間ノ岳の山頂に立った後、続いて目指すは北岳山頂。睡眠不足と酸素の薄さにより高山病の気配を漂わせつつも、稜線を一歩一歩進んでいく。
間ノ岳から北岳方面。赤い屋根はテントを張った北岳山荘、その向こうにそびえるのが北岳。つまり、いったん下ってから急激にぐんぐん登る、と。
傾斜はまあまあ急だけれど、目指すべき山頂が見えているからか、すごく近くて簡単に感じる。とにかくここを登りさえすればゴールだもんね、そんなに大変じゃないかも!とわくわくしていたタイミングで、ちょうど前方から山ガールな女性が下ってきた。話しかけたところ、「いま見えているピークは北岳じゃないですよ、ここからは見えませんけどその奥が北岳の山頂です。がんばってくださいね!」と言われてへこむ。
飛行機雲がクロス。粋な演出だねえ。
途中には垂直のハシゴがあってげんなりしたり、険しい谷の間にお花畑が広がっていてときめいたり、近いと見せかけつつ結局遠い道のりにくじけたり。そして最後の岩場を登りきり……
ついに山頂! 日本第二位、3,193メートル。富士山の次に高い場所!
わーい!北岳に登った史上初のリカちゃんかも。バックに富士山。
山頂はなかなか広く、一気に30名は立てそう。もっとかな。ここで朝ごはんの山菜おこわを食べた。
前日に登ってきた雪渓が小さく見える。今また登ってくる人の姿も点々と。
中央アルプスの峰々。写真ではわからんが、奥穂高や槍ヶ岳も。360度の視界のなかには仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳、八ヶ岳、ほかいろいろ。山頂では「あれが何山、あれが何岳」っていう会話が繰り広げられていたが、私はいつまでたっても山の位置関係が覚えられない。それはもう、びっくりするほど覚えられない。脳みその何かが足りてないんだろう。
山頂で20分間ほど過ごした後、下山開始。急降下の岩場を下りまくる。稜線がきれい!しかしまだまだ先は長いなあ
お花畑が広がる斜面。青空に映えて夢のようにきれいである
下りが始まってすぐ、立て続けに3回ほど滑ったり転んだり尻もちをついた。足腰が、制御不能なほどガクガクしているではないか!ここからバス停までの下りは本当にきつかった。下りルートにはいくつかの選択肢があったのだが、今回私たちが選んだのは、そのなかでも特に傾斜がきつい、肩の小屋⇒草すべり⇒白根御池小屋というルート。急傾斜であることは地図を見てわかっていたのだが、登りじゃないんだしまあ大丈夫でしょ!ってことで行ったのが間違いだった。何かに対して怒りたくなるくらいの急傾斜が3時間ほど続くと、人の心はうつろになるものですね。身体的精神的時間的に一切の余裕をなくしたため、下りは写真が一枚もないよ!
どうにか下山したころには、平地をまっすぐ歩くことも難しいくらいの膝の笑いっぷり。バス停に着いたのは、最終バスが発車する16:40の、わずか15分ほど前であった。
下山してから5日間ほど、ふくらはぎと太ももがめちゃくちゃ痛くて日常生活に支障をきたすほどだった。こんなにも痛みが長引くのは初めてだ。傾斜がきつかったからなのか、年を取ったからなのかはよくわからぬ。北岳、景色がよくて稜線もきもちよくていい山だったなと思う。初日の雪渓とハシゴ、二日目の急な下りにすっかり体力をとられて下山直後は「苦しい山」との印象が大きかったのだが、一週間が経って思い返してみると、いい風景ばかりが思い起こされるなあ(そんなだからまた山に登ってしまう)。
これで日本の標高第1位~5位までを制覇したわけで、それもうれしい。しかし、次は第6位かといわれると、なかなかマニアックな山であり簡単には行けなさそうである。 第6位は「悪沢岳(わるさわだけ)」。所在地は、我が住まいと同じ静岡県静岡市葵区である。3,141 メートルもあって「区」っていうのもすごいけど、登山口まではJR静岡駅からバスが出ていることも判明し、もしかして立地的にはかなりアクセスしやすい環境なのかも? 要検討。