生のバナナが好きじゃない。のに、一週間前からうちにバナナが一房ある(もらいもの)。冷蔵庫に入れて長持ちさせているものの、いくら延命させたところでバナナを食べたい瞬間が来るとは思えないのだった。このまま熟れていくばかりのバナナをどうしたものかと悩んでいた今朝、突然、バナナケーキにすればよい!とひらめいた。「ひらめいた」っていうほど大層なことじゃないが、バナナに縁遠い日々を送っているとバナナケーキの存在もまた遠いもの。生バナナもバナナ味のお菓子も食べたくないが、バナナマフィンやバナナケーキは「時によっては好き」な部類なのだった。そのことをよく思い出したなあ私、と感心したよ。
というわけで、バナナケーキを焼いた。直径18センチの丸型に対してバナナ2本。バナナの皮をむいたのは一体いつぶりだろう、20年とか、いや、もっと前かもしれない。
果たしてその味はというと、
バナナの甘さとしっとり感が生地になじんで、ひょっとしたらこれは、私史上ベスト・オブ・バナナケーキ。おかわり!と言いたくなるおいしさであった。バナナケーキがこんなにもおいしいとは予定外、もしかして私はバナナ嫌いを克服したのだろうかと疑いたくなる。が、試しに生のバナナを食べてみようとは思わない。冷蔵庫にスタンバイ中の残るバナナたちも、このあと順番にバナナケーキにするつもり。