先日、東京から遊びに来た友人Sちゃんと二人で修善寺に行った。
三島駅から修善寺駅までは伊豆箱根鉄道に乗って30分。近いな!ボックスシートというのは旅情を誘うもんだなぁとか言いながら車窓を見やれば、風景がふっと開ける場所に人が固まっていて、三脚のカメラをこちらに向けている鉄道愛好家御一行様。どうやら、いずっぱこ(伊豆箱根鉄道の愛称です)の車両が、もうすぐ引退のサヨナラ走行であった模様。
ヘッドマークに「ありがとう1100系」。
なぜ修善寺に来ることにしたかといえば、Sちゃんが空海が好きだからである。修善寺温泉は空海が開いた温泉ということになっている。修善寺に行けば何かしら「空海のカケラ」が見つかるかもしれない。修禅寺の宝物殿にも、空海にまつわる貴重なアレコレがあるかも!ということで行くことにした。
Sちゃんが空海の何が好きかというと、「字」だそう。なんて渋いところを突いてくるんだねキミは!! 面白すぎてニヤニヤしてしまう。確かに字がうまくて有名だわね、弘法にも筆の誤りっていうし。私はどちらかというと、空海は実は錬金術に長けていたとか空を飛翔できたとかそこらへんの話が好きだなあ、超人ぽくてさ、とかなんとか、マニアックな話題を重ねつつ温泉街をぶらぶら。
修善寺には源氏ゆかりの史跡も多い。幽閉されたとか暗殺されたとかその手のエピソードがいろいろ。毎度毎度、Sちゃんと私は会うたびに将軍の話をしているな。小田原のとき(友人と春の小田原へ。切手交換とか武将萌えとか)も、熱海(女ふたりの熱海旅。B級エロスな秘宝館にやられっぱなし)のときも。
川辺に造られた足湯に浸かる。昔むかし、この川で空海が仏具でガツン!と岩を打ったら温泉がどくどく湧いてきて、それが修善寺温泉の起こりであるそうな。
神社やお寺をまわり、子宝祈願で有名な大木を「我々にはまだ早い」と一瞥し、吹き抜ける風もさわやかな竹林の道を歩き、茶屋であんみつを食べ、短時間の滞在ながらも修善寺を満喫。
ひとつだけ心残りがあるとすれば、温泉街から離れた場所に位置しているために見られなかったものがあることだ。観光案内板に書かれており私たちの心をとらえて離さなかったもの、それは「おしゃぶり婆さんの像」である。
おしゃぶり婆さん!?
なんという戦慄のフレーズであろうか(いろんな意味で)。
婆さんったら何がどうなっちゃってるんだろう!という好奇心を抑えきれない二人ではあったが、像は山の上にあるらしく、山道を行くには時間的体力的にキツかったので断念した。しかしどんなビジュアルなのかをどうしても確かめたくて、あんみつを食べながらスマートフォンで画像検索してしまった。インターネットで何だって簡単に調べられちゃうご時世、我々はあっけなくおしゃぶり婆さんの実態を知ることができた。まあ、ご興味のある方は調べてみてくだされ。
Sちゃんは行く前よりも修善寺がお気に召したようで、今度は泊まりにきたい!とのこと。県民としては嬉しい限りである。私も、修善寺はプライベートでは初めてだったけれどおもしろかった。一緒に行った相手がよかったというのが、修善寺の印象を500%増にしている気がするが。