旅と日常のあいだ

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富士山できのこ狩り。森をさすらう女ハンターたち

秋ですもの、きのこ狩りに行きたいよねって何の気なしに友人に言ったら、「行く行く、ちょうどきのこ狩りに行きたいと思ってた!」という頼もしい答えが返ってきて、かねてより行ってみたいと思っていた富士山五合目でのきのこ狩りを決行することに。須走口五合目の山小屋にはきのこ博士である主人がいて、食べられるきのことヤバいきのこの選別をしてくれるのだ。

というわけで、10月のある晴れた日に、山好きの女3人(あえて山ガールとは言わない)で富士山に行き、初めてのきのこ狩りに挑んだのであった。

五合目の駐車場に車を停め、きのこゾーンをめざして小一時間ほど森の中を歩く。きのこゾーンといっても明確な地点がわかっているわけではなく、すれ違うきのこ帰りの先客からヒントを聞いてはなんとなく当たりをつけているだけのこと。どんな場所にどんなふうに生えているのか何ひとつわからぬまま、おそらくこの辺であろうという斜面に到着し、とりあえず地面を見つめながら右往左往する。

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うろうろする友。「出てこい、きのこやーい」

始めのうちはまったくきのこを見つけられず、「本当に生えてんのか」「先客がひとつ残らず採っていったんじゃないのか」「ちょっと飽きてきたかも」と後ろ向きな気持ちに。しかし、生い茂る木々の間を分け入り、四つん這いで進み、目を凝らし、頭にも肩にも枝や葉っぱをくっつけながらギラギラときのこを探すうち、土や落ち葉の間にポツンとたたずむきのこが目につくようになってくるではないか。

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こんな感じで生えております

目がきのこ慣れしてくるのか、狩猟本能が目覚めたのか?こうなると面白いもので、さっきまでは何もないと思っていた場所にもきのこが浮き上がって見えてくるから不思議! あっちにも、こっちにもきのこを見つけて、見つけた以上は採らずに通り過ぎることができなくて、三人とも黙々と、ただひたすらにきのこを採取する。夢中になりすぎてお互いの姿が見えなくなり、「みんな、いるー?」と号令をかけ合いながら。どれくらいの時間をかけただろう、手持ちのビニール袋にいい具合にきのこがたまってきて、お腹もすいたしそろそろ戻ろうかと下山開始。 登ってくるときには木を見たり空を見たりして森の雰囲気を楽しみつつだったけれど、帰りはみんな足元を見つめてまだきのこを探そうとしていた。

きのこはたくさん採れたものの、素人の我々にはこれが食べられるきのこなんだかどうなのかがまったくわからない。もしかしたら、山小屋のきのこ博士に判定してもらった結果、全部アウトだという可能性もあるのだ。あああ、緊張。せめてひとつでも、食べられるきのこが入っていますようにと祈りつつ、三人が採ったきのこを机にひろげ、博士による判定開始。

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判定完了。大きいほうの山がOKきのこ。すごい、打率9割5分!!

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これで一人分。なかなかの成果じゃないかしらん。7~10種類くらい採れたけれど、全部の名前を覚えるのは無理なので博士にひとつだけ教えてもらった。黄色いのは「キヌメリダケ」というそうだ。美味しいのかな。食べられるきのこが美味しいきのこかどうかはまた別の話だもんなあ。

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というわけで、持ち帰ったきのこは炊き込みご飯にした。ほかの具は一切いれず、醤油と酒で。 炊きたてはそれはもういい香り、肝心の味は、これまたたいへんに美味しかった。 どのきのこがどういう味というより、全部ひっくるめて「きのこ味」っていうか。それでよし!

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10月の富士山。上から順に、山すそに向かって木々が色づいていくのがわかった。

きのこ狩りのあと、せっかく御殿場まで来たんだからってことで御殿場のアウトレットに立ち寄ったのだが、これがもう、我ながら最高にいたたまれない感じだった。 我々3人、いかにも山から下りてきたばかりですっていう格好だったわけだが、それがアウトレットでこんなにも浮いちゃうとは知らなかったなあ。可愛い山ガールファッションとかじゃなく、土とか葉っぱがついたリアルな山女子だったから仕方あるまいね。 ハイブランドなお店には近寄ることすらできず、「ここなら許されるかな」とアウトドア系のお店にばかり入る3人。私はこのときノースフェイスのウェアを着ていたのだが、ノースフェイスの店には同じウェアを着たマネキンが飾られており、「お店の中でマネキンと同じ格好になるのはなんかイヤ!」と店の外でわざわざウェアを脱いでから入店するという面倒くささ。

歩き疲れたのでタリーズでコーヒー休憩。「今日アウトレットに来た客の中に、きのこを持ち歩いている人は他にいるかなあ」「アウトレットに来たのに何も買わず、唯一の消費がタリーズとは」「タリーズの店内に胞子を落としてないか心配だよ」

富士山でのきのこ狩りは9月あたりがハイシーズン。雨の降った2、3日後がベストだそうだ。私たちは10月中旬の晴天続きの日だったが、条件がそろえばもっとたくさんきのこが採れるに違いない。来年も必ずやきのこ狩りをしましょうと誓いあい、ゴアテックスのウェアをガサガサいわせながら山女たちはアウトレットを後にしたのでした。