旅と日常のあいだ

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Perfumeの衣装展を見に兵庫県立美術館へ。すばらしい展示会だった。

Perfume の衣装展「Perfume COSTUME MUSEUM」を見に兵庫県立美術館へ行ってきた。金沢から電車で片道4時間の日帰り一人旅。移動時間も含めて濃厚で充実、天気はいいし展示会は素晴らしいし、現地で合流した友人とのおしゃべりもおやつも最高だった。行けてよかった。

 

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JR灘駅から海に向かって坂を降りていく。振り返るとすぐ後ろは山で、この感じが神戸だなあと思う。初めて訪れる兵庫県立美術館は、屋根の上に奇怪なモノが見えて目を疑った。これもれっきとした美術作品(館内に説明文があった)。ものすごいインパクト。

 

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美術館の入口で、本企画のメインビジュアルがお出迎え。これよく見るとすごいんだよ、一枚の黒い紙を切り抜いて(白い部分)、それをくるりと体に巻き付けて青い衣装のように見せている。折り紙&切り絵の技法が超クール。

 

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美術館の建築は安藤忠雄氏。無機質的な空間が、Perfumeを象徴する近未来や三角形といったモチーフとぴったりはまってる。エントランスのこの雰囲気だけでもう、期待と興奮があふれすぎて苦しい。

展示衣装は約170着。私のPerfume好きは15年以上で、初期の頃からだいたいの衣装に見覚えがある。衣装を振り返ることはPerfumeの歴史を振り返ること。順番に眺めていると、3人の年齢的な成長とか、知名度や人気が拡大していく過程とか、テクノロジーを駆使しながら世界に向かっていく挑戦とか、ありとあらゆるシーンが思い起こされて胸に迫るものがあるのだった。

 

一部、写真撮影OKのコーナーも。衣装は手が届くほどの近距離で、生地の重なり、縫い目、フリルやレースの細部までがよく見える。素材とか質感とか、画面越しでは気づくことのできない圧倒的なリアリティ。

衣装だけでなく、型紙とか設計仕様書とか、製作に関わる資料の展示がとても興味深かった。見映えがよいとか踊りやすいだけじゃなく、その衣装で何を表現したいのか、何をどうアピールするためのデザインなのか、それを伝えるためにどんな素材を選び、どう縫製するのか。プロの観点、プロの技術の奥深さや徹底的な追求の姿勢を垣間見て、この衣装ひとつひとつにこれだけの知恵と手間と情熱がこもっているのか…!と気が遠くなる。一着に10種類以上の生地を使ってるとか、何十枚もある型紙を縫い合わせて立体感を出すとか、思いどおりの色を出すために生地を染めるところから始めたとか。

衣装のすぐそばでミュージックビデオが上映されており、実際に着用するとどう見えるのか、ダンス時にどんな動きをするのかがわかる構成もよかった。

初期の頃は既製服にアレンジを加えて使っていたのが、だんだんオリジナルの衣装を作るようになり、3人それぞれの定型ができて(あ~ちゃん=ワンピース、のっち=ショートパンツ、かしゆか=ミニ丈)、三角形や幾何学模様を取り入れることが多くなっていく。それがやがて、定型にとらわれない丈やデザインを着るようになり、円形や曲線を多用するようになり……という変遷がおもしろかった。

 

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3人それぞれが、お気に入りの衣装を本人コメントとともに紹介するコーナーが楽しかった。どういうところが好きなのか、これを着たときどういう気持ちだったのかというエピソードをかみしめつ改めて衣装を見ると、こちらの思い入れまでアップ。ちなみに上の3着は、のっちのお気に入りセレクト。


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3人それぞれの良さや「らしさ」を引き出しつつ、3人で踊るときの統一感やバランスが計算されているの、すごいな。ここに本人たちはいないのに、その衣装を誰が着てどんな顔をしているのか目に浮かぶのもすごい。


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細部のどアップとか後ろ姿を見られるの貴重だ。まじまじと凝視。

いや~、たっぷり堪能した。いい展示会でした。展示の構成や解説文から、主催者がPerfumeを大好きなことがビシビシ伝わってきたわ。今ここにいるお客さんもきっとみんなPerfumeが好きで、その人たちと同じ空間にいて一緒に満たされた気持ちでいることが、なんだかとても幸せだった。

あの衣装もこの衣装も、すぐ目の前で好きな角度から見られて楽しかったなー。これを着てるPerfumeにも、製作チームにも、ますます尊敬や憧れの気持ちが増した。今は、片っ端からミュージックビデオやライブ映像を見て、衣装をはじめとした世界観にどっぷり浸りたい気分。

▼お昼は近くのJICA関西食堂で。おやつは三宮のハーブスで。

 

▼今回の展示のもとになった企画であり、これまでの衣装を網羅的に紹介した資料的一冊。見飽きないよ。