旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


2013秋 北アルプス、槍ヶ岳~大キレット~前穂高縦走!(6)

槍ヶ岳~前穂高縦走記録の6回目、「奥穂高~紀美子平」編。前回の記事はこちら
 

穂高山荘に宿泊し、明けて三日目の朝。今日は最終日、奥穂高山頂に登って、前穂高まで縦走して、一気に上高地に下る行程。

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午前5時40分、夜が明ける前に山荘を出発。うっすら明るいのでヘッドライトはいらないが、とにかく非常に寒い。シャツにアームカバーにフリースにレインウェア、首に巻物、ニット帽、足元はタイツ+レッグウォーマー+ショートパンツ+レインパンツの重ね履き。着ぶくれガール。奥穂高の山頂までは50分ほど。去年も歩いた道なので淡々と進む。

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山頂手前から、西穂高方面を望む。左の岩に白く「西ホへ」と書いてある。右側の丸い頭は「ジャンダルム」。初心者が踏み込んではならない場所である。大キレットは超えられたけれど、ジャンダルムには行ける気がしない。

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山頂を踏んで、下りて、ちょっと広くなっているところでお湯を沸かしてコーヒーを飲む。寒いけど、温かい。けど、めちゃくちゃ寒い!!後ろに見えるほこらが山頂。このあたりは雲や霧が多くて槍ヶ岳を見ることはできなかった。奥穂高をさっさと後にして、続く前穂高へと進む。

穂高までは「吊尾根(つりおね)」と呼ばれる稜線歩き。昨日越えてきた道に比べてアップダウンも少ないし、とにかく前穂高まで行けばあとは下るだけだし、気分も軽い。

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とか言ってたら、さっそくの急な下り。

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眼下に広がるのは涸沢カール。去年はあそこにテントを張って奥穂高に登ったのだった。

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稜線歩き。だんだんと晴れて青空になってきた。これは景色が期待できそう。

すいすい進んで、前穂高岳への登り口である「紀美子平(きみこだいら)」に到着。荷物はここに下ろし、身軽になって前穂高山頂を往復するのである。みんなのザックでいっぱい。

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「マエホ」をめざして出発。今回最後の3000メートル峰はすぐそこ!

 

 

 

2013秋 北アルプス、槍ヶ岳~大キレット~前穂高縦走!(5)

槍ヶ岳~前穂高縦走記録の5回目、「北穂高~奥穂高」編。前回の記事はこちら

 

穂高小屋から北穂高岳山頂まではわずか1分ほど。さくさく歩いて、今回5つ目となる3000メートル級の山頂を踏破。

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(本ブログでは、山頂ではリカちゃんが登場することになっています。しばしお付き合いください)

ここから奥穂高までの道のり、非常につらかった。というか、なめていた。私の頭の中はここまでの「大キレット」でいっぱいで、その先のルートについてはおまけみたいに考えていた。キレットさえ越えられれば、その先は勢いで行けるでしょ、みたいな。コースタイムは2時間30分ということで、うまくいけば2時間ちょっとで行けちゃうんじゃない?みたいな。

しかしそんなことはまったくなく、登りも下降も急だし、危ないし、疲労はたまるし、今になって眠くなるし。あとでガイドブックを見たら、この北穂~奥穂間は「気が抜けない難路。国内有数の困難な岩稜縦走路のひとつ」と書かれていた。ハイ、確かに。そりゃしんどいはずだわ。

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岩場を下る。真ん中の黄緑は私の背中。

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足場がすべすべで恐ろしい。よろよろ。腰が引けてますな。

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垂直のハシゴをせっせと登る。

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クサリを頼りに、せまい道をたどる。ふらふら~。

 

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いつになったらゴールにつくのやら……

途中、これまでの歩行時間からいって半分くらいきたかな?と思って地図を見たらまだ全体の四分の一くらいしか進んでいなくて、あのときは心底打ちのめされた。ガビーンってなった。

考えてみれば昨日も10時間ほど歩いて槍ヶ岳に登ってきたわけで。今朝も早起きしてずっと歩いているわけで。脚も上がらなくなるし、ペースも上がらなくなるよなあ。コースタイムは2時間30分とあるが、この調子では3時間30分ほどかかりそう。まさかまさか、こんな稜線上で日没を迎えるなんてことになったらピンチである。なんとしても明るいうちにたどりつかねば!とちょっと焦り始める。

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穂高までの稜線上にあるもう一つのピークは涸沢(からさわ)岳、標高3,110m。雲が多くなってきて、何やらものものしい雰囲気になっております

