旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


2013夏 南アルプス、北岳~間ノ岳(1)

今年も夏山シーズンの到来! 

ということで、南アルプス北岳へ行ってきた。北岳山梨県にあり、標高日本第二位。すぐ隣には「間ノ岳(あいのだけ)」という日本第四位の山が連なっている。これまでに私は一位(富士山)、三位(奥穂高)、五位(槍ヶ岳)に登っているので、あと北岳間ノ岳に登れば日本の標高ベスト5を制覇することになる、これは素敵!ってことで、およそ1年ぶりに雲の上を歩いてきたのだった。結論、北岳は予想以上にハードで心臓が破れるかと思った。 そして、初のアルプス縦走は景色が最高だった!

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北岳(3,193メートル)、間ノ岳(3,189メートル)
2013年7月19日(金)~20日(土) テント1泊。両日とも晴れ

◆1日目=奈良田バス停5:30(バス)-6:20広河原バス停6:45-9:50二俣10:15-13:45八本歯のコル14:05-16:00北岳山荘

◆2日目=4:30起床-北岳山荘5:15-7:00間ノ岳7:10-8:20北岳山荘9:20-11:00北岳山頂11:20-11:55肩の小屋12:00-13:55御池小屋14:10-16:15広河原バス停

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静岡を深夜に出発し、山梨県の奈良田バス停に着いたのが午前3時頃。車はほかに2、3台といったところ。駐車場の車中で仮眠し、始発のバスで広河原へ。この広河原が、北岳への登山口である。 朝ごはんに、持参したおにぎりを食べる。例のポルチーニ茸ピラフであるが、ピラフをおにぎりにするとボロボロになって食べにくいということをすっかり忘れていた。美味しかったけど。

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スタート地点からゴールの北岳山頂が見えてテンションが上がる。遠くに白く見えるのは雪渓。のちほどここを登るのだが、これがまあ、しんどいのなんの。

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吊り橋を渡りいよいよ登山開始。奥穂高以来のリカちゃん連れ。

しばらくは森の中、沢沿いの道を進む。雪解け水が流れていて涼しげ。まさに南アルプスの天然水。しばらくすると空が開ける。快晴~! 

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大樺沢(「おおかんば」と読む)を登っていく。このあたりはまだ余裕。先ほど見えた白い雪渓がだんだん近づいてくる。

今年は雪解けが遅く、例年以上に残雪が多いそう。さらに登っていくと、複数のルートが合流する二俣から先で雪渓が本格的に。

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これは登山靴のままではとても登れない!

ここで六本爪の軽アイゼンを装着(リカちゃんではなく私が)。人生初のアイゼンは前日にあわてて買ったもの。これまでに歩いた人の足跡が階段状に残っているので慣れている人ならアイゼンなしでも行けるようだが、何しろこちらは雪の山道が初めて。一歩一歩を慎重に登る。

初アイゼンの感想は、「足が地面に吸いつく!斜面なのに安定する!忍者みたい!」。とはいえ雪の上は神経を使う。すべったり踏みはずしたりしないよう緊張して歩いていたので、かなり気力と体力を消耗した。

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登ってきた雪渓を振り返ったところ。とんでもない傾斜だ。これは疲れるわ!

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上方にはバットレスと呼ばれる岩壁がそそり立っている。北岳はクライミングのメッカでもあるらしい。壁の標高差600メートルだそうな。この荒々しい壁を登る人がいるとはすごいなあ。

やっと雪渓を抜けてアイゼンをはずすも、このあたりで身体がふらふらに。少し登るだけで息があがりなかなか進まない。ただでさえ苦しい私たちだが、このあとに待ち構えていたのは気が遠くなるほどのハシゴの連続であった。垂直もしくはそれに近い角度のハシゴが、登っても登っても次々に現れてくるのである。それはそれはつらかった。吐き気がするほど。

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こういうのが果てしなく続くわけ。このあたりは木々が茂って展望もよくないし、いつまで続くとも知れないハシゴ地獄にうんざり。暑いし疲れるし苦しいし、私なんで山なんか登ってるんだろう、もう登山なんか二度としたくないなと、いつもの後悔が始まる。

ハシゴに苦戦していたら上から軽快に下ってきた人がいて、見覚えがある顔だなと思ったら数時間前にもっと下の方で私たちを追い抜いていった人だった。聞けば、もう頂上まで行っていま帰り道なのだって。なんということ! 自分たちの体力不足を痛感。すでにコースタイムも大幅オーバーだし。

どうにかこうにかハシゴ地獄を抜け出し、八本歯のコルに到着。ここでやっと間ノ岳の姿が間近に見えた。これが日本第四位の山か!

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八本歯のコルから今日のゴールである北岳山荘まではさらに1時間30分ほど。まだまだ悲しくなるほど遠いが、早く到着したい一心でなけなしの力をふりしぼる。山荘についたらテントを張ってとにかく寝転がるんだ! 山荘に着いたらシュワッとするものを思いきり飲むんだ!

 

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山荘に至るまでの道。右の絶壁に橋が架かっているように見える、あそこを歩くのである。写真で見ると何やら恐ろしいが実際はそうでもない。アップダウンはあるものの、これまでの死にそうな急登に比べれば歩きやすく、楽しい道のり。

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さあそして、稜線の先にやっと北岳山荘が見えてきた。左奥の、赤い屋根がわかるかしら。 とにもかくにも歩ききって、16時にやっと山荘に到着した。いやあ遠かった。バテた。途中、あまりのしんどさに「山荘まで行けない、もう山中で夜を明かすしかない、それでもいい、むしろそれがいい」っていうくらい弱気になっていたので、無事にたどりつけたことが本当にうれしい。山荘ではオランジーナ(1本400円)を飲み、テントを張ってしばし仮眠。テント場はさほど混んでおらず、隣を気にせず過ごせるくらいの距離であった。

このあと魅惑の山ごはん、そして翌朝早起きしてご来光!