槍ヶ岳~前穂高縦走記録の2回目、「槍ヶ岳~南岳」編。前回の記事はこちら
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1日目の目的地は槍ヶ岳山荘。山頂直下にある山小屋である。そこまでの坂が、わかってはいたけれども大層きつい。谷間はどんどん日陰になっていき、体は冷えるし心細い。ちっとも近づかない山荘を見上げ、少なくなる気力と体力を振り絞ってただただ歩く。
山荘間近で、歩いてきた道を見下ろしたところ。下に別の山小屋が見える
あまりにも疲れ果てており、とにかく無事に山荘に着けばそれでよし、という気持ちが高まってしまった。槍ヶ岳の山頂には登らなくてもいいよね、去年登ったしね! 槍ヶ岳山荘に到着し、部屋に荷物を置き、往復1時間足らずの山頂をすぐそこに見ながらも、「今回はあえて登らない」という余裕の(っていうか余裕のない)選択をした。悔しくなんかない。
槍ヶ岳バックのリカちゃん、登頂ならず。私を置いてリカちゃんひとりで登ってくれてもまったく構わないのだが、そういうわけにはいかないのであった。
小屋が用意してくれたご飯を食べ(鶏の南蛮揚げ、ポテトサラダ、ごはんとお味噌汁、オレンジ、サラダ)、お湯を沸かしてコーヒーを飲み、そうこうするうちに夜はふけていき、満点の星空が。
流れ星がひとつ見えた(気がした)
翌朝、山荘前のテラスから見事な日の出と朝焼け。富士山もよく見えた。
槍ヶ岳山荘は私にとって過ごしやすい小屋なのか、非常によく眠れた。去年も今年も、一度も目覚めることなく朝まで爆睡。富士山の山小屋で眠れずに苦しんだのが嘘のような、「あ~、よく寝たなあ」という目覚めがありがたい。
二日目の今日は、いよいよ大キレット越えである。槍ヶ岳から、大喰岳(おおばみだけ)、中岳、南岳を過ぎ、大キレットを経て北穂高小屋へ。今日のルートはそんな予定(結果的にはもっと先まで行くことになったけれども)。
南岳までは危険個所もなく、山々を両側に見ながらの最高の稜線歩きであると聞いていた。気持ちのいい道だから、ついゆっくりしすぎて時間を使いすぎないように、と。そのとおり、ここは本当に気持ちのいい道だった。
槍ヶ岳にさようなら。背後にしたがえて、稜線歩きのスタート。
まずは大喰岳(おおばみだけ)。槍ヶ岳に続く、3000mの山第二弾。
次なる山にむかって稜線を進む。左右前後、すべて山。
三つめ、中岳。槍ヶ岳の眺めもすばらしい。
このあたりで何組かの登山客と抜いたり抜かれたり。なかでも70歳だという登山好き夫婦とよく一緒になって話をしたのだが、私よりずっと体力があり元気ですいすい歩いており、引き離されないようにとひそかに目標にしていたのだが、結局、まったく追いつけなくなってしまったのだった。奥様いわく「時間があっても健康でなければ遊べないし、お金がなくては山に登れない。今のうちから、計画的にやることよ」。金言である。
こんな道やら
こんな道を進み……
四つ目の山、南岳に到着。
ななめ前にはずっと富士山が見えており、振り返れば槍ヶ岳が控えており、そして正面にはこれからアタックする北穂高。ここまでは体調も気分も天気も上々、いよいよここから大キレットに踏み込む!
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