旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


春の公園で、かたつむりの誕生会

休日、子どものリクエストで近所の小さな公園へ。桜のつぼみはいよいよふっくらとして、モクレンも足元もお花がきれいな春の日。

遊んでいるところに散歩中のおばあちゃんがやってきて、子は元気に「こんにちは!」とあいさつ。おばあちゃんは「いい子ねぇ」と近づいてきて、なぜか子も親密な空気。いつもならモジモジしそうなのに人見知りもせず、「てつぼうにすわれるから見て」「こっち来て」「ちょうさん(蝶々のこと)とんでるよ」など話しかけまくる。まったく見知らぬ相手にこの心の開き方、いったいどういう風の吹き回し?と私も意外。

またおばあちゃんの対応が素敵で、子の言葉をすべてうんうんと聞いてくれ、ときおり質問を混ぜながら返事をしたりしてお互いのやりとりが楽しそう。子は、公園の端にあるちょっと難しめの遊具ができるところを見せたくて、そこにおばあちゃんを連れて行きたくて、でも緊張なのか遠慮なのか直接おばあちゃんに触れるのはためらう様子だったのだけど、えいやっという感じで自分から手を差し出してつないでいた。おばあちゃん、「おーてーてー、つーないで~」と歌いながら並んで歩いてくれる。

しばらくして、今度は子が砂場で棒きれを見つけて「ろうそく」と言い、両手で作った小さな砂山のてっぺんに挿した。そして「きょう、かたつむりのたんじょうびだから、みんなでたんじょうびかいをします」と宣言、ハッピーバースデーを歌い始めた。ハッピバースデー、ディア、かたつむり~♪ 突然始まった誕生日会に楽しげに加わり、一緒に拍手をしてくれるおばあちゃん。聞けば3歳と5歳のひ孫がいるということで、なるほど幼児の相手に慣れてるわけだ。結局40分間ほども付き合ってくれた。

穏やかでほほえましい時間が嬉しかったのだけど、私と子の関わり方を見ていたおばあちゃんがふと「あなた、すごく上手にあそぶわね」と言ってくれたことが、びっくりしつつ嬉しかった。他者にそういう観点で褒めてもらう場面って全然なくて、感激で涙が出そうだった。

おばあちゃんと別れたあとの帰り道、子は「さっきのおばあちゃん、めっちゃかわいかったね」「サイコーに楽しかったね!」だって。春の日だまり、かたつむりの誕生会。こんなのどかでやさしい世界があるなんて。