職場の昼休みに本を読むことを何よりの楽しみにしている私だが、今日はショックなことがあった。急いでパンを食べ終え、さあ読むぞと図書館で借りた小説を開く。表紙をめくったところに見開きのイラスト地図があり、それはどうやら物語内の世界地図らしいのだけど、なんとなく見覚えがあった。
なにこの既視感。初めて見るはずなのに、この地形や地名を知っている気がする。この感覚は何? 一体どういうこと? 私はこの世界に行ったことがあるのだろうか…?
と、素敵にファンタジックな解釈をしそうになったが、どうもこうもない、前に読んだことのある本だった。ページをめくってみて、うむ、これは確かに読んだわ、と記憶が戻ってきた。
「好きな作者だし、表紙の雰囲気からしておもしろそう!」と思って借りたんだけど、いやー、忘れてるものだね。タイトルも表紙も完全に忘れてたなあ。そして本を借りるときって少しくらいは中をパラパラ見そうなもんだけど、それすらしなかったんだな、自分。いろいろ驚きだ。というわけで、貴重な読書時間なのに読むべき本がなくなって悲しいしもったいなかった。(細部を忘れてるとはいえ、もう一度読み直す気にはならなかった)
ちなみにその本は、恒川光太郎さんの『スタープレーヤー』。記憶に残らなかった1冊であり、再び手に取るくらい自分の感性にあっていた1冊だともいえる。いいのか悪いのか。
夕方、出先で通り雨に降られる。道路の色がしっかり変わるくらいの雨なのに傘がなく、しっとり濡れながら歩く。ついてないぜ……と思いながらふと上を向いたら、大きな虹がかかっていた。一瞬にして、ついてる!と思いなおした。ポジティブ。