金沢21世紀美術館で開催されているチームラボの展示「永遠の海に浮かぶ無常の花」を観てきた。チームラボ初体験。
日付指定の前売りチケットは2,200円で、高っっ!!とビビりながら購入した(当日券でも値段は同じ)。感想としては「観たことないようないいものを観たなあ、おもしろかったな、しかし1,800円くらいでもいいのでは」というところか。でも行ってよかったと思っているし、違う作品が展示される機会があれば観てみたいなと思う。
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お盆休みも終わった8月の金曜午後、金沢のまち全体も21世紀美術館周辺も人が多くてにぎわっていた。一般展示のチケット購入列は長々としていたけれど、チームラボ専用チケット売り場には行列なし。入場時の待ち時間もなくスムーズだった。
ちなみにチームラボ展示エリアはベビーカーNG。そんなこととは知らず、入館直後にまず貸出ベビーカーに0歳の子どもを座らせ、大人の荷物をかごにセットし、準備万端!と入場しようとしたら係員に「ベビーカーは使わず、抱っこして鑑賞するように」と制されたのであった。今ここで言うんだ……。入口の目立つ場所とかベビーカー貸出場所とかに注意事項として貼っておいてほしかったよ。念のため持参していた抱っこ紐に子どもをおさめ(持ってきてなかったら腕がしびれるところだったわ)、ベビーカーを返却し、大人の荷物を抱えなおし、なんだかなぁの時間ロス。
展示内容や仕掛けは公式サイトに動画付きでくわしく紹介されているので、ネタバレ禁止というものではないようだ。でも、PCやスマートフォンで動画を見るのと、展示会場に身をおいて360度ぐるりの視点で見るのとはまったくの別物、別世界。
暗く入り組んだ空間に、壁いっぱいに波が寄せては砕ける映像が続いている。その波間に四角く切り取られた出入り口があり、向こう側の部屋に鮮やかな花が咲き誇っているのが見える。こちら側とあちら側の明暗のコントラスト。花があふれる空間への期待感。そういう演出にとてもドキドキした。
壁一面に花の映像。来場者が手を触れると花は散っていき、やがて、また新たな花が咲く。用意された動画を流しているのではなく、だれも予測できないリアルタイムの映像が映し出されている。そのときどきで花の位置も数も変わっていき、今見ている映像は、二度と同じものを見ることができない。
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こちらはまた別の展示。展示室には机といす、画材が並べられていて、来場者は好きな形、好きな色の花の絵を描いてスキャン。すると自分の描いた花が壁に映し出され、これまた手を触れることで花が散っていくというもの。参加型というか、参加者があってこその作品よね。自分でも意外なほど、この展示に強く興味をひかれて長いこと見入ってしまった。さっきのひまわり以上に「この人がいないとこの作品にはならない」っていう一期一会感が大きい気がして、そうするとどの瞬間もどの花が咲くのも散るのも見逃せない気持ちになったのだった。
関係ないけど、見たところみんな花の絵を描いているようだったけど、花じゃないもの、たとえば人の顔とか魚とかを描こうとする人が出てこないのか気になったよ。描いたところでそういう絵は表示されない仕組みになっているのかな。試してみたかったが私にはその度胸はなかった。
さて、全部で5つある作品のうち、もっとも心を奪われたのが世界初公開の新作、「光群落」というもの。入場口では非常にそっけない態度だったくせに、一歩展示スペースに入ると息をのむような世界が広がっているというツンデレ演出にまんまとしてやられたわ~!
暗闇の中、縦横無尽に張り巡らされたレールの上を光る球が走っていく。光は刻々と色を変えながら、あるときは速くあるときはゆっくりと進む。光が近づいてきて観覧者の顔を照らし、また遠ざかっていく。それはそれはきらきらとして幻想的で、かっこよくて未来っぽいような、懐かしくて切なくなるような。実際、これはいつまででも見ていられるなと思った。言ってしまえば「レールの上を球が動く」っていうだけのことなのに、実に単純な仕掛けなのに、わけがわからんくらい目も気持ちも釘付けになりましたわ。0歳の子どもも静かに眺めており、私は、彼の頬や瞳が白や赤や緑色に照らされていく様子をじっと見ていた。なんともおもしろい作品だった。チケット2,200円のうち、私の中ではこの「光群落」が1,500円分くらい占めてたね。それくらい好きだった。