まだまだ終わらないスペイン旅行記。バルセロナに3泊、マドリードに1泊し、今日は滞在5日目。つまり最終日の前日。
トレド駅。
今日は日帰りでトレドに行くのである。魅惑の古都・トレド。相変わらず事前のプランもろくになかったけれど、トレドはたいそう素敵であった。荷物はマドリードのホテルに置いたまま、朝7:30にホテルを出て行動開始。徒歩すぐのアトーチャ駅にて朝ごはんを食べる。生ハムサンドと、でっかい源氏パイみたいなのと、カフェオレ。旅の間じゅうずっと言ってるけど、もうなにしろ生ハムが美味しすぎる。
昨日のうちに買ってあった高速鉄道Renfeの切符でトレドへ向かう。トレドは、街全体が世界遺産になっているという城塞都市。中世までスペインの首都であり、さまざまな宗教や文化様式が入りまじる場所であったらしい。「スペインに1日だけ滞在するのなら迷わずトレドへ行くべし」というような格言(?)があるくらい、何が何でもはずせない観光地なのであった。
トレド駅から市街地までは少し離れているのだが、てくてく歩くことにした。ガイドブックではバスやタクシーを使う紹介が一般的なようだけれど、街並みを見ながら歩いたら意外とすぐ(20分くらい)。
駅から市街へ向かう途中、古い街並みが見えてきてわくわく
大きな城門をくぐり、トレドの街へ
中心にあるソコドベール広場に着いて、まずは街全体をぐるりと周遊する観光バス「ソコトレン」に乗ろうとしたのだが、停留所に行ってもそれらしいバスが来ない。というか、バス通りは何やら人が多くてざわざわしているし、中央広場にはテントが立っていて騒がしい。友人Nと、なんか変だよね、バスはどうなっちゃったんだろうねえと言いながら、近くの観光案内所へ。そこでどうにか得た情報によると、今日は大きなスポーツイベントがあって停留所の場所が変更しているのよ、ということであった。バスルートの臨時変更! 同じようなことが、2日前のバルセロナでもあったような……(スペイン06 バスの来ないバス停と、くせになる日本語ガイド - 旅と日常のあいだ )
ダイヤも変更しているようで、乗るつもりだったバスには乗れず。それならばと気を取り直し、気の向くままに好きなように街を歩くことにした。
トレドの観光案内を見ると決まって「街全体がまるで迷路のよう」と書いてあるのだが、実際、その言葉は偽りではなかった。道という道があっちを向いたりこっちを向いたりで曲がりくねっており、いたるところで交差し、分岐し、しかも細い道に面して高い建物がみっちり建っているために見通しがまったく効かない。
グーグルマップのトレド。道がごちゃごちゃ!
歩けば歩くほど、現在地を見失い、自分たちがどこに向かっているのかさっぱりわからなくなる。今立っているこの道が、初めて歩く道なのか、それともさっき通った道なのかすらわからない。どれだけ歩こうが城壁の中にいることは間違いないので、まったくの迷子になるはずはないと思うのだけれど、もう本当に、面白いくらい道がわからん!!
壁が高い。
道がせまい。
そして、道が似ている。
初めに見たソコドベール広場に戻りたい私たち、お店の人に地図を見せて現在地を記してもらい(ガイドブックの巻末に付いていた「現在地をこの地図で教えてください」が役に立った)、なんとかかんとか、再び広場に戻ったのであった。
お土産屋さんのショーウィンドウにも、中世っぽい品ぞろえ
そんなことをしていたら、そもそも乗るつもりだったのとは別路線の周遊バスを発見。あれに乗れば、徒歩では遠くて行けない城塞の外の展望地にも連れて行ってもらえる!ということで乗車。結果的にはこれがベストな選択だった。さっきまでウロウロと歩き回った道を今度は少し高い場所から眺められたし(バスは二階建て)、街の外に出て展望のきく場所にも行くことができたし(しばし停車して写真撮影タイムもあった)。
周遊バスのハイライト! トレドの全景を見下ろす素晴らしい眺め
このバス、嬉しいことにそのままトレド駅にまで運んでくれた。街をぐるぐるするばかりかと思いきや、列車の駅もコースに入っていたとはラッキーだった。
トレド楽しかったな。街歩きという言葉がこれほどぴったりくる場所もほかにないだろう。どの路地も絵になるし、曲がるたびにわくわくした。中世の街並みの素敵さに。迷子の気分は、結構本気で不安になったけどね。
トレドでは、私はスマートフォンで写真を撮り、私のデジカメは友人Nに託していた。Nは、「このカメラを使うと、もやがかかったような幻想的な写真が撮れるなー」と言って喜んでいたのだが、それはカメラの機能のためではなく、ましてや中世の城塞都市という街の雰囲気がそうさせたわけでもない。あとから見たら、単にレンズが汚れていただけであった。誰だー、レンズに指紋をつけた奴は!!
「スペインに行ったらトレドに行け」、うむ、私も同意。行ってよかったな、楽しかったなという思いを抱きつつ、再びの高速鉄道でマドリード・アトーチャ駅に戻ったのだった。さあ、このあといよいよ、スペインの最後の夜。