そして、ここ涸沢岳からは眼下に赤い屋根が見えた。目指すべき奥穂高山荘!やったー、やっとゴールをとらえたーーー!!! スキップしたい気分である。

穂高山荘に着いたのは16時40分であった。コースタイムを70分オーバーしての到着。いやあ、時間がかかった。大キレットへの入口で声をかけあった70歳の夫婦は先に到着しており、談話室でくつろいでいた。すでにお酒を飲んで良い気分になっている模様。こちらに気づいて手を振ってくれた。ご夫婦とも小柄だけれど体力がある。こちらは(なけなしの)若さだけが取り柄なのに、体力のもちが全然違うなー。

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夜ご飯がおいしい!鮭!コロッケ! お味噌汁とごはんはおかわり自由

消灯は20時、泊まった部屋には定員ぴったりの10名がいた。私の寝床は2段ベッドの上段、屋根裏のため天井が低くて狭い。だからなのか何なのか、昨日の槍ヶ岳山荘と比べるとまったく寝付けなかった。やっと眠ったかと思えば深夜に誰かの声で目が覚めた。会社員が営業先であいさつしているような内容で、まさかこんな時間に電話?と思ったが、どうやら寝言であったようだ。あんなに明瞭で長文の寝言がこの世にあるなんて。本人は知らないのであろうか。

さあ、明けて翌日は最終日、奥穂高岳前穂高岳を経て下山の予定である。

tokotoko.hatenablog.jp

2013秋 北アルプス、槍ヶ岳~大キレット~前穂高縦走!(4)

槍ヶ岳~前穂高縦走記録の4回目、「北穂高小屋で小休止」編。前回の記事はこちら

キレットを越え、北穂高小屋に到着した我々。小休止して達成感にひたる。

当初予定のルートは、槍ヶ岳→南岳→大キレット→北穂高(宿泊)→奥穂高(宿泊)

二日目の今日はここ北穂高小屋に宿泊する予定だったのだが、ここまでいいタイムで歩けているので、さらに進んで奥穂高まで行く計画に変更した。そうすれば、翌日の行程がかなり楽になるので。

穂高小屋は、北アルプスにあるたくさんの山小屋のなかでも特に人気が高い。その理由のひとつが、テラス前に広がる大パノラマの絶景。

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よく歩いたなー。(ずっとザックの中で静かにしてた)

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歩いてきた道はピンク。ずいぶん下って、それからまた頑張って登ったものである。

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おしるこを注文。箸休めの漬け物とお茶がついて500円。染みわたる~

穂高小屋オリジナルの手ぬぐいが可愛くてほしかったのだけれど、既に売り切れてしまっていた(槍ヶ岳でもそうだった)。お盆過ぎくらいのハイシーズンに来ないと入手できないのね。しかしまあ、もう一度買いに来るにはあまりにも遠いよね。

さて、小一時間ほど休んで13時に出発。ガイドブックによれば奥穂高までのコースタイムはおよそ2時間30分なので、15時30分には到着できる読みである。しかしこの読みがまったくあてにならなかった。歩いても歩いてもゴールが近くならないんだもの。予定より早めに意気揚々と北穂高小屋をあとにした我々、このあと、気持ちがどんどんくじけていく奥穂高までの道のりはまた次回に。

 

2013秋 北アルプス、槍ヶ岳~大キレット~前穂高縦走!(3)

槍ヶ岳~前穂高縦走記録の3回目、「大キレット」編。前回の記事はこちら

 

夜明けとともに槍ヶ岳を出発し、気持ちの良い稜線を歩いて南岳に到着した我々。ここから北穂高までおよそ4時間、いよいよ踏み込む難ルート「大キレット」。緊張はありながらも、不安や心配より楽しみな気持ちのほうが大きい!

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キレット入口そばの展望スポットにて気合いを入れてからスタート。

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展望スポットから見えるのはこれから進む道。いったん大きく下って、両サイドが切れ落ちた岩場を歩いて、行く手にそびえる北穂高を登りきる、と。たいへんだな!

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キレットのはじまり。ここからは緊張感あふれる写真とともにどうぞ。

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クサリを使って下る人たち。急傾斜にもほどがある。

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下を見るとだいたいこんな感じ。基本的に、崖っぷち。

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下りのクサリ。足をかけられる場所を探しながら、そろそろと。

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岩にはりつきながら、目印のマーカーに従って進む。f:id:lovestamp:20180527115928j:plain

岩に打ち込まれたステップ。これだけ? 岩の側面を進むのに、これだけで全身を支えるのかい? 左側、崖ですけれども。本当にコイツを信用していいのだろうかと疑いつつ、しかしほかに頼るものもないので足をかける。慎重に、かつ、「なるようにしかならんわ!!!」という心境。

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ぶるぶる。

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足元。ヒイイィィィィイ!!

