カヌレが好きなのです。いろいろな店のものを食べて、究極のひとつにめぐり会いたい。というわけで、見かけたら必ず買うし、近くに店があるならば足をのばす。
ちなみに私の考える究極のカヌレの条件とは、「外はがっちり固め。中は比類なきねっとり感、吸い付くようなもっちり感。しっかりとラム酒を感じる」である。
先日、東京は表参道に行ったとき、たまたま立ち寄ったパン屋さんにてひとつ購入。d'une rarete(デュヌ・ラルテ)表参道店。店名がハイカラすぎて覚えられない。
食べかけ。途中で「あ、写真とろ」と思いついたものだから、後ろの紙袋も一度はぐちゃぐちゃに握りつぶしたのを一生懸命広げた結果こうなった。食感は軽め。すなわち、ガリガリ感もねっとり感も私の希望には届いていなかった。もっとこう、ガツンと主張してきてほしいのよね。
続いて、新宿伊勢丹にてふたつを購入。左がパティスリー・サダハル・アオキ・パリ。カヌレ販売は週末限定だそうだ。右がノワ・ドゥ・ブール。これまたオサレな響きであることよ。
パティスリー・サダハル・アオキ・パリ(左)は、確か400円くらいした。高級品。サイズが大きくて食べごたえあり。しかし正直に言って、味は印象に残っていないのであった。もちろん美味しかったのだが、さすがアオキサダハル!とか、さっすが400円!という興奮はなかったなー。
一方で、ノワ・ドゥ・ブール(右)は、かなり高ポイント。サイズは小さめ、手に取るとがっしりとした感触、カリカリの焼き皮の内部にねっとりとした生地を隠し持っており、このギャップ、この弾力、この香り!おぬし、できるな……。これは良いカヌレ。この日食べた3つの中ではベストだった。
これまでで一番美味しかったのはどこのカヌレなのかと問われれば、近場・静岡市にあるパン屋さん「プティタプティ」のものだと迷わず答えよう。市街地から離れていてなかなか買いに行けないのだけれど、東京カヌレの数日後に、偶然にも友人が「いいものあげる」とプレゼントしてくれたのがここのカヌレだった。いやあ、わかってらっしゃる!!というわけで、2015年5月現在の暫定一位、「プティタプティ」のカヌレをご覧ください。
だってもう、立ち姿からして気品がちがう!長身ですらりとして、溝は深からず浅からず、色は濃すぎず薄すぎず。天井知らずの期待をこめてこれを食べたところ、その期待をまったく裏切らない味と食感であった。ブラボー。