旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


ロンドン09 遠い昔、彼のために流した涙は無駄だった

ロンドン旅行記第9回。バッキンガム宮殿で衛兵交替を見損ねたところまで。前回の記事はこちら

 騎兵隊のまき散らすフンから逃げるように進路を変え、ウェストミンスター寺院へ。

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ふむ。かっこいい。外からぐるりと眺めるのみ。

この日は本当に寒くて、その寒い中を早くから動き回っているうえにそういえば全然トイレにも行っていなくて、トイレに行きたいかも…と思い始めたが最後、とにかく行かないわけにはいかなくなった。しかしこの辺りにはデパートもカフェもなく、すぐに入れるトイレが見つからない。トイレはどこー!? どこにあるのかわからないトイレを求めて寒空の下をさまようよりも、確かにあるはずのトイレを目指して進んだ方が建設的である。というわけで我々は、ロンドン・アイ(テムズ川沿いの巨大観覧車)の乗り場に向かって歩き出した。二年前の記憶によれば、そこにはトイレがあったはずである。

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テムズ川に架かる橋の上より。絵になる。前回は雨の夕暮れだったけれど、やっと青空の下の時計塔が見られた。

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観覧車は前と同じように建っていたが、チケット売り場や乗り場の様子は二年の間に変化していた。私たちが「ここにある」と思って頼りにしていたトイレは、そこになかった。ない!どうするんだ!まあでも、乗り場の近くにマクドナルドがあったので、そちらのトイレを拝借して事なきを得ましたとさ。

午後は、メリルボーンエリアに行ってみようということでまた地下鉄に乗る。ウェストミンスター駅から、ベイカーストリート駅へ。ベイカーストリート。あの名探偵が住んでいた街である。

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シャーロック・ホームズ

小学生のころ、図書館で借りるホームズシリーズにはまっていた私は、ホームズが死んでしまう回で涙したものである。あのころの私の、「死が悲しくて泣けて泣けてしかたがなかった小説の人物」といったら、ホームズと、『燃えよ剣』の沖田総司とがツートップ。そうなんです、シャーロックホームズは作中で死ぬんですよ! 因縁の対決相手ともみ合ってるうちに崖から落ちるかなんかして。しかも、作者がホームズシリーズの執筆に疲れちゃったから、というのがその理由。

ところがその展開に納得のいかない読者から「ホームズを殺すな」の声があまりにも多かったため、ホームズときたら続編で生き返るのである。実は死んでいなかった、といって復活するパターン。おお、ホームズ! あの日の涙を返して。