こんな調子で、大キレットは実にスリリングな道であった。持って行ったリカちゃん人形を出せる余裕はゼロ。下手するとリカちゃんとともに滑落、万が一にも私が滑落してリカちゃんだけが助かったなんてことになったら、新聞各紙やニュース番組でどんな悲劇的(もしくは喜劇的)な取り上げられ方をするであろうと想像すると、とてもとても人形を出して撮影している場合ではないのであった。

事前にルート図を何度も見て、中でも危険度の高い場所として脳に強く刷り込んでいた要注意スポットが二か所、「長谷川ピーク」と「飛騨泣き」。名前からしてなんだか恐ろしげ。ガイドブックによると「三角錐の頂点をまたぎ、右足は右の谷へ、左足は左の谷へ置く」とか「道をふさぐ巨大な岩をよじのぼって越える」とかわけのわからんことになってて、とにかくこの二つがキレットの中でも核心部、全神経をとぎすませて挑まねばならぬ!と、相当な警戒と覚悟でもって進んでいたのだが……

気がつくと、どこが「長谷川ピーク」なのかどれが「飛騨泣き」なのか、わからないまま通過完了していた。あれ?? 怖さのあまり泣いちゃうくらいかと思っていたのに、「飛騨泣き」は一体どこへ?

しかしとにかく無事にキレットを抜け、ゴールの北穂高小屋はもう目の前。見上げるほどの急な岩場の上に、小屋のシルエットが見えた!

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当初はここに宿泊する予定だったが、この時点でまだ12時過ぎ。時間の余裕があるので計画を変更し、さらに進んで奥穂高山荘まで行くことに決めた。早めの進行にルンルン気分で出発した我々だが、このあと、警戒していた大キレット以上に苦しむことになろうとは、まだ知らないのであった。

 

2013秋 北アルプス、槍ヶ岳~大キレット~前穂高縦走!(2)

槍ヶ岳~前穂高縦走記録の2回目、「槍ヶ岳~南岳」編。前回の記事はこちら
 

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1日目の目的地は槍ヶ岳山荘。山頂直下にある山小屋である。そこまでの坂が、わかってはいたけれども大層きつい。谷間はどんどん日陰になっていき、体は冷えるし心細い。ちっとも近づかない山荘を見上げ、少なくなる気力と体力を振り絞ってただただ歩く。

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山荘間近で、歩いてきた道を見下ろしたところ。下に別の山小屋が見える

あまりにも疲れ果てており、とにかく無事に山荘に着けばそれでよし、という気持ちが高まってしまった。槍ヶ岳の山頂には登らなくてもいいよね、去年登ったしね! 槍ヶ岳山荘に到着し、部屋に荷物を置き、往復1時間足らずの山頂をすぐそこに見ながらも、「今回はあえて登らない」という余裕の(っていうか余裕のない)選択をした。悔しくなんかない。

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槍ヶ岳バックのリカちゃん、登頂ならず。私を置いてリカちゃんひとりで登ってくれてもまったく構わないのだが、そういうわけにはいかないのであった。

小屋が用意してくれたご飯を食べ(鶏の南蛮揚げ、ポテトサラダ、ごはんとお味噌汁、オレンジ、サラダ)、お湯を沸かしてコーヒーを飲み、そうこうするうちに夜はふけていき、満点の星空が。

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流れ星がひとつ見えた(気がした)

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翌朝、山荘前のテラスから見事な日の出と朝焼け。富士山もよく見えた。

槍ヶ岳山荘は私にとって過ごしやすい小屋なのか、非常によく眠れた。去年も今年も、一度も目覚めることなく朝まで爆睡。富士山の山小屋で眠れずに苦しんだのが嘘のような、「あ~、よく寝たなあ」という目覚めがありがたい。

 二日目の今日は、いよいよ大キレット越えである。槍ヶ岳から、大喰岳(おおばみだけ)、中岳、南岳を過ぎ、大キレットを経て北穂高小屋へ。今日のルートはそんな予定(結果的にはもっと先まで行くことになったけれども)。

南岳までは危険個所もなく、山々を両側に見ながらの最高の稜線歩きであると聞いていた。気持ちのいい道だから、ついゆっくりしすぎて時間を使いすぎないように、と。そのとおり、ここは本当に気持ちのいい道だった。

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槍ヶ岳にさようなら。背後にしたがえて、稜線歩きのスタート。

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まずは大喰岳(おおばみだけ)。槍ヶ岳に続く、3000mの山第二弾。

