旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。



倉敷でマステまみれ。「mtファクトリーツアー2016」

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カモ井加工紙株式会社をご存知か。マスキングテープ「mt」を作っているメーカーである。マスキングテープ(以下マステ)に夢中の妹と私の会話には、「カモイさんがさぁ」「こないだカモイがFacebookでね」というように割と頻繁に登場する、そのカモイさん。

カモイさんは、年に1回「ファクトリーツアー」を企画している。マステファンを工場に招待し、歴代テープを展示したり製造現場を案内したり記念テープをプレゼントしたり、そしてもちろん限定テープの大販売会もある。ファクトリーツアーが無料だが、参加は抽選制。例年かなりの高倍率で、イベント前には、「応募したけど落選して残念」という嘆きの声がネット上にあふれていた。

妹から「ファクトリーツアーに行こうよ」と誘われ(彼女は過去に一度参加済み)、私も興味があったのでそれぞれが応募。そしたら妹は落選、私は見事に当選した。大丈夫、2名枠で応募していたので妹も一緒に行ける。ちなみにカモイさんの工場は岡山県倉敷市にある。静岡から倉敷、まあまあ遠い。はじめ、青春18きっぷで鈍行を乗り継いでいくという案も出たが、それではファクトリーツアーの指定時刻に間に合わないことがわかったので新幹線で一気に行くことにした。新幹線速いよ快適だよ! 一週間前に静岡~函館を二日がかりで鈍行移動した身には、この速さがありがたいやら虚しいやら。

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倉敷駅に到着。電車を降りると特設キオスクが待ち構えていた。まだ改札を出てもいないのに、さっそくのマステ攻撃である(つまり倉敷市民のみなさんも、入場券を買って改札を越えないとここで買い物ができない!)。営業時間にも限りがあるし、あとでまたここを通るとも限らない。おみやげ選びはいつだって一期一会、「またの機会」はないと思えが鉄則である。さっそく財布を開く私、目にとまったマスキングテープと、mtブランドのレターセットを買った。レターセットって。すでにテープですらない。

ツアー開始まで時間があるので街を散策。倉敷といえば美観地区である。 川の両岸に白壁の建物が並ぶ、あの静かで落ちついた佇まい。

落ち着いた、たたずまい……。

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見事に落ち着きを失っていた。白壁もガラス窓も、大原美術館の柱までもが、マステで装飾されている!

街じゅうがこんなにマスキングテープなのは、今日がファクトリーツアーだからではない。岡山では県をあげての観光キャンペーンの真っ最中で、その一環としてのマステ推しなのであった。JRではマスキングテープのラッピング電車も運行させているからね。ちなみに2016.6.30まで。

そんなこんなで「白壁」の美観地区はどこへやら、マステに彩られた楽しい美観地区をあとにして、我々はファクトリーツアーへ。倉敷駅ちかくの指定場所に、指定時刻に行く。輝かしい入場パスを持って(冒頭の写真がそれ)。

ほどなくして迎えのバスがやってきた。言わずもがなのマステラッピングである。目が慣れちゃって、いちいち「マステ!マステ!」などと騒がなくなってきたよ。

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バスに揺られること20分ほどでカモイの工場に到着。工場内は撮影禁止。現場の方の案内で工場内に入り、今まさにマステが生み出されている製造工程を見せてもらった。ガラス越しに遠くから、ではなく、すぐそこに機械があり人がいるその場所のすぐ真横を歩いていく。この距離の近さにびっくりよ。

ロールに巻かれた幅数メートルのマスキングテープ、巻き終わったばかりのロールをさわらせてもらう。なんとなく温かいのではと予想したがそんなことはなかった。それから、太幅テープを数センチ単位で裁断する機械。カットされたテープをひとつずつ検品するのは、人間の目と手による作業だ。できあがったマステを既定の数ずつ箱に収めていく作業を見ていたら、我知らず胸にこみ上げるものがありちょっと涙が出た。えっ、この涙の意味はなに。うろたえてしまう。

工場を出たところに、マステの展示や販売、ワークショップなどのお楽しみコーナーがある。帰りのバスまでの1時間弱で楽しみつくさねばならない。まずは歴代テープの展示コーナーを見る。

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盆栽柄いいなあ。もう販売していないけど熱烈復刻希望。パンもかわいい。

マステの量り売りなんていうのもある。グラム単位! 一体マステがどれくらいの重さなのか、たとえば100gがどれほどの太さ長さなのか見当もつかないよ。机に箱とはかりが置かれていて、載せたり戻したり、重さを確認しつつ品定め。私は惹かれなかったけれど、妹はこれが楽しみだったらしい。幅2ミリとか3ミリとか、あまり市販されていないような細いのをたくさん買っていた。そんな細いの何に使うの、という言葉は飲み込んだ。マステ道に堕ちた者なら誰でもそうだと思うんだけど、マステに関して、「何に使うのか」は禁句、っていうか愚問。貼るとか留めるとか隠すとか、そういうまっとうな用途の向こう側にあるのだよね、マステを欲する気持ちの出どころは。

テープを自由に切り貼りできるワークショップでノートを飾りつけたり、記念のスタンプを押したり、香り玉を入れた飾り(?)を作ったり、マステロールの端っこの切り落とした部分(「ヘタ」と呼ばれていた)をもらったり、帰りの時刻が強制的に迫ってくるなかどこまで満喫できるか最大限に動き回った。案内してくれる職員の皆々様、休日出勤ご苦労さまですという気持ち(この日は土曜日)。

参加費無料のイベントで、工場を開放して、売り場とかイベント会場とか設営して、シャトルバスを手配して、レジを打ったり列の誘導をしたり、これ運営するの大変だろうなあ、本来の業務とは別に、しかも一日限りではなく一週間とかにわたってやるのだもの。そしてまた、参加しているのは大多数が女性、大学生~大人まで年代は幅広いけれどもおおむね女性。いっぽうカモイの皆さんは、女性社員もいるけれどもちろん男性社員もおり、おじさまの社員もおり、彼らは趣味として自発的にマステを買う層ではないだろうと思うのだけどそういう皆さんの口から「限定mt」「コンプリートセット」「mtガチャ」といったマステ用語が出てくるたびに軽い興奮を覚え、再び涙が出そうになったりして(どうなってんの私の脳みそ)……。とまあ、ファクトリーツアーじたいは1時間ちょっとの短い時間だったけれども、マステ愛が募るに十分の濃密な体験であった。

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もちろんここでもマステを買った。ファクトリーツアー限定柄(今ここに来ないと一生買えない)は確か10種類あって、しかし私も妹も「全柄制覇タイプ」ではないので冷静にほしいものだけを吟味。限定ではない、つまり静岡の文房具屋さんでも売っているっていうのも含め、計6つを買った。少なめ。ツアー参加者の中ではたぶん相当に少ない方であろう。桜、さくらんぼ、りんご、花の模様2種、焼き菓子。

そして、ツアー参加者へのおみやげは、マステ柄がプリントされたトートバッグと、マステ2つ(赤白のギンガムチェックと、ジーンズのステッチ柄。岡山!)。

帰りのバスで妹に、「本気で教えてほしんだけど、マステを買って何に使うの? 貼るの? どうするの?」と聞かれた。うむ。同じことをそのまま問いたいよ。ファクトリーツアーに来ていた全員に。

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