旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。



難関トンネル工事の『高熱隧道』、読書の友には細長いパン

1歳児との暮らしにおいて実感していること……平日も休日も関係なく、「自分の時間」をとるのが難しいということ。子が起きている間はかかりっきり、子が寝ている間は家事全般やること山盛り、ひととおり片付いて「よしやっと自由時間!」と思う頃には体力が尽きていて、本を読もうとページを開いたものの気づいたら寝落ちしてましたという日々。寝かしつけがすんなりいった夜はブログを書く余力もあるけれど、なかなか思うようにはならないものよ。

そんな日々にあって、私に許された絶対不可侵の自由時間といえば、職場での昼休み。何人にも邪魔されない自分のためだけの45分間は超貴重! できるだけ長く読書の時間をとりたいので、お昼ごはんは本を読みながらでも口に運びやすい細長いパンばかり選びがち。具体的には、セブンイレブンのちぎりチョコクリームパンか練乳ミルクフランスばっかり食べてる。それぞれ週2回は食べてるんじゃないか。

そうやって捻出した時間で夢中で読んだのがこちら。超おもしろかった。

『高熱隧道』吉村昭

 黒部ダム建設にあたってのトンネル工事を描いた記録文学。温泉湧出によって160℃という高温になる厳しい現場作業の様子が、あまりにも壮絶で異様で現実とは思えない過酷さ。限界を超えた温度の中でダイナマイトを扱わねばならないとか、それによって起こる大惨事とか、熱に耐えるため作業員の体に常に水を浴びせ続けるとか。そして厳冬期、コンクリート製の建物が宙に舞うほどの破壊力をもった雪崩が発生するエピソードの恐怖感、絶望感。そのような現実が、関わる人間たちの考えや感情とあわせて描写されていく。その描かれ方のテンポが実によくて、過剰にドラマチックにしたり引き伸ばしたりせず、(いい意味で)淡々とさらさらと進んでいく感じ。短く引き締まった文章表現にリアリティを感じながら、ぐいぐい引き込まれて読み終えた。黒部ダムに関わる他の文献も読んでみたくなったし、吉村昭さんの他の著作も読んでみたくなった。

高熱隧道

高熱隧道

  • 作者:吉村昭
  • 発売日: 2013/06/13
  • メディア: Kindle版