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次なる山にむかって稜線を進む。左右前後、すべて山。

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三つめ、中岳。槍ヶ岳の眺めもすばらしい。

このあたりで何組かの登山客と抜いたり抜かれたり。なかでも70歳だという登山好き夫婦とよく一緒になって話をしたのだが、私よりずっと体力があり元気ですいすい歩いており、引き離されないようにとひそかに目標にしていたのだが、結局、まったく追いつけなくなってしまったのだった。奥様いわく「時間があっても健康でなければ遊べないし、お金がなくては山に登れない。今のうちから、計画的にやることよ」。金言である。

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こんな道やら

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こんな道を進み…… 

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四つ目の山、南岳に到着。

ななめ前にはずっと富士山が見えており、振り返れば槍ヶ岳が控えており、そして正面にはこれからアタックする北穂高。ここまでは体調も気分も天気も上々、いよいよここから大キレットに踏み込む!

 ▼続きはこちら

 

2013秋 北アルプス、槍ヶ岳~大キレット~前穂高縦走!(1)

昨年、北アルプスの奥穂高山頂に立ち(夏山2012 北アルプス、奥穂高(1) - 旅と日常のあいだ)、その後槍ヶ岳山頂に立った(2012秋 北アルプス、槍ヶ岳登山(1) - 旅と日常のあいだ)私が次なる目標としたのが「その二つの山を結ぶ稜線を歩くこと」。その間には「大キレット」と呼ばれる難所があり、ガイドブックなどによると「国内の縦走路では屈指の難路、初心者が踏み入ってはならない」とある。

いつかは歩きたい憧れルートであるとともに、少々の覚悟も必要となるルート。足場の小さな岩の道、両サイドは深く切れ落ちた絶壁。恐ろしい要素が満載であり、「行きたい、でも怖い、しかし行きたい」とそれなりに悩んだ挙句、これまでの経験と体力からみて天候条件が悪くなければ行けるであろう、少しでも天候と体調に不安があれば迷わず退却すべしという慎重な判断をし、二泊三日での縦走計画が決行されたのであった。

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槍ヶ岳~大キレット前穂高岳縦走】
2013年9月29日(日)、30日(月)、10月1日(火) ずっと晴れ

◆1日目=上高地5:30-6:15明神-7:00徳沢7:40-8:40横尾-9:30一ノ俣-10:10槍沢ロッジ10:35-11:40水俣乗越分岐-12:50天狗原分岐-15:40槍ヶ岳山荘(泊)

◆2日目=4:30起床、5:35日の出、槍ヶ岳山荘出発6:00-6:20大喰岳-7:00中岳-8:10南岳-8:30南岳小屋8:45-12:15北穂高岳13:00-16:15涸沢岳-16:40穂高岳山荘(泊)

◆3日目=4:30起床、穂高岳山荘出発5:40-6:20奥穂高岳6:45-8:35前穂高岳(紀美子平)9:30-11:30岳沢小屋12:15-14:00上高地
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写真中央の稜線、これが噂の大キレット。まあ見てよ、両側に切れ落ちる崖っぷりを!

 【今回のルートの見どころ】
・三日間の歩行距離50km以上
・ルート上にある3000m以上の山8つを縦走する
・難所ルートである「大キレット」踏破

裏目標】
・史上初!リカちゃんが大キレットに挑戦(史上初かどうか知らんけど)

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一日目、まず目指すは槍ヶ岳。昨年と同じ、上高地~槍沢~山荘というルート。昨年は途中で一泊して二日がかりでの登頂だったが今年は違う。山頂まで一日で一気に登る計画である。

 体力はおそらく問題ないが、日没の早いこの時期、到着時間が遅くなることだけが不安。というわけで出発時刻を昨年より大幅に早める作戦。マイカーが入れる終着地点の沢渡(さわんど)で車中泊をし、超早起きをして始発のシャトルバスより先にタクシーに乗って上高地入り。睡眠はわずか3時間、しかも寒すぎてうまく寝つけず。この睡眠不足により、のちほど大いに気分が悪くなることに。

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おなじみの上高地河童橋。夜明け前にここにいるのは登山者ぐらい。奥に見える稜線が、三日目に歩くことになる道。ほんとに行けるのかな。

まずは横尾まで、アップダウンの少ない3時間の道。とりあえず寒い。フリースを含め長袖3枚、首にはマフラーをまきまき。川沿いをいい気分で歩く……といきたいところだが、このとき体調は絶不調。とにかく超絶に眠すぎて意識もうろう、立ったままウトウトし、歩きながら夢まで見る始末。

歩くペースがまったく上がらずのろのろと進む。胸のあたりがむかむかとして辛く、同行者に「倒れ込んで眠ってしまいたい」と言ったところ「草むらで寝てていいよ、帰りはこの道を通らないから拾えないけど」と返される。悔しいので頑張って歩きましたとも!

