旅と日常のあいだ

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英仏旅行記13(完) 空港で疾走、電車で失言

名残は惜しいが、長きにわたる英仏旅行記の最終回。

こまで6日間の旅を終えた最終日の今夜、フランスはシャルル・ド・ゴール空港近くのビジネスホテルに泊まる。部屋はツインを予約したつもりだったが……

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部屋に入るとまたしてもダブルベッド! 5日連続の奇跡 

結局、一日目以外のすべてで友人Nと同じベッドで眠ったことになる。しかし一体なぜ?と伝票を確認したら、予約者である私の名前が「ミスター」になっていた。私、いつの間に男性に!? 友人はちゃんと女性扱いになっていたので、カップル枠ってことだろうか。それにしてもチェックインの時にフロント係は何を見ていたんだか、私のことを「日本の男性は小柄だなあ」とでも思ったんかい!

帰りはシャルル・ド・ゴールを発って、ヒースローで羽田行きに乗り継ぐ。しかし、ヒースロー到着が定刻を20分ほど遅れたため、ただでさえ多くない乗継時間があまりにも少なくなって、本当に本当にあせった。このままでは、羽田行きの便が私たちをおいて出発してしまう! ヒースロー空港のモノレールを、エスカレーターを、長い長い通路を、それこそ息があがって足がもつれるくらい走ったなぁ。やっと搭乗口に着いたと思ったらここじゃなくてまだずっと先だった、っていうときのあの衝撃と絶望感。最後の最後にひやひやしたあの感じ、今思い出してもリアルにひやひやするわ。

どうにか予定通りの飛行機に乗り込み、行きと同じような機内食を食べる。

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右の赤いのは、パリのスーパーで買ったカニかまです。

ぽつぽつと映画を見て、ごはんが足りないのでカップヌードルを要求し、お菓子をもらい、ジュースをねだり、寝たり起きたりまた寝たりで過ごすこと十数時間。羽田に着いたのは午前4時30分、ロンドンもパリも妙に寒くて寝る時も長袖を重ね着していたくらいだったのに、梅雨入り目前の日本は朝っぱらから蒸し暑かった。空港内のカフェで、向こうでは一度もほしくならなかったアイスコーヒーをぐびぐび飲みつつ、新幹線が動き出すまでの時間を過ごす。

実は二人で旅をするのは初めてのNだったが、いい組み合わせだったなと思う。それぞれに自分の見たいものや行きたい場所があって、無理はせず遠慮もせず。初めての行き先に一緒に行けてよかったなぁ。いま旅は終わり、NはNの家に、私は私の家に。次は一緒にどこへ行こう。

一週間の間、つたないながらも英語を使っていたわけだが、帰り道にさっそくその後遺症が出た。品川駅で新幹線に乗るとき、道を譲ってくれた女性(もちろん日本人)に対してふと私の口をついて出たのは、「サンキュー!」という軽快なイングリッシュ。サンキューって。恥ずかしさに目は冷め頭は冴え、旅の余韻に酔っていた意識はだんだんと日常に戻っていくのだった。実に楽しいバカンスだったな! (2012年英仏旅行記、ようやく終わり)

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