旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


2013年 山梨県吉田口より富士登山(2)

富士登山の続き。前回の記事はこちら→(2013年 山梨県吉田口より富士登山(1) - 旅と日常のあいだ

午前2時半に吉田口八合目(標高3400メートル)の山小屋を出て渋滞する山道を登ること約2時間、山頂について日の出を待つ。山頂には複数のお土産屋があるのだが、その前の広場は同じように夜明けを待つ人でぎっしり。まっすぐ歩けないほどの混みようである。そして寒い!!! フリースにダウンジャケットにアウターにニット帽、背中にはホッカイロ。それでも寒い。4人並んで震える。

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太陽が出てきたとき、隣の後輩と一緒になぜか笑ってしまった。予想より手前から出てきたことと、あまりにも見事に丸いことが面白かったんだよなぁ。これまでの日の出で、もっともコントラストが際立って美しい太陽だったかもしれない。鮮烈な赤!

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日も昇ったころ、朝ごはんにお弁当を食べる。山小屋を出るときに持たされたもの。ふたを開けるまで中身を知らず、おにぎりかなー、何かなーと楽しみにしていた。開けてびっくり牛丼。レトルトの袋に、具が別に入っているタイプ。うれしくてテンションが上がる。寒い屋外にいたのでご飯も具も冷え切っているが、甘辛くて濃い味付けのお肉が美味しい。山頂の小屋ではカップみそ汁も購入。1杯600円。温かさは、価値ですな。

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しばし休んだのちに、山頂の火口周辺を一周する「お鉢めぐり」を決行。1時間半くらいかけて、アップダウンのある道をぐるりと歩く。途中に見えるのは、雲海、富士五湖八ヶ岳南アルプス、それから山梨や静岡の街。山頂郵便局に寄ってハガキも投函したし、神社でおみくじも引いたし(中吉)、3776メートルの最高地点にもちゃんと行った(前に富士山に行ったときは、めんどくさくなって行かなかった)。「日本最高地点」の石碑前は、今日も写真撮影待ちの行列ができていた。

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奥の高いところが、日本最高3776メートル地点の「剣ヶ峰」。

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山頂にある二等三角点。三角点の写真撮影に価値を見出す人は少なからず

いる。山に行くと遭遇する。しかし私にはまだその楽しさ奥深さがわからない。一等と二等の差すらわからないのだが、せっかくなので写真を撮ってみた。

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足もとに雲がぷかぷか。天気に恵まれたのが何よりだった。

山頂を一周したらあとは下山するのみ。吉田口は登りと下りで道が分かれており、下山専用道をぐんぐん下る。細かい石と砂ばかりで思うように足が固定されず、非常に歩きにくい。靴の足首から小石が入り込んでくる。赤茶けた砂のうえにジグザグの道が作られており、これをひたすら下る。 ずっと砂。ずっとジグザグ。見える景色は茶色い砂と背の低い草ばかりで変化なし。つまり、たいへんに退屈であった。早く終わらないかなあということのみを考えながら、心を無にして下った。この道には楽しみはないな。

コースタイムどおりに下山し、土産物屋が立ち並ぶ五合目に戻ってきた。昨日と同じように観光客でにぎわう中、我々4人は砂と汗と誇らしさにまみれてソフトクリームを食べた。こけももソフト、美味。

かくして無事に終了した富士登山、何が嬉しいって体の痛みがゼロだったこと。この二日前に西穂高を6時間ほど歩いていたので二つ合わせた疲労と筋肉痛が後からどっさり襲ってくるに違いないと覚悟していたけれど、結局この日も、次の日も、そのあとも、健康そのものだった。あと、終わってみて思ったのは、「吉田口の登りは楽だなぁ」ということ。何度か山登りを経験して体が慣れたというのが大きいだろうが、危険もないし歩きやすいし、少なくとも経験のある富士宮口と比べて楽な印象だった。もう登らなくていいわとまた思っているのだけど、登ろうと言われればまた簡単に「いいよ」と登ってしまいそう。

この登山の模様は、来年発行のとあるガイドブックにて誌面になるはずである。 どんなページになるのか、楽しみは続く。