「ほぼ日」で連載されたインタビューの書籍化。話し手は、探検家の角幡唯介さん、山岳クライマーの平出和也さん、ノンフィクション作家の高野秀行さんなど、極地や未踏の辺境をフィールドとして無二の功績を重ねてきた人ばかり。コロナ禍で活動自粛を余儀なくされた期間と、その後日談をまとめたもの。
いや~、めちゃくちゃおもしろかった。どのページをめくっても、語られる言葉の深みが圧倒的。生死の境目に対して生々しい実感を持っている人だけが言える真実味みたいなものが散りばめられていた。
誰も行かない場所で誰もしないことをする、そこに至るまでの経緯やそこで考えていること、何を思って何を目指しているのか。一人ひとりが語るこれはもう、哲学であり人生観。山や岩を登るのも北極をさまようのも風まかせで海を渡るのも、そうせずにいられない、そこでしか得られないものが確かにあるからなんだということが、シンプルでまっすぐな言葉でビシビシ伝わってきた。
読んでたらもうヒヤヒヤする場面の連続で、「そんなことしてたらいつか死ぬよ!」と思う行為ばかり。でも、常に危険と隣り合わせでいつ死んでもおかしくない状況だからこそ、生き抜くための切実さや慎重さは人一倍で、ある意味で誰よりも生きることに貪欲なんだなと思った。自分の意志と身体で目的を達成しようという、強くて明確な動機。それを実践する姿はただただカッコいいし、人に対しても自然に対しても、とてもしなやかでフェアに見える。
そして、このインタビュー集がこんなにもおもしろいのは、何より聞き手の力だとも思う。探検冒険ジャンルにとても詳しくて、相手に寄り添いつつ入り込みつつ、どんどん言葉を引き出してくる。いいものを読んだなあ。何回でも言うけど、本当にめちゃくちゃおもしろかった。登場する全員の、これまでやこれからを知りたくなった。
インタビューでK2への挑戦を語っていた平出和也さんは、その後、まさにK2登攀中の事故で亡くなっていて、それを知っていて読むのは胸が張り裂けそうだった。でも、平出さんが残した思いや言葉や実績は、永遠に消えることなく生き続ける。
