直木賞が発表されましたね、今回はダブル受賞で河崎秋子さん『ともぐい』と万城目学さん『八月の御所グラウンド』。『ともぐい』の受賞は絶対あると思ってた。先日の感想ブログで、これが受賞すると思うと予想してたのが当たった。だってものすごいもの、書かれてる世界の緊迫感や臨場感を読者にありありと感じさせる力が。
『八月の御所グラウンド』は、発表前日の昨日、ぎりぎり読み終えたところだった。爽やかさとともに、まさかの方向から泣かされたわ~。何の前情報もなしに読むのがベストだけど、直木賞受賞で宣伝文句やあらすじ紹介が飛び交いそうだな。
京都を舞台にした2編からなっていて、1つは高校駅伝もの、もう1つは大学生の草野球もの。文章が明快で読みやすい。(個人的に、森見登美彦よりうんとマイルドだなという感想。両者とも京都・奈良を舞台とすることが多い書き手だからどうしても比較してしまう)
高校駅伝のほうが思わぬ展開で「おっ!?」となり。続く野球のほうは、スポーツつながりという以外に共通点はないのかなと思っていたらの、「ええっ!?」。怖くない怪異とファンタジーが日常にまぎれこむ系のストーリーで、ほうほうそうくるのか!と。普通じゃ考えられない不可思議な現象も、京都でならありえるかも、と思いながら読んだ。土地に積み重なった歴史の濃さが段違いで、何が起きてもおかしくないと思わせる土壌があるよな。物語世界における京都という舞台設定の、強い説得力。
タイトルにもあるとおり8月のできごとが描かれているのだけど、若者が未来を断ち切られたり、夢や思いを遂げるチャンスを強制的に奪われたりする、そんな歴史的事実がたくさんあったということに改めて打ちのめされた。読後感はポジティブ。くさくさしてないでちゃんと生きないとね、って前向きに思わせてくれる。
さて来週はわたし的に大注目の新刊が2冊出る。1月24日、森見登美彦『シャーロック・ホームズの凱旋』。ここ最近、奇作というか怪作というか、ファンでもついてくのがやっとだぜって感じの作品で読者を混乱させてくれる森見氏。今回は果たして。
そして、成瀬あかりファン超待望の続編がついに ! 待ってた! 喉から手、口から心臓、鼻からスイカだって出そうなほどに熱望してたのがいよいよ1月22日発売。(表紙絵の成瀬が美人度増しててこれだけですでにクラクラしてる)