたりアレンジいろいろ。ひとつずつ味を確かめ、よくかみしめ、わくわくしながら食べた。
デザートとコーヒーで締め。フルーツの向こうにガトーショコラが隠れてるのを、なぜが子どもがいち早く見つけ、「その茶色いのほしい!」と要求。そこにそれがあること、それが甘くて濃厚でおいしいものであることがどうしてわかったのか。恐るべき嗅覚だな。
調理と給仕と、あわせて二人で切り盛りしているようだった(たぶん)。このときのお客は3組で、コース全部で1時間40分。子どもには適宜取り分けて、自分で食べたり横から食べさせたりした。途中でお腹いっぱいになり、座っているのに飽きてしまって「ぼうけんしてくる」とイスから降りたがるので、そのたびに大人が付き添ってテーブルの周りをうろうろしたり、抱っこして調度品を眺めたり。ほかのお客さんと距離がじゅうぶん離れているので、うろちょろしても邪魔にならないのが助かった。
地元の野菜がふんだんだし、ザ・古民家な落ち着いた雰囲気も含めて、豊かな時間を過ごしたなあという満足感がものすごく大きいお店。季節が変われば、登場する品も変わるんだろうな。夏や真冬にはどんな料理が登場するのか、またいつか行ってみたい。
▼近くにある焼き菓子のお店、スーヴニールもおすすめです。