名古屋市の東山動物園にて、人生で初めてコアラを見た。
コアラを見てわかったことがひとつある。これまで私が持っていた「コアラのイメージ」は、あくまでも「イメージ」に過ぎなかった、ということだ。
コアラってあれでしょ、全体的にふわふわで、耳も鼻も大きくて目はくりくり、まるでぬいぐるみのような愛らしさ。ユーカリをもぐもぐ食べたり、木々の間を駆け回ったりゴロゴロしたり、ちょこまかとした仕草で観客をくぎ付けにしてしまう存在。当方、ぬいぐるみにもふわふわにも興味はないけれど、しかしコアラは見てみたい。その可愛らしさがどれほどのものなのかを目の当たりにしたい……。
そんな興味と期待を抱えてコアラ館へ行ったのである。のびのびと遊ぶコアラたちがあっちにもこっちにも、もふもふ、くりくり、ふわふわ~~~!!
かと思いきや、これがもう、コアラときたらやる気ゼロ。隠れてるし、動かないし、サービス精神のかけらも見当たらない。客商売をなめてんのか!って感じだが、商売をしているのはコアラではなく動物園なんだからコアラに文句をいうのは筋違いというもんよね。
案内板によると、コアラ館には7~10匹くらいのコアラがいるらしいが、全員の姿を認識できたわけではない。彼らは木の枝の股とか葉っぱの陰とか、人間たちからちょうど見えづらい何とも絶妙な角度にうまいこと陣取っているのであった。
コアラたち、そこにじっとしたままほとんど動かない。したがって、愛らしい仕草だの軽快な木登りだの複数でじゃれあうだの、私が期待していた「コアラ的」パフォーマンスは皆無。しかも、うつむいているのか何なのか、どなたさまのお顔もまったく見えやしない。大きな鼻も、耳も、つぶらな瞳も、何一つ確認できずじまいである。写真を撮ろうにも、そこにある灰色のモジャモジャが木なのかコアラなのかそれともただの毛玉なのか、判然としない感じ。
そんな中で唯一撮った写真がこれ。高い位置にいるコアラ氏。
ふわふわ感ゼロ。むしろ大きな耳どころか、耳、小さくないかい?丸めた背中には悲哀が漂い、控えめにのばした脚がなんだか切ない。すべてに嫌気がさして、ふてくされているようにも見える。何だろうこれ、見る者を落ち着かなくさせる、この感じ。
コアラってこんなんじゃないはずだ!と思いつつ、いやいや、これがコアラの日常であり現実なのね。愛らしい顔をしながらも俊敏で、いたずらっ子なんだけど憎めないっ、みたいなイメージ、これはコアラというより、むしろドアラからの連想なのかもしれんな。以上、コアラの第一印象についての所感でした。