旅と日常のあいだ

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『爆弾魔 続・新アラビア夜話』小説3冊分くらいのエピソードと読みごたえ

『爆弾魔 続・新アラビア夜話』

R・L・スティーヴンソン、ファニー・スティーヴンソン

「本の雑誌」の新刊紹介がめっちゃおもしろそうだったので図書館で借りてきた。タイトルのとおり前作があっての続編なのだけど、作者による前書きで書かれているように前作を知らなくても問題なし。私も読んでないけどじゅうぶんおもしろかった。

構成も舞台もとにかく奇天烈で奇想天外。ロンドンにアメリカにカリブ海に、場面が行ったり来たりで振り回される。特に序盤は支離滅裂と言いたいくらいで、いったい何が起こっているの、どこにどう着地するのかしないのか?が見えなくて、煙に巻かれている感じだった。どのエピソードも奇妙さ満載で情報量てんこもり。読んでて楽しいし続きが気になるんだけど、同時に疲れた……。悪い意味ばかりではないけどね。

ざっくりしたあらすじ。世紀末ロンドンのタバコ屋に集まった3人の青年たち(3人ともパッとしない)が、次に会うときまでに何かしらの冒険をしてそれを語り合うことを約束する。物語は、3人各自の冒険譚ごとに章立てになっていて、彼らは互いにほかの2人がどんな冒険をしているのかを知らない。でも読者にはわかる。この人とこの人がつながって、このエピソードはこっちのこれで…と少しずつ明らかになる連鎖。支離滅裂だと思ってたものに関連性が浮かび上がってくる興奮!

どの章にも、パワフルで破天荒でミステリアスな女性が出てきて魅力的。青年たちは3人ともちょっとボンヤリしたキャラで(巻末の解説でも「3人とも木偶」とか言われてる。散々だ)、女性が物語をぐいぐい引っ張ったり事態を逆転させたりしながら冒険が進んでいく。あれやこれやがあって(もう本当にあれやこれやがありすぎ)、冒険を終えた3人は再びタバコ屋に集う。そして、お互いの話を披露したときに……!!

でっかい風呂敷を広げまくった挙げ句、うまくくるんで、しっかりたたんだような痛快さだった。現実や日常からトリップして、小説でしか表現できない世界に没入する喜びがあった。順番が逆だけど、前作も読んでみようかな。