旅と日常のあいだ

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2015年夏、雪と花と池の白馬岳へ(2)

2015年7月の白馬岳の続き。 ◆今回のルートとひとつ前の記事はこちら

tokotoko.hatenablog.jp

まあまあよく寝て、午前4:45に起床。朝食は行列になるとみて早めに並び始める。窓の外には朝焼けと、後ろから浮かび上がる白馬岳のシルエットが見えた。今日はまずあのてっぺんに登るのだ。

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白馬山荘の前には、富山県と長野県のさかいめの看板があった

小屋の前からは剱岳がどーんと見えた。かっこいい。準備体操をしたら2日目の登山スタートだ。まずは白馬岳の山頂へ。小屋は山頂の直下にあり、15分ほど登ればすぐそこが山頂。たいした距離ではないのに山頂は遠かった!結果的には30分かかった。なぜなら風がものすごく強かったから。

さえぎるものがない稜線で、容赦なく吹き付けてくる強風。吹き飛ばされる!と本気で思った。つかまるものを、身を隠す場所をちょうだい! 岩の陰にしゃがみこんでブルブルと震える。立っていられない、まっすぐ歩けない、寒くて痛い。ちょうどこのとき小学校高学年くらいのグループが先生に引率されて山頂に向かって行ったのだが、いやもう、下手したら小学生みんな風にさらわれるんじゃないかと気が気じゃなかったわ。私たち3人は風の強さが恐ろしすぎて、このままこんな風が吹くのなら今日の登山はやめるしかないと覚悟したんだけど。

ともかく足を踏ん張って頑張って、どうにか白馬山頂に到着。しょっぱなから疲労。

人形はいつだって涼しい顔をしていやがるぜ。(後ろが白馬山頂の標識です)

山頂を超える頃には風がおさまり、穏やかで歩きやすい空気になった。行く手を見れば稜線がスーッと伸びている。この道をずっと歩いて行けるなんてうれしい。稜線好きとしては心が躍る風景である。

  

天気が良くて景色が良すぎて、うれしさに飛び跳ねたくなる。右の大きいのが白馬。 山が連なるなかに突然ぷかりと池が現れるのは不思議な光景だ。あれは白馬大池。あそこまで歩いて、池の向こうをまわりこんで、乗鞍岳の山頂へ、そして天狗原へ、ゴールの栂池へ。

帰り道、確かあれは池のあとだったと思うけれど、雪渓がまだだいぶ残っていて、それを下るのがものすごく大変だった。アイゼンを付けてはいても固い雪面にうまく刺さらない。すべるのが怖くて腰が引けるし、ロープをつかんでもストックをついても姿勢が不安定になる。登りの雪渓ばかりを意識していて、下りにこんな要注意地帯があるということをまったく警戒していなかった。もうちょっと時期があとなら雪が解けているのでしょうが、7月下旬ではまだまだなのね。

山が、特にアルプスが好きないちばんの理由が、「ずっと続く稜線にグッとくるから」。この晴れの白馬岳ではそれを思いっきり味わえた。稜線もそうだし、富士山も槍ヶ岳穂高も見えた。一緒に登る人がいて、稜線がたまらないねとか槍ヶ岳にしびれるねとか、また次も行こうねとか言えるのはうれしいことだ。それに、なんといっても山は逃げない。次の夏もまたそこにある。