7月に行った、八ヶ岳のひとつ蓼科山。遠くから見る丸くてぽってりしたかたちとは裏腹に、山頂はだだっぴろい岩の広場でびっくりした。こんなゴツゴツした顔を隠し持っていたとはね。
蓼科山の山頂。とにかく広くて見渡す限りゴロゴロの岩だらけ。その向こうには空と雲と、はるかな山々が見える。別世界の光景だ。
岩場のふちから下を見る。前日に泊まった白樺湖も北アルプスの稜線も見えた。
私にとって山登りの楽しみの絶対的一位は「山頂からの景色」なのだけれど、その気持ちを十分に満たしてくれるすばらしい場所、すばらしい景色だった。これだけ広ければ、どんなに登山者が多くても「山頂が混み合う」という事態にならない。せまーい槍ヶ岳山頂なんかだと、一帯に人がたまって並んで、写真撮影の順番を譲り合って、本当は長居したいが空気を読んで早めに下りるというようなことになる。
下山してから見上げた蓼科山。頂上がああなってるとは想像できん。
亀甲池、双子池をめぐる帰り道。
帰り道の途中で体調がおかしくなった。気温の高さと陽射しの強さで暑いのに加え、自分の体がものすごく熱い。頭がぼーっとして、吐き気もしてくる。ああこれは熱中症だ。これまでにも何度かあったなこの感じ。涼しいところで休んで体を冷やせばおさまるレベルだと自覚できるくらいには、気力や意識はしっかりしていた。
でも、前日からずっと楽しみにしていたお昼の時間が、もうまったく食欲もなくて、ぐったり休憩する時間になってしまったのは今もざんねん。
カマンベールチーズを丸ごと使ったチーズフォンデュと、野菜いっぱいの焼きビーフン。同行者がフライパンを持参していたのだ。なんて素敵なメニューなの!って、前日の買い出しのときは大盛り上がりだった。が、わたしゃビーフンふたくちとチーズひとかけらでごはん終了。首の後ろとおでこに冷却シートを貼り、池のほとりの日陰の岩にもたれて、ちょっと眠った。そしたらだいぶ復活した。
体調がしんどいとき、我慢せずに「無理、しんどい」って言えることって本当に大事なのだよね。で、一緒に登る仲間が過剰な心配やいらぬ慰めをせず、「戻りのルートをどう変えるのが最善か」を考えたり「なにひとつ気にしなくていいから休め」とだけ言ってくれるということも。
でもやはりチーズフォンデュを食べ損ねたことはもったいなかったので、秋の、もうちょっと涼しい山登りのときに再挑戦だな。山ではなく家でふつうに食べればいいんじゃ?っていう発想は、野暮というものです。