◆ひとつ前の記事(南極旅行16 南極らしい光景! ウィルヘルミナ湾で氷山の合間をクルーズ )
2月24日、南極クルーズ船5日目。午前9時からパラダイス湾に上陸の予定、そこにあるチリ基地の郵便局から差し出せるよう事前にはがきを書かねばという思いにとらわれ、明け方4時に目が覚めてうとうと、5時に目が覚めて再びうとうと、6時半ごろ観念して起床。ウシュアイアで買いこんだ絵はがきに執筆しまくる。日本の友人知人あてに10枚ほど。「いま南極にいます。今日はパラダイス湾に行き、そこにあるチリ基地からこのはがきを出します」。
朝食ブッフェでは、初めておかゆを発見。これまでパンやポテトがメインだったけれど、おかゆにザーサイとか生姜とかきのこを自由にトッピングし、仕上げに醤油をたらり。うおおぉぉぉい、おかゆ! なんという旨さ! 船酔いで疲れた体にしみわたるよ、味も温度も食感も。
上陸に備えて部屋で準備をしていたら「強風でボートを出せないので様子見」とのアナウンスあり。急な予定変更にはもう慣れた。しかし、はがきに書いた文面が嘘になるのは困る、どうしよう。
空いた時間でデッキに出て、持参した双眼鏡で鳥やクジラを探してみる。それから、急きょ開かれた講座「南極の食物連鎖」に参加。講座の間も船が揺れるぅ~。これは午前の船外活動は見送りかしらと思っていたら、そのとおりになった。それどころか「風がやまないので午後も上陸なし」との案内があり、ええっ、チリ基地から出しますと書いたはがきの運命やいかに。
ところが昼食中にまたアナウンスがあり「午後は上陸できそうです!」と。本当かなあ、頼むよ! ごはん中は探検チームのスタッフと同じテーブルだったのだが、夕方に開催される Polar Plunge の話題に。ポーラプランジ。南極海への飛び込み。このツアーでの恒例行事として船から海に飛び込んでみよう!という恐ろしい企画が用意されていて、もちろん自由参加なのだけれど、私と夫は「ネタとしてはぜひやっておきたいが、しかし寒さの衝撃とか体への負担とかどうなんだろう、ぶるぶる」と震えていたのであった。そのことを話したらスタッフは「考えるより、やっておけ!」との答え。このときの参加決意は、私も夫もまだ半々。
さて、お待ちかねの船外活動、ゾディアックボートでパラダイス湾へ。途中には大小の氷河が流れ込んでおり、神秘的というか、この世じゃないみたいというか。
上陸地はウォーターボート・ポイントと呼ばれる地点。岩の上にも雪の上にも黒い点が見える。動いている。そう、ついに! 南極で初めて会えたペンギンたち!この場所はゼンツーペンギンの営巣地になっていて、そりゃもう無数の、と言っていいくらいのペンギンたちが暮らしている場所なのだった。
ここから上陸。後ろの建物がチリのガブリエル・ゴンザレス・ビデラ基地。中に入ってリビングやベッドルームを見学することができた。それから屋外を自由散策。見渡す限りペンギンだらけ、あっちにもこっちにもペンギンがひしめいている。南極規約で5メートル以内に近づいてはいけないことになっているのだけど、怖いもの知らずなペンギンは自分から人間のほうに平気で近づいてくるのだった。
ゼンツーペンギンの特徴は、鮮やかなオレンジのくちばしと両目の間の白い毛。ちなみにこの一帯、フンのにおいが強烈だった。まあそうだよな、岩場にぜんぶ垂れ流しなんだから。そういえば雪や氷がピンク色に見える部分があって不思議だったのだが、それはフンに含まれるオキアミ(という小エビ)の色なのだって(午前中の食物連鎖講座で学習済み)。
念願かなって、はがきも出した。1枚につき5米ドル、高いとみるか安いとみるか。その場でスタンプを押してくれて、「ポストには自分で入れるかい?」というジェスチャーをされたので、もちろんそうしましたとも。
ネックウォーマーの下で満面の笑みをしております。これが日本の自宅に届くのは4ヶ月先の話。(南極大陸からの絵はがきが届いた )
上陸を終えて、本船に戻る前に1時間半ほどの周辺クルーズ。海面をジャンプするペンギンや、今日もまたたくさんのクジラが見えた。それにしても氷山の色、大きさ、形のおもしろさよ。いま見ているこの景色は本当のことなんだろうか、っていう思いがやまない光景だった(写真の左下の黒いのがボートです)。このあと雪が降ってきてボートの上は非常に寒かったのだが、それにつけても気になるのは本船に戻ったあとのクレイジーイベント、南極飛び込みだよね。やるか、やらないか。
我々の結論 → やるっきゃない!!