ロンドン旅行記13回目。滞在最終日、ようやく念願の大英博物館へ。 前回の記事はこちら
大英博物館内はとてつもなく広く、一日で回りきれるものではない。見たいものを逃さず見るべく、あらかじめだいたいのルートを決めて入館し、おおむねその通りに見て回った。残念だったのは一部の展示室が改装中だったことだ。その中には、特に見たいと思っていた「死者の書」「エジプトの猫」もあった。場所を変えて展示するというようなサービス精神はないようで、改装が終わるまではどうしたって見られないとのこと。仕方がない。
教科書で見たことのあるようなものがバンバン出てくる。ちなみに入館は無料。いいね!
私が最も見たかったものは別にある。ミイラだ。いつからかなのか思い出せないが(小学生か中学生か)、大英博物館にはミイラを集めた展示室があると知った時からずっと興味があった。巨大な博物館の一角に、暗い包帯の下で何千年も眠るミイラが静かに並んでいる部屋がある。その風景を思い浮かべるとワクワクしてしまい、ついにミイラの展示室に入るときには胸が高鳴った。
何にびっくりしたかって、ミイラが横になって寝ていたこと。これまでずっと、ミイラは壁にもたれるように垂直に展示されているものだと思い込んでいた。壁一面に立って並んでいるミイラを想像していたがそうではなく、棺に納められて(もしくは棺の隣で)、横になっていた。そうだったのか!
さらに、展示室はきっと静かで暗くて冷たいのだろうと思っていたがこれも違って、白くて明るくてにぎやかだった。ミイラ室は人気があるんだなあ。社会科見学らしき小学生の集団が何組も来ていたのだが、子供たちは駆け回ってガラスに貼りついて(棺やミイラはガラスの壁で守られている)、興奮した様子でぺちゃくちゃとしゃべっていた。私の前にいた女の子は後ろに立っている私を先生だと勘違いしたらしく、ミイラを見て早口でしゃべりながら「そうだよね、先生!」っていう顔で勢いよくこちらを振り向いた…のだが、そこにいたのが先生ではなく見知らぬ私だったことが恥ずかしかったのか、また何やらしゃべりながら走って遠くに行ってしまったよ。気持ちはわかる。
夢だった(?)ミイラとの対面を果たし、展示室の外で友人と合流。友人はどうしてもミイラが怖いと言ってひとつも見ようとせず、部屋にも入らず、外でおびえていたのだった。
私には畏敬という意味でのおそれはあるけれど、死体であるということの恐怖はなくて、それはミイラが完全に乾ききっているからだなと思った。生々しい感じがあったら、たぶんダメだ。
ミイラの作り方解説に見入る男性。
あとは荷物をまとめて空港近くのホテルに移動するばかり。 旅の終盤へ向けて、次が最終回。