松本サマーフェストでワインとお肉を堪能したあと(記事はこちらです)、偶然に前を通りかかってハッとした「栞日(しおりび)」というお店。ここ、行ってみたいなと思っていた店だ! リトルプレスの本と、コーヒーと、企画に合わせた雑貨販売や展示をやっているお店。
だいたいもう、看板からして好みの直球すぎる。右下の水色の黒板に山の絵。1階がカフェで、2~4階がギャラリー。細い階段の脇には本が並んでいるのだが、これまた山関連の書籍がずらり。1970年代の「山と渓谷」とか、「信州百名山」とか、心をくすぐられまくり。
最上階の展示スペースはこんな内装。コンクリート打ちっぱなしの部屋に風が通り抜けて、レコードの再生機と、重厚なソファーと、本がいっぱい。なんかもう、憧れの最終形態って感じだ。
この店に置いてある本はほとんどがリトルプレス。リトルプレスとは、制作や流通に専門企業を使わず、個人や団体が自分たちで作って販売する冊子のことだ。大手書店には並ばず雑貨屋さんやカフェの一角で売っていることが多いのだが、この棚を見ていたらうれしいものを発見。若菜晃子さんという編集者によるリトルプレス、「ミューレン」のバックナンバーだ。わああ、懐かしや。数年前、「ミューレン」にはまった私はウェブ書店でバックナンバーをそろえたのだが、しばらくすっかり忘れていた。
お店の方に「その号は人気で、もう残り一冊だけなんです」と言われ、このテーマはそうだろうなと迷わず購入。「ミューレン特別号/山でパンとスープ」540円。山で食べたい簡単でおいしいスープの作り方とそれに合うパンが紹介されている。どれも本当においしそうで写真がきれいで、山に行きたい気持ちがまた刺激された。
レジで店主に「今日はどちらから?」と聞かれて「静岡です」と答えたら、重ねて「静岡のどのあたり?」と。聞けば店主の出身は、私が住んでいるのと同じ静岡市なのだった。さらに、出身大学が同じことも判明(静岡でも長野でもなく関東の大学だ)。さすがに学部は違ったけれど(そして年代も店主の方がずっと若い)、メイン講義棟が向かいどうしだとか、思わぬところで共通の話題が広がってびっくりだ。
たまたま通りがかって入った店で、懐かしくうれしい部分をいろいろと刺激されたなあ。友人は山のイラストが描かれた缶バッジを買っていて、これも実に素敵なのだった。白馬岳、マッキンリー、モンブラン、あともう一つはなんだっけ?
帰ってから確かめたら、うちにある「ミューレン」のバックナンバーは4冊だった。またそろえたくなってきたな。なにしろ編集長・若菜晃子さんの文章が好きすぎる。たぶん最初に知ったのは「東京近郊ミニハイク」という小さな登山ガイドで、思えば、私の登山熱はそこから始まったような。