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徳沢のキャンプ場は朝もやの中

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今回も彼女が一緒です

あまりにも眠いので、この徳沢の芝生広場に転がって20分ほど寝た。その後、朝の光を浴びたら気持ちがすっきりし、急に元気が出て歩けるようになった。小一時間歩いて、横尾に到着。

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横尾。今日も快晴。昨年からずっと、山の天気はいつも満点

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槍沢までは沢沿いの道。木陰は気持ちがよい(でも日なたの方が多い)

槍沢ロッジに着いたのは10時10分。昨年は13時30分だったので実にいいペースである。昨年はここで一泊して翌日に備えたが、今日はノンストップで山頂へ。一度来たルートはどこがキツイかわかっているので時間や体力の配分がしやすい。まあ、配分したところで疲労感が減るわけでもなし、キツイことに変わりはないんだけど覚悟ができるっていうか。

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水俣乗越の分岐点で小休止。おやつに持っていった「シャインマスカット」これが大ヒットだった。皮まで食べられるタネなしマスカット、甘さとみずみずしさが何よりのごちそうで、しかもゴミが出ないっていうのが素晴らしい。たくさん持っていったのに、初日で食べつくしてしまったよ。

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紅葉にはまだ少し早くて、色づいている木々はあまり見えず。

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水の湧いているところでは、コップに汲んでゴクゴクと飲む。すっきり冷えたアルプスの天然水!めちゃくちゃ美味しい。

この日は晴天すぎて日差しが強く、暑さに体力を奪われた。寒かったのは早朝だけ、すぐに暑くなって半袖になり、汗をふきながらの山行となった。すれちがう登山客のあいさつも「晴れてよかったね!」と「今日は暑いね!」が多かったな。9月も終わりだというのにね。

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暑さと急登を越え、ようやく槍ヶ岳の姿をとらえたところで、次回へ続く。

▼続きはこちら

 

2013年 山梨県吉田口より富士登山(2)

富士登山の続き。前回の記事はこちら→(2013年 山梨県吉田口より富士登山(1) - 旅と日常のあいだ

午前2時半に吉田口八合目(標高3400メートル)の山小屋を出て渋滞する山道を登ること約2時間、山頂について日の出を待つ。山頂には複数のお土産屋があるのだが、その前の広場は同じように夜明けを待つ人でぎっしり。まっすぐ歩けないほどの混みようである。そして寒い!!! フリースにダウンジャケットにアウターにニット帽、背中にはホッカイロ。それでも寒い。4人並んで震える。

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太陽が出てきたとき、隣の後輩と一緒になぜか笑ってしまった。予想より手前から出てきたことと、あまりにも見事に丸いことが面白かったんだよなぁ。これまでの日の出で、もっともコントラストが際立って美しい太陽だったかもしれない。鮮烈な赤!

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日も昇ったころ、朝ごはんにお弁当を食べる。山小屋を出るときに持たされたもの。ふたを開けるまで中身を知らず、おにぎりかなー、何かなーと楽しみにしていた。開けてびっくり牛丼。レトルトの袋に、具が別に入っているタイプ。うれしくてテンションが上がる。寒い屋外にいたのでご飯も具も冷え切っているが、甘辛くて濃い味付けのお肉が美味しい。山頂の小屋ではカップみそ汁も購入。1杯600円。温かさは、価値ですな。

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しばし休んだのちに、山頂の火口周辺を一周する「お鉢めぐり」を決行。1時間半くらいかけて、アップダウンのある道をぐるりと歩く。途中に見えるのは、雲海、富士五湖八ヶ岳南アルプス、それから山梨や静岡の街。山頂郵便局に寄ってハガキも投函したし、神社でおみくじも引いたし(中吉)、3776メートルの最高地点にもちゃんと行った(前に富士山に行ったときは、めんどくさくなって行かなかった)。「日本最高地点」の石碑前は、今日も写真撮影待ちの行列ができていた。

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奥の高いところが、日本最高3776メートル地点の「剣ヶ峰」。

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山頂にある二等三角点。三角点の写真撮影に価値を見出す人は少なからず

いる。山に行くと遭遇する。しかし私にはまだその楽しさ奥深さがわからない。一等と二等の差すらわからないのだが、せっかくなので写真を撮ってみた。

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足もとに雲がぷかぷか。天気に恵まれたのが何よりだった。

山頂を一周したらあとは下山するのみ。吉田口は登りと下りで道が分かれており、下山専用道をぐんぐん下る。細かい石と砂ばかりで思うように足が固定されず、非常に歩きにくい。靴の足首から小石が入り込んでくる。赤茶けた砂のうえにジグザグの道が作られており、これをひたすら下る。 ずっと砂。ずっとジグザグ。見える景色は茶色い砂と背の低い草ばかりで変化なし。つまり、たいへんに退屈であった。早く終わらないかなあということのみを考えながら、心を無にして下った。この道には楽しみはないな。

