静岡県の大井川鐵道に、機関車トーマスを見に行ってきた。大井川本線新金谷駅と千頭駅の間を走る、リアル機関車トーマス。2022年9月現在、特定日のみ1日1往復。乗車はせず、新金谷駅で出発前の様子を見学するのが目的。
行こうと思ったのは私の急な思いつきで、子の要望ではまったくない。我が家の3歳児は列車全般が好物だけど、そして家にはトーマスのトミカがいくつかあるけれど、アニメとしてのトーマスは見たことないし、キャラクターじたいへの思い入れは特にない状態。それでもまあ、駅や線路を見るのは楽しかろうと連れて行った。
トーマスの出発は10時38分。我々は9時50分頃に新金谷駅に到着。トーマスはまだホームに入線しておらず、駅舎から数百メートル離れた倉庫のような場所で出発前の最終チェックをしていた。「トーマスの整備工場」という屋外イベント広場があって、ここに入ると整備中の様子を間近で見ることができる。入場料500円。せっかくなので入る。おみやげに缶バッジとシールをもらえた。
真横にある点検通路からトーマスが見える。ときおりシュッシュッと音を立てて蒸気が上がる。タイミングがよければ煙突掃除とか洗車(洗顔?)シーンも見られるらしい。しかし子は「トーマス見ない。家に帰りたい。ジュース買って」。写真を撮ろうとしても、頑なにトーマスに背を向ける。ええ~?? (せっかく500円払ったんだから)もうちょっと楽しげな反応をしてくれよ~と思うが、まあ、親の勝手な都合だわね。日陰でジュースを飲んで休憩しているうちに、トーマスは乗客を乗せるためホームに移動していった。我々も移動。
駅舎には乗客が続々集まってきて改札を通っていく。乗らない人も、駅の隣の敷地で機関車を金網越しに見ることはできるんだけど、これがうまいこと、顔を正面から見ることはできない角度になってる! トーマスの顔をよく見たい&顔と一緒に写真を撮りたい人は、やはり500円を払ってイベント広場に行くべしということね。
10時35分、発車3分前。走っていくトーマスがちらりとでも見えるかもと改札口でうろうろしていたら、駅員さんから「すぐ先の踏切でも見えますよ」との情報。「今から行っても間に合いますか?」と聞くと「大丈夫です」との答え。そして、トーマスいらん~と言っていた3歳児、踏切というパワーワードを聞いてパッと表情が変わる。「踏切あるの? 見たい! おかーさん、行こう!!」突然みなぎるやる気。
踏切は駅を出てほんの1分ほどの場所にあり、線路沿いには先客がずらり。今まさに発車せんとするトーマスがばっちり見えた。結論、ここがベストスポットだったのでは。
汽笛! 黒煙! そこに重なる踏切の警報音! 踏切LOVEな我が子はトーマス以上に踏切に熱視線を送っており、「カンカンカンカン~! 警報灯ひかってる~~! わー、遮断機おりたァァァ~~!!」と大興奮。さっきまでのクールな人と本当に同一人物ですか?
この日最接近のトーマス氏。踏切で機嫌を良くした我が子は、長い客車を引いて去っていく後ろ姿に「トーマス、バイバーイ! がんばれ~!!」と声援を送っていた。そして、「トーマス見えたね、でっかかったね!」と笑顔。嗚呼、3歳児と秋の空。まあでも結果的に、君の胸に良き思い出として刻まれたのなら何よりよ。