山歩きをしよう!と、Sちゃんと鎌倉に行った。
しかし山は小雨まじり、ぬかるんだ足元の滑りっぷりは命の危険を感じるほどで、歩き始めて30秒ほどであっさり登山断念。「これは、勇気ある撤退である」。冷静で賢明な判断ができるオトナな自分たちを褒めながら、寺やらカフェやらにぎやかな通りやらをぶらぶらと回って過ごした。
それから、生まれて初めて流しそうめんを食べた。そうめんを流すおばちゃん店員に対し、こっちは圧倒的に受動的な立場である。唯一の能動的行為といえば、「流れてくるそうめんを無視する」という強気かつ非エコな振る舞いのみ。しかも、実際にそれをやっておばちゃんに怒られている客を見てしまったので、それだけは何としても避けねばならない。まさに一進一退の攻防戦である。
おばちゃんの手元を見つめながらそうめん投入の時を待つ緊張感。流れてきたそうめんを箸でつかまえる際の緊張感。さらに、下流の客のために適度な量のそうめんを見送ることの緊張感。「そっちにパスを回すから、お願い、ちゃんと受け止めてー!」と内心で叫んでた。むしろ声に出して言ってた。そんなこんなで、視線と箸の上げ下げによっておばちゃんとわずかに意思伝達しつつ、かなりたくさん食べた。そうめんは美味しかったのだ。しかし、あとでSちゃんと鎌倉のガイドブックを何冊か見たところ、この店はどの本にも紹介されていなかった。さもありなん。あの張りつめた空気が、旅に癒しを求める観光客のニーズには合わないのであろうということで納得する。私は嫌いじゃありません。
鎌倉は、総じていいところだったなあ。行きたくて行けなかった店がまだまだあるから、山歩きも含めて、Sちゃん、きっとまた行こう。そのときにも相変わらず、私たちは龍馬伝とエヴァンゲリオンの話ばっかりすることになると思うけど。っていうか、前に熱海で遊んだときも、小田原で遊んだときも、大河ドラマとエヴァの話で盛り上がってたような。ハハハ。成長できてるのかな、私たち……。
おやつは、鎌倉駅近くの有名喫茶店「イワタコーヒー」のホットケーキ。