コースタイムどおりに下山し、土産物屋が立ち並ぶ五合目に戻ってきた。昨日と同じように観光客でにぎわう中、我々4人は砂と汗と誇らしさにまみれてソフトクリームを食べた。こけももソフト、美味。

かくして無事に終了した富士登山、何が嬉しいって体の痛みがゼロだったこと。この二日前に西穂高を6時間ほど歩いていたので二つ合わせた疲労と筋肉痛が後からどっさり襲ってくるに違いないと覚悟していたけれど、結局この日も、次の日も、そのあとも、健康そのものだった。あと、終わってみて思ったのは、「吉田口の登りは楽だなぁ」ということ。何度か山登りを経験して体が慣れたというのが大きいだろうが、危険もないし歩きやすいし、少なくとも経験のある富士宮口と比べて楽な印象だった。もう登らなくていいわとまた思っているのだけど、登ろうと言われればまた簡単に「いいよ」と登ってしまいそう。

この登山の模様は、来年発行のとあるガイドブックにて誌面になるはずである。 どんなページになるのか、楽しみは続く。

2013年 山梨県吉田口より富士登山(1)

これまでに4回登っている富士山であるが、今年の夏もまた登った。昨年からアルプス登山に夢中になっている私、「富士山はもう二度と登らなくていい」なんて思っていたけれど、仕事で急きょ登ることになり準備を進めていたらがぜんワクワクしてきて、なんといっても日本一の山、またあのてっぺんに立てると思うと楽しみのあまりスキップしそうな勢いに。

そんなわけで、初ルートである山梨県吉田口より、職場4人組で一泊二日の富士登山がスタート。

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富士山(3,776メートル)
2013年8月19日(月)・20日(火) 晴れ

1日目 吉田口五合目10:00-16:00八合目山小屋「富士山ホテル」泊
2日目 2:30出発-4:30吉田口山頂-5:00ご来光-朝食・お鉢めぐり-9:00下山開始-12:00吉田口五合目着
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 マイカー規制中なので、山麓の駐車場にクルマを停めてシャトルバスで登山口へ向かう。これまでの4回の登山はいずれも富士宮口ルートだったが、今回は初の吉田口ルート。

富士山頂へのルートは4つあるのだが、登山者の実に70パーセントが利用するという吉田口、シャトルバスを降りたそこは、一大観光名所であった。あたりにはお土産を売る店がズラリ。ひっきりなしにバスがやってきて、登山客もそうでない観光客も、どんどん降りてくる。これが世界遺産効果なのか、そうでなくてもこれくらいの人出なのかはわからないが、なんというか、登山という厳しい体験への緊張感を失わせる明るさだなあと思った。

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吉田口五合目から見上げる富士山(山頂は見えていない)

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山のお供といえばリカちゃんである。また連れてきてしまったよ。

吉田口は、4つある登山ルートのなかでもっとも初心者向きであるとされている。その理由は、道中に山小屋が多いから。トイレもある、食料もある、休憩もできる。「あの山小屋まで」という目標を立てやすいから、歩くモチベーションが上がるし時間配分を作りやすい。数は少ないながら診療所もある。登山道はよく整備されており、急な傾斜も岩場もほとんどない。赤茶けた土の上をジグザグに登る。

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ひたすらジグザグ。道は非常に単調である。

今回の登山は雑誌取材のため(私は登山者のモデル役である)。アングルを決めポーズを決め、写真を撮りながらの登り道。「雲が流れて青空になるまで待機」とか「軽くガッツポーズで笑顔!」とかやりながら、ちょいちょい立ち止まって進んだのがよかったんだろうな。そんなふうに少しずつ登ったおかげか、息苦しくなったり体が痛くなったりということもなく、宿泊地である八合目の山小屋までは比較的すんなり到着できた。なんと、お昼におにぎりを食べたとき以外、一度も座って休憩をしていない。立ったままちょっと息を整えるくらいで4人みんなが無事に登ってこられたのは、基礎体力の強さゆえか、仕事への責任感ゆえか。

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夕暮れのころ、山小屋前で。標高3400メートルにある小屋の名前は「富士山ホテル」。

 小屋の夕食を食べ(カレーとハンバーグとウィンナー。チーズカステラ付き!)、缶チューハイをみんなで分け、柿の種をかじり、20時の消灯を待たずに横になる。二段ベッドの上段で、隣の布団が密着して寝返りもできないほど幅の狭い寝床で。これが苦行なんだよなあ。山は好きだが、山小屋の就寝環境はどうやっても好きになれない。

