旅と日常のあいだ

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共感必至、小説「勝手にふるえてろ」

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綿矢りさ勝手にふるえてろ」文春文庫。面白かったー、綿矢りさのことがまた好きになった。

主人公は26歳にして恋愛経験なしの女性、オタク気質で現実世界になじめてなくて、思い出と妄想ばかりを一人でふくらませまくって身をよじらせている。こじらせ女子というやつだ。随所に「あぁ〜わかる、わかるよ!」というポイントがあって、そのたびに我が身を振り返ってはアイタタ…って気持ちになる。しかしそれが心地よくもあるという。

こんなんでいいのか主人公、こんなんでいいのか私。がんばれ主人公、がんばれ私! 共感したり、いやいやさすがにそれはちょっと待て!だったり。私にとっては、10年前でも10年後でもなく今このタイミングで読んだからこその面白さがあったなあと思う。

綿矢りさの比喩とか言い回しも良くて、あぁ上手いなぁと思う。そこにドキドキできることも読書の大きな楽しみのひとつ。メモしておいてときどき読み返したくなるような。

綿矢りさの小説、構成は好きなのに主人公にまったく共感できないとか、設定は面白いのに表現が趣味に合わないとか、そういうのが今のところない。うれしい。ときは梅雨の真っ最中、来る日も来る日も強い雨が降りやまないこの頃だけれども、未読の本が手元にあることでだいぶ幸せ。