旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


友人と長浜散策。親子丼、ぜんざい、飛び入り参加のパン食い祭り。

3月中旬、滋賀県は長浜に行った。愛知県在住の友人Kと久しぶり(6年ぶり)に会おうという話になり、だったらお互いの中間地点にあって街歩きが楽しそうな場所がいいねということで長浜に決定。友人は日帰りだけど、こちらは家族3人で行って長浜に宿泊することにした。

というわけで金沢から北陸新幹線でまずは敦賀まで。私だけしらさぎに乗り換えて長浜へ、1日別行動となる夫と子どもは湖西線に乗り換え。琵琶湖の東と西に分かれて過ごし、夕方に再び合流する計画である。

長浜駅の改札を出ると、先に着いていたKが手を振って出迎えてくれた。6年経ってるのに雰囲気がひとつも変わってなくて嬉しくなる。何をするかほぼノープランだったのだけど、Kが「駅をうろうろしてたら、知らないおじさんがこれをくれた」と観光マップを広げて見せてきた。何だそれ(笑)。「近くで盆梅展というのがあるらしくて、おじさんにものすごく勧められた」とのこと。いやあ、今回は盆梅展は別にいらないわ…。しかし結果的に、この観先マップが2日間にわたって超役立つことになる。古き良き時代のメディアって感じだけど、あなどれないわ紙の地図。

長浜旧開智学校

この日の長浜は真冬並みの寒さで、小雨がばらつく天気だった。傘を差したりしまったりしながら、まずは長浜観光のど定番である黒壁スクエアへ。レトロな建築物を眺め、ガラス館や雑貨店をのぞきながらぶらぶらする。なんとなく入った書店の一角に、地元の和菓子を並べているコーナーがあり、どら焼きや桜餅を購入。観光マップに載っていたワインショップに行き、その場で飲めるというので地元産りんごと梨のシードルをグラスでいただく。しょっぱなからいいペースである。

お昼ごはんは、これまた観光マップの親子丼の写真に惹かれて鳥喜多という店へ。店前には誰もおらず、すんなり入れそう〜と思ったら、通り向かいの歩道に順番待ちの列ができていた。15分ほど待って入店。メニューを見るまでもなく親子丼を注文。気分が完全に親子丼一択になってた。「上にのせる卵は生か煮込みかどちらにしますか」と聞かれ、二人とも生を選ぶ。親子丼が運ばれてきて、まずは寒くて冷え切った指先をどんぶりで温める私たち。

鶏肉がプリプリむちむちで美味

すぐ近くにある海洋堂ミュージアムをのぞいたあと、湖のスコーレというおしゃれ雑貨セレクトショップに寄る。Kが最近の悩みとして、「何かに夢中になりたい、推しを見つけたい」というので、店内で目に付いたものかつKが好きそうなものをピックアップしては「出汁を極めるとか?」「温活に凝るとか」「グラノーラを自作するのはどう?」と手当たり次第に提案するも、どうもハマらない。

そんな調子でとりとめもなくしゃべりながら商店街のアーケードを歩いていたら、広場で町内会のまつりみたいなのをやっていた。通りすぎるつもりが「参加していきませんか? キャンセルが出たので!」と声をかけられる。またしてもおもしろい展開。テントの屋根からパンがたくさんぶら下がってるのが見えて、「あれがもらえるのかな?」と欲が出た。近所のチビッコたちにまぎれ、玉入れ、輪投げ、けん玉をこなし(中皿に一発で決めて得意げな私)、最終ステージのパンコーナーへ。ひもで吊るされたパンにかみつき、「あんマーガリンフランス」をゲットしたのだった。パンはメーカーの量産品ではなく、どれも地元パン屋さんのもののようだった。いいね。

焼き餅入り栗ぜんざい、塩昆布付き

暖かさと甘いものを求めて、分福茶屋という甘味処に入った。Kは長く職場が同じだった同僚で20年来の付き合い(当時はどちらも静岡に住んでいた)。雑誌編集や取材・執筆の経験を共有している間柄ってけっこう貴重で、あの頃って信じられないほどがむしゃらだったよね、あの働き方にはもう戻りたくないねと意見が一致する。いやまじでむちゃくちゃ仕事してたんだよな。毎日終電で帰宅したら日付が変わってるのが当たり前で、それを充実感や達成感にすり替えてたんだから異様である。今はふたりとも別業種でもっと気楽な働き方をしており、「仕事を家に持ち帰らない、翌日に持ち越さないで済むって最高」という結論になった。

長浜鉄道スクエア。旧長浜駅の建物で、現存駅舎として日本最古(1882年完成)

長浜駅に戻り、まだ時間があるので、近くの長浜鉄道スクエアという施設を外から見る(すでに閉館時間だった)。気がつけば盆梅展の会場は目と鼻の先。来るつもりはなかったのに、朝のおじさんの予言(?)に導かれて来てしまった……が、こちらも閉館時間を回っていて屋内には入れず。屋外(庭)は散策自由だったのでぐるりと歩く。盆梅って、手のひらサイズの梅の盆栽だと思い込んでいたのだが、ずっしり重量感のある鉢に自分の背よりも高い木が植わっていて予想外だった。Kに「明日も見に来たら?」と言われるが、いやいやこんな渋いの家族は好まんよ。わざわざ見に来ることはないなと思う。

名古屋へ帰るKの電車を待つ間、Kが「明日はヤンマーミュージアムに行ったら?」と言ってきた。ナニソレ?と思ったら、例の観光マップに書いてあった。子どもが喜びそうな施設で、事前にWEB予約できること、長浜駅からシャトルバスが出ていることなど。明日もまたノープランだったけど、確かにこれはよさそうだ。最後の最後まで有益情報を提供してくるなあ、この地図。

改札でKを見送ったあと、じつに楽しかったなあとしみじみ。会ってない数年間を一瞬で飛び越えられる距離感がうれしい。しばらくして、夫と子どもが長浜駅にやってきた。大津でミシガン(琵琶湖の遊覧船。成瀬あかりも乗ってた)に乗船したり、電車にいろいろ乗ったりして楽しんだとのこと。よかった。このあと歩いてホテルへ。

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