私の左隣は運よくスペースが空いていたのだが、ようやくうとうとし始めた21時頃、がさがさと入ってきたのは体格の良すぎる外国人客3人組。大柄な隣人の登場によって、ただでさえ狭い寝床はたいへんな圧迫感である。窮屈な場所に身を縮めて横たわる彼らもつらいだろうが、その体の下に掛布団を踏まれている私もつらい。英語で何やら話している背中を見つめつつ、だましだまし布団を引っ張って必死の抵抗、なんとか自分の陣地を守る。奮闘する私の耳が唯一聞き取ることができた単語は、「ノープロブレム」であった。プロブレムだらけだっつうの!

午前2時の起床まで6時間、体は疲れているはずなのにちっとも眠れず、早く時間が経たないかなあと思いながら悶々と過ごす。あとで聞いたら全員同じことを思っていたそう。誰一人、よく眠れたという人はいなかった。

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午前2時半、ヘッドライトをつけて山頂を目指す。見下ろしても見上げても、同じように山頂へ向かう人の列!

山小屋から山頂までは人の流れが悪くて混雑しており、思うように進めない。この渋滞も含めて富士登山なのよねと、既にあきらめの境地である。列の折り返し地点には「監視員」の腕章を付けた人が立っていて、「ツアー客は左!個人客は右!」と誘導している。また別の地点では、「焦らないでくださーい! ご来光までは時間があります! 必ず間に合いますから焦らないようにー!」と声を張り上げている。

そう言われても焦っちゃうよと思いつつ、無事に山頂へ到着。さすがに感無量。ご来光を見るのにいいポジションを確保し、あとは日の出を待つばかりである。

 

2013夏 北アルプス、西穂高独標とピラミッドピーク

2013年初の北アルプスは、西穂高。 先月登った北岳(2013夏 南アルプス、北岳~間ノ岳(1) - 旅と日常のあいだ)がヘビーすぎて疲れ切ったので、今回のテーマは「とにかく楽をすること」。西穂高を選んだのは、何もしなくてもロープウェイで標高2,156メートル地点まで運んでもらえるからである。ステキ!しかも、今回は山頂を目指さない。山頂までのルートは危険な岩場が続くため初心者が踏み入ってはならないゾーンなのだが、その手前にある小ピークには「独標(どっぴょう)」の名がついており、熟練者以外はまずここをゴールとするのが一般的なのである。

楽をしたい理由はもうひとつあって、急きょ、この西穂高の二日後に富士山に登ることが決まったからである(仕事)。というわけで、「頑張らない」を合言葉に、久々の日帰り登山がスタート。しかしあまりの絶景に、案の定というか予定外にというか、ちょっと頑張ってしまったのであった。

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西穂高岳 独標(2,701メートル)、ピラミッドピーク(2,740メートル)
2013年8月17日(土) 晴れ

新穂高ロープウェイ「しらかば平」駅8:15-8:25「西穂高口駅」9:00-10:00西穂山荘10:20-12:00西穂高独標12:30-13:00ピラミッドピーク-13:30独標-14:00西穂山荘14:20-15:10西穂高口駅
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夜に静岡を出発し、途中のSAで仮眠しながら新穂高ロープウェイの乗り場に着いたのは午前8時。ロープウェイの駅は山麓と中間の二つがあるのだが、山麓に駐車しようとしたら係員のおじさんに「登山?だったら中間駅の方が便利だよ」と教えられ、言われるままに中間の「しらかば平」駅へ。駅のパン屋さんでお昼ごはんを調達してから始発のロープウェイに乗り、ゴンドラ内から槍ヶ岳やら西穂高山頂やらを眺めて「わー!たかーい!」とか言ってる間に終点の山頂駅に到着。そこは早くも標高2,156メートルの世界、おお、なんという楽ちんさであろうか。

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展望台や周辺の散策路は観光客でにぎわっているが、少し歩くと人の数がぐっと減る。そして登山道への入口があらわれる。さていよいよ登山開始。楽ちんなのはここまでか。

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しばらくは森の中。木道があったりして整備されている。たまに視界が開けて山々が見える。たいした傾斜ではなく、おしゃべりしながら小一時間ほど歩く。

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山小屋・西穂山荘に到着。目をひかれたメニューは「冷やし甘酒」(でも飲まなかった)。このあたりから森林限界となり、背の高い木が消えて日差しが強くなる。

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途中、もっとも気持ちが高揚したのがこの景色。高いところに向かって目指すべき道がしっかり見えていて、その先には空しかないっていうこの眺め、この中をこれから歩いていくんだなあと思ったら楽しみでたまらなくなり、思わず走り出しそうになるほどである。そんな気持ちになるとは自分でもびっくりなのだが、なにしろこの手の稜線に萌える!

