旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


かき氷の「ひみつ堂」にて、ひみつのいちごみるく再び

二度目となる、東京・谷中(やなか)の大人気かき氷店「ひみつ堂」へ行ってきた。

ここのかき氷を初めて食べたのはちょうど一年前のこと。これまでに経験したことのないあまりにもふわふわとした氷の口当たりと、圧倒的果実感に満ちたシロップの美味しさに「なんじゃこりゃ!」と打ち震えたものである(東京・谷中、ひみつ堂のかき氷 - 旅と日常のあいだ)。

さて、二度目のひみつ堂。16時を過ぎたころ、店の前には20名ほどの行列ができていた。かき氷を食べるのに列に並ぶとは、しかも20名とは!と呆れそうになるが、このかき氷の美味しさを知っている私には「まあこれくらい並ぶよね、っていうか20名なら意外に少なよね」という印象。行列はキライだが、真夏の炎天下ならいざ知らず、晴れた春の夕方におしゃべりしつつメニューに悩みつつ行列が縮んでいくのを待つのは、たいした苦痛ではないのであった。

30分ほど待っただろうか。ついに入店し、初訪問のときには品切れで食べられなかった「ハニーりんご」と、この季節の王道メニュー「いちごみるく」を注文する。

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ひみつのいちごみるく!(上に生のいちご。去年はなかった。感想としては、これはなくてもよかった)

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ハニーりんご!(めちゃくちゃ好きな味。甘く煮詰めたりんごジャム、これは最高)

念のため言っておくが、一人で二つを頼んだわけではない。二人で二つを頼んだのである。しかし我々の前に並んでいた殿方(30代半ばくらいと推定)は、一人で二つを注文していた。す、すごい。一つでも結構なボリュームなのに二ついっちゃうとはなんという猛者であろうか。

しかし店員さんも慣れたもので、動じる様子もなく「先にどちらをお持ちしましょう?」と応じていた。そりゃそうだ、いっぺんに出したら当然溶けちゃうもんな。二つ頼む人、結構いるのかもなあ。ちなみにその殿方もいちごみるくを頼んでいた(もうひとつは甘夏みるくだったとおもう)。かき氷の猛者からしても、いちごみるくは欠かすことのできない一品ということだろう。

一人で二つ食べる猛者もいれば、かき氷店に来たにも関わらずかき氷を食べない猛者もいる。

ひみつ堂には、かき氷のほかになぜかクラムチャウダー(!)もあるのだが、私はずっと「この店でクラムチャウダーを頼むってどういう動機なんだろう、頼む人なんているんかいな」と思っていた。

さて、列についているあいだ、我々の後ろにはカップルがいたのだが、いざ注文という時になって、彼氏のほうが店員さんに「かき氷のハーフサイズはできますか」とたずねたので私は思わず聞き耳を立ててしまった。ハーフ!? どういうことだい、かき氷が苦手なのかい? 店員さんは、「小さく作ることはできますがお値段は変わりません」との答え。

すると彼氏はこう言ったのである。「じゃ、クラムチャウダーで」。

ここでクラムチャウダー!そうか、これは、このかき氷屋にあるまじきホットなメニューは、こんなときのための救済策であったのか。つまり、人気のかき氷を食べたがる彼女を店に連れて行ってやりたいが、俺はどうしてもかき氷を食べられない。お腹が冷えがちなのか、虫歯治療中で歯茎が痛むのか、シャリシャリした食感が苦手なのか。

かといって何も注文しないわけにはいかないし、しかし、かき氷を頼んで残すのも気が引ける。そんなときにこれ、クラムチャウダーだ。ポカポカと温かくやさしい、救いの一杯。彼女とかき氷屋に行くという思い出も共有しつつ、お腹への負担もない。そうか、そういうことだったのねと勝手に納得したのだった(ぜんぜん違うかもしれないけど。氷を削るあの機械は実はミキサーの機能も搭載しており、この店のスタッフは卓越した撹拌スキルにより他店よりもなめらかなスープを作ることができる、とかかもしれないけど)。

二回目も期待を裏切らない美味しさだったひみつ堂。季節によってシロップの種類が変わるから、また別の季節にも来てみたい。