旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。



三たび、富士山頂へ。雲海にご来光、そしてガンダム

昨夏に続き、三度目の富士登山を敢行。

コースはこれも三度目の富士宮口、五合目の出発は午前11時。登りはずっと、霧がかかったり晴れ間が出たりを繰り返す天候だった。霧の出ているときは、涼感ミストに包まれてますーって感じで、ぜんぜん暑くなくて歩きやすい。こまめに水分&塩分補給しながらぐんぐん進む。やはり三度目だからなのか、これまでよりも楽。標準登山時間と比較しながらいいペースで登っていけた。

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雲海を見ると、富士山に来たなあという感じだ。いいペースだったのは八合目すぎまで。ここらへんで、私も同行のMちゃんも高山病らしき気配が濃厚に。酸素が薄くて、息を吸っても吸った気がしないだとか、体力はあるのに頭が痛くて気力が起こらないだとか、そのせいなのかやたらと眠いだとか。九合目まで着いたときには結構へろへろ。昨年はこの九合目が一応のゴールで、ここの山小屋で仮眠をとったのだけれど、今年は山頂まで登りきってそこで仮眠する計画。まだ上まで登らねばならん……。見上げれば、岩だらけの急峻な道が残酷なまでにくねくねと続いておる。まだこんなにあるのかよ! ちょっともう、登れる気がしない。しないけど、いま頑張って登らなかったら、その辺の岩場に転がって眠って夜のうちに冷えきって凍えて可愛そうな亡骸になることになるわよ、そんなわけにはいかないのよ、踏ん張れ、私たちーー!

というわけで、冗談じゃなく過酷な最後の岩場を、くじけそうになる心になけなしの檄を飛ばしつつ登ったのだった。いやもうほんと、上に見えてる山頂の鳥居が、最後の目標地点である鳥居が、すぐそこなのにめちゃくちゃ遠かったなあ。呼吸が追い付かず気力も体力もそがれるし、もうたどりつけませんっていう絶望的な気分だけが加速するし。ひとりだったら絶対無理だったけど、励まし合って足を動かして、最後の一歩で、なんとか着いたわ着いたわよー、富士山頂! しかし感動を味わう余裕はゼロ、辺りを見回す気もゼロ、寒いよー、だるいよー、早く休ませてくれ!! 転がるように山小屋へ入る。

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 富士山頂から見る空と月。18時40分頃。

夕食のカレーが、あたたかい卵スープが、「これが天国の晩餐なのか」っていうくらいの美味しさ。山小屋は19時就寝(!)なので、すぐに横になる。寝床は半畳に一人くらいのスペースだ。右にも左にも足元にも人がひしめいている。ものすごく疲れて眠いはずなのに全然眠れない。頭痛もひどくて、全身から発熱してる気がする。風邪か? おでこに貼った冷えピタがカリカリに乾くくらい熱いんだけど。

午前4時に起床してご来光を見る予定なのだけど、どうしよう困った、体調は絶不調だよ、ご来光どころか起き上がれもしないよ、自分の足で下山なんてとんでもないぜよ。一歩も歩ける気がしないよ。もうこれは、救助のへりを呼ぶしかない・・・夜が明けたら、近くにある自衛隊御殿場基地に依頼するしかない・・・青年隊員が駆けつけて、熱でぐったりした私を抱きかかえるだろう・・・ヘリの中で目覚めてぼんやりとしている私に、彼は、「もう心配いらない」と声をかけるにちがいない・・・あれ、何だろう、この安心感、この力強い腕、このふんわりとしたあたかたい気持ち・・・。

そんなこんなで起床時刻。隣で寝ていたMちゃんに、「頭が痛すぎて、妄想がとまらなくて、そのせいで余計に暑くなって大変だった」と深刻に話したら、「あー、ハイハイ、高山病」とあっさり一蹴されてしまった。起き上がれないし体調最悪だしもっと心配しておくれよう、と思ったのに、朝食を食べて荷造りをしたら元気復活。早くご来光を見ようよ!って感じに盛り上がってきた。ふしぎ。やっぱりあの山小屋の、人口密度高すぎ&体温調整しにくすぎな環境が悪いのか。単純に空腹だったのか。謎。

山小屋の目の前にある岩場に待機し、ご来光を待つ。風が強くてものすごく寒かったけど、空は晴れて、雲海もくもくで、赤くて丸い太陽がきれいに見えた。いい時間。

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夜と朝の境目。日の出は5時過ぎ。

このあと、山頂郵便局からはがきを出してさっさと下山。残り体力に自信のない私たちは、お鉢めぐりはもちろん、最高地点である剣が峰(3776メートルポイント)にすら行かずに山頂を後にしたのだった。「疲れたし、去年も見たからいいよ!」っつって。ここらへんの割り切りの良さが大事よね。

休憩もほとんどとらず、さくさくと下山。五合目まで無事帰還、温泉に浸かってさっぱりして、静岡に戻ってくる。疲れているはずなのに、せっかくなので東静岡駅前のガンダムを見に行く。ガンダム会場にいる大勢の中に、今朝富士山から下りてきたって人はほかにいるだろうか?と考えるが、どうだろう、いるような気もするし、いない気もする。

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ライトアップされるガンダム

一日の最後は、静岡おでん。おでん屋の店主に、「富士山に一度も登らぬバカ、二度登るバカ」と言われる。ええ、バカです、私たち。さらに、おかみさんには「砂走りをやらないと、富士山に登ったとは言えない」とも言われる。砂走りというのは、今回私たちが行った富士宮ルートではなく、御殿場側の下山ルートのこと。砂の斜面を転がるように走り下りるもので、一歩で3メートル進むらしい。自分の意思じゃ止まれないくらい勢いがつくらしい。おかみさんいわく、「富士宮口は初心者向き。岩ばっかりだし、登りも下りも同じ道でしょ。だめだめ、砂走りで下りてこないと」。

けしかけられて来年の登山コースが決定。まだ行ったことのない山梨側から登って、山頂半周回って、砂走りで下りてくることにしよう。Mちゃん、今年行けなかったWちゃん、いいよね? よろしく!

 

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ご来光を見た後、冷え切った体で食べる山頂のカップしるこ600円。あったかいあんこが、五臓六腑に染みわたる。これを食べるために登るのさ!