旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


夏山2012 北アルプス、奥穂高(1)

2012年夏のアルプス山行、3つめは奥穂高岳。アルプスといえば穂高!いよいよである。初めてのテント泊登山、テントにシュラフに調理道具に食材を背負っての1泊2日。時間的体力的に自分の限界ちょっとオーバーという強行計画であり、行きも帰りも泣きたくなるほどきつい道のりであった。それでも思い返せばやはり「行ってよかった、アルプス最高!!」な奥穂高、以下はその山行記録である。ナビゲーターは、地球史上初の奥穂登頂かもしれないリカちゃん。

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奥穂高岳(3,190メートル)
2012年8月23日(木)~24日(金) 晴れ
1日目=沢渡5:00(バス)-5:30上高地バスターミナル6:45-10:40横尾11:50-15:30涸沢
2日目=涸沢6:20-8:40穂高岳山荘9:10-10:10奥穂高山頂10:40-13:00涸沢14:00-横尾-19:30上高地バスターミナル
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穂高への起点となる上高地へはマイカーでの乗り入れができないので、手前の沢渡(さわんど)に車を停めてシャトルバスに乗り換える。午前5時半の上高地バスターミナルにはこれから登山をする人たちがいっぱい。朝ごはんを食べ水筒に水を入れ、登山計画書を提出して準備万端である。しかし財布がないことに気づき、おそらくさっきのシャトルバスに忘れてきた……と青くなる。あわててバス会社の窓口に行ったところ、「座席に置きっぱなしでしたよ」と預かってくれていた。よかったーー!!これまでの登山でもメガネやデジカメや登山靴など大胆な忘れ物の多い私だが、今回は出発前に財布を忘れるとこだった。まったくヒヤヒヤさせるぜ。

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さ、気を取り直して出発。もたもたしてたら他の登山者の姿が激減。私たちも先を急ごう (と言ってるそばから、こんな写真を撮影している)

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河童橋から穂高連峰を望む。朝早いので観光客はいない。気持ちよく晴れた朝

上高地から、まずは横尾まで3時間。梓川沿いの歩きやすい道で足慣らしにちょうどいい。緑がきれいー、水がきれいー、木洩れ日がすてきー、楽勝だねー!とか言いながら進む。もはやトラウマになっている仙丈ケ岳のつらさ(記事はこちら)を思うと、笑えてくるぐらい楽勝な道。

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途中の徳沢にて、山小屋名物のソフトクリームを食べる。喫茶スペースはいい雰囲気

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森の道、水辺の道をぐんぐん進むよ

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おしゃべりしつつ余裕で横尾に到着。上高地から11キロを歩いてきたがまだまだ元気。ここで登山道は穂高岳行きと槍ヶ岳行きに分かれる。登る人、下りてきた人、休憩する登山客でにぎわう。

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お湯を沸かしてお昼ごはん。わーいラーメンだ~!

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この横尾大橋を渡っていく。いよいよここから本格的な登りとなる

横尾からは、本谷橋(もとやばし)を経て涸沢(からさわ)へ。今日はここにテントを張る。どのガイドブックを見ても「横尾までは気持ちのいい楽な道。横尾から先、涸沢までは登りの登山道です」と書いてあって、だから、ああここからは登りなんだな、しかも3時間くらいの長い距離なんだよな、地図を見ると傾斜もあるしこれはきつそうだ、とある程度覚悟はしていたのだが、もうこの道のつらさたるやそんな覚悟がまったく役に立たないほどの苦行ぶり、想像と我慢の限界を超えておりはっきり言って地獄であった。

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谷沿いの道を歩いていくと、左手に屏風岩と呼ばれる一枚岩が見えてくる。このあたり、木陰のない道をひたすら登り進むのが暑くてたまらない。

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休憩ポイント、本谷橋。だいぶ歩いた気がするが、目指す涸沢まではまだ半分。遠い。しかしここまではまだマシなほう。この先、足元は岩だらけになってもっと歩きにくくなり、もっと傾斜がきつくなるのである。

歩けども歩けども足元はごつごつの岩場。見える景色も大きくは変わらず、一歩一歩を踏み出すことに飽きてくるし疲れてくるし、あーもう登山なんてマジしんどすぎるよヤダヤダヤダっていつものように急性登山嫌悪症にかかりつつ、ひたすら登る。何がしんどいって、ゴールがわからない状態で登るのがしんどい。もちろん地図を見て涸沢キャンプ場の位置は知っているけれども、あの角を曲がったら、とか、あの岩を越えたら、とか、そういう具体的な目標が立てられないから先が見えず、この無間地獄はいつまで続くのですかという感じ。体もしんどいし、わしはもう、これ以上は一歩も無理じゃ! 

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 登山道に雪が残っている場所もあった。ザクザクと踏みしめて進む そのとき、遠い空に吹き流しが見えて、それはキャンプ場に立てられた目印なのであって、そのピロピロと風吹かれる飾りをたよりになんとか脚と心を奮い立たせる。途中、何もない岩場にテント集団の幻覚が見えるという危ない精神状態になりながらも、ようやく涸沢に到着。

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すでに15時30分。標準タイムだと14時くらいに着けるところだがそんなの知らん

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疲れてはいるがテントを張って、ようやく一息つく。最盛期(お盆頃?)だと、隣のテントとの距離数十センチ!というくらいたくさんのテントがひしめいて混雑するのが涸沢らしいが、この日は平日だからか空いており快適であった。

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涸沢ヒュッテの名物おでん 標高2,400メートルの涸沢にて、テントで就寝。明日は早起きして奥穂高へ。1日目の記録はここまで。

▼翌日の奥穂高登頂へ続く