会社の昼休み、隣席のNがクレープを買ってきてくれた。しっかりお弁当を食べた後だが問題なし。生クリームたっぷりのイチゴクレープをおいしくいただく。
当のNは、勢いよく食べ始めたくせに途中でつらくなってきたらしく、「もう無理かも」と弱音を吐いている。仕方がないのう、あとは私にまかせるがよい。食べかけの桃クレープ(アイス入り)をありがたく頂戴する。食べすぎですか? 食べすぎですね。
さて今朝は、食欲旺盛な私にうってつけ(?)の小説を読んだ。森福都の『琥珀枕(こはくちん)』。その昔、中国のある街に大食いの青年がいた。一食で豚を三頭、白菜の炒め物を二十個分、焼き餅を百枚食べるというから凄まじい。しかし、空腹は満たされることがなく、いっこうに太ることもなく、青年の体は骨と皮ばかりである。どうしてどうして? その原因は、彼に憑いていた鬼。この鬼が大食い病にかかっていたのだ。
私のお菓子病も、眼には見えない鬼の仕業なのかもしれぬ。そういえば最近なんだか肩が重いのも、資料ばかりが積みあがって仕事が進まないのも、そう言いながら煎餅なんぞを食べているのも、たぶんみんなそうだ。
『琥珀枕』、おもしろいです。古代中国を舞台にした怪奇短編集で、ちょっとホラー、ちょっとミステリー。怪しげな薬や妖怪じみたものや絶世の美女やらが、ぽんぽん登場する。世界のすべてを見通す千里眼の先生がまた良くて、普段はおじいちゃんの格好なのだが、その正体は実は、すっぽんなのだ! 古代中国という設定には、こういう奇想天外なできごとが現実にあったのかもしれないと思わせる大らかさみたいなものが、ありますねえ。