旅と日常のあいだ

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金沢21世紀美術館へ、中村佑介展に行ってきた

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イラストレーター中村佑介さんの展覧会を見てきた。

中村さんのイラストをいいなと思ったきっかけは、森見さんの小説「夜は短し歩けよ乙女」の表紙絵(単行本ではなくハードカバー版のほう)。緻密な線、キュートでレトロなテイスト、小説の世界観が凝縮された構成が素敵すぎて。

会場の金沢21世紀美術館は一部の企画展を除いて展覧会・常設プログラムは休止中。周辺は閑散としていて、美術館の敷地には人の姿がほとんどなかった。

中村佑介展は予定通りの開催だけどまったく混雑なし。平日の午前だからか? 受付で当日券を買うのも行列ゼロ、会場内も視界に人がひとりいるかいないかくらい。特典(マスクケース)付き入場券もまだ余裕で売ってた。コロナ対策として入場時にメールアドレスとフルネームの申請が必須。感染者が判明した場合に一斉メールを送るためとのこと。

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作品は、CDジャケット、小説、文芸誌などのジャンル別に、 アーティストごと、著者ごとに分けて展示。手掛けることになった背景説明、アイディア出しから完成までの製作工程紹介もあっておもしろかった。制作にまつわるエピソードも興味深くて、左向きの横顔が多いのは、日本語の紙媒体は左に向かってページをめくる仕様=左側にある未来を見ているから、とか。初期作品に制服の少女が多いのは、作者本人が女性にまったく話しかけることのできなかった少年時代の裏返しだとか。

 

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ドレスのレースや手袋の描き込みがきれい。どれだけでも見ていられる。個人的には着色する前の線だけの状態のほうが好きかも。白と黒だけのきっかりした画面に、描かれているものが際立って見える。

 

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他のキャラクターとのコラボ作品も多々手掛けているそうで、これはサンリオのキキララ! 世代的にど真ん中。かわいすぎてドキドキした。色みもアイテムもキキララなのに、ふたりの表情や線は中村佑介。メルヘンとアンニュイの取り合わせがいいなー。

自分のペースでじっくりまわって1時間ちょっと。充実してるけど疲れすぎない、ほどよいボリュームだった。満足。入場料は大人900円、会期は5月29日まで。

美術館の無料ゾーンにある「タレルの部屋」が好きなので見ていこうと思ったけど、閉鎖中で入れず。あと、近くにあるおいしいケーキ屋さん「オフク」に寄ろうとしたら、こちらも緊急事態宣言の解除までは休業中だった。はやく日常が戻ってこーい。