徐々に傾斜がきつくなり、細かい石の歩きにくい道に少々疲れながらも順調に進む。山頂直下は急な岩場なのだが、登る人と降りる人で渋滞が起こっており、せまい足場に待機しながらの登りとなった。そういえば土曜日の登山ってこれまであんまりなかったな、こんなに混むのか!と思いながら、最後の岩場を登りきる。

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上部の平らに見えるのが独標。立っている人が見える。そこまでの急な岩場!

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独標に到着。せまい場所なのでゆっくりできない。

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上高地方面を見下ろしたところ。白く光るくねくねは梓川の流れ。ああ~。来月また行けるかなあ。上高地、それからその奥の北アルプスへ(わくわく)。

当初の予定ではこの独標をゴールとして折り返すつもりだったのだが、この先に続いている景色を見たらもう少し進みたくてたまらなくなってしまった。ここまで順調なペースで、時間も体力も余裕がある。山頂までは高難度なので行けないが、途中のピラミッドピークまでなら行けそうだということで、思い切って一歩を踏み出したのだった。

西穂高独標から山頂までは12のピークがぎざぎざと続いており、山頂から数えて8つめが「ピラミッドピーク」。名前からしてカッコいいが、鋭角にとがったシルエットもカッコいいのである。

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独標にいたるまでの道はなかなかスリリングだった。一か所、足一つ分も載らないくぼみをステップにして、大きな岩を横ばいで超えていくという、ものすごく緊張する場所もあった。ここで踏みはずしたらどこまで落ちるのやらという恐怖。西穂高山頂までは熟練者向き!というけれど、こういう場所がたくさん続くのだろうなと思うととても挑戦する気にはなれないわ。

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その一か所を除いてはとくに怖い場所もなく、ピラミッドピークに到達。 いやあ、満足! その後ろに見えているのが西穂高山頂であるが、今日はここまで。

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ピラミッドピークから見た景色。奥穂高、吊尾根、前穂高。

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同じくピラミッドピークから、今歩いてきた道を見下ろしたところ。丸いのが先ほどまでいた独標である。もうあんなに低く見える。そこから赤いラインをたどって、ああ、自分の足で登ったんだなあという達成感が。

しばし気持ちよさに浸ったのち、来た道を戻って独標、西穂山荘、登山口へ。登山口直前は地味な登り坂になっていて、最後の最後で疲れた(というか飽きた)。ロープウェイの駅に戻る頃には雲がわいており、先ほどまでいた西穂高への稜線は見えなくなっていた。

計画どおりの楽ちん登山で身体のどこかが痛むこともなく、しかも計画よりも先のピラミッドピークまで行くことができたので充実感は倍増。静岡からだとロープウェイ乗り場までが遠いという難点はあるが、これは実にいいコースだなと思った。おすすめです。

さて二日後は、富士山だよ! 下山直後にはこれっぽっちも自覚のない筋肉痛が、まさか一日もしくは二日後に時間差で襲って来るつもりではあるまいなと怯えつつ。

連続登山!西穂高岳と富士山

土曜日に北アルプス西穂高岳へ行って、一日あけた月・火曜日で今度は富士山に行くという、なかなかハードな連続登山をやってきた。

その翌日である本日、うれしいことに、体のどこにも痛いところがない。なんでだろう、不思議。一か月前北岳に登ったとき(2013夏 南アルプス、北岳~間ノ岳(1) - 旅と日常のあいだ)、その後一週間にわたって全身の筋肉痛に苦しんだのがウソのようである。あの北岳の一泊二日によって体がうんと強くなったのかしらん。それとも、時間をおいて明日以降に、悪魔的筋肉痛がふりかかるのかな。

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西穂高岳。山頂への道は熟練者向けで私には行けないので、その手前まで。中央の平たく見えるのが独標(どっぴょう)2,701メートル、左の三角がピラミッドピーク2,740メートル。今回はピラミッドピークまで。スリリングな岩場が続き、手に汗にぎる感じ。山頂はそのさらに先。

 

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五回目となる富士山。つい一週間前に職場の編集制作部長から「雑誌で富士登山企画をやるんだけど、登ってくれるよな?」とお声がかかり、モデルとしての仕事登山である。といってもモデル的なビジュアル面の資質を買われたわけではなく、登山装備が充実していることと富士登山経験があることが評価されての人選である。

カメラマンに向かって笑顔をふりまいた結果は、来春あたりに誌面になって書店に並ぶはず。楽しみだなぁ!写真は吉田口五合目から見たところ。

それぞれの登山の詳細